色彩こぼれる北国の春…フレデリック・ディーリアス「春を告げるかっこう」(小管弦楽のための2つの小品より)
春の大型連休いかがおすごしでしょうか。
4月から環境の変化などであっぷあっぷであったのでようやく人並みに春を楽しめてきたところです。しかし急な冷え込み勘弁してくれ…
今回はフレデリック・ディーリアス(1862-1934)の作品から。一幅の水彩画のような、絵の具を塗り重ねるような弦楽和音の澄み渡った空に木管楽器のさえずりがこだまします。主役のかっこうはクラリネットの低音域で表現され春の日差しのような温かさ。短くも充実した芳香を残しています。
ディーリアスの生まれは英国のヨークシャーですが、ドイツ系の大実業家の子に生まれ家業の継手として期待されてスウェーデンへ商社の経営に、米国フロリダのプランテーション農園の運営に送りだされるなどグローバル時代のビジネスマン然とした出自を持ちます。そんなディーリアスが音楽の道を志したのは幼少期のショパンやグリーグを傾倒や使用人のくちずさむ黒人霊歌といった民族的な音楽の語法。出向先で仕事そっちのけで(笑)これ幸いと音楽の勉強を進め、とうとう父親を根負けさせて音楽家として本格的に活動すると頭角を現しました。
憧れのグリーグ、そしてスウェーデンへの出向によって生まれた北欧の芸術家たちとの親交がディーリアスの創作の根っこであるようです。この曲もグリーグが使用したノルウェー民謡『オーラの谷にて』が用いられている、とあるので、確かに聞いてみるとその通りであるようです。グリーグのほうは物悲しい曲想になっていますね。
連休なのでまだ見ぬ音源を探そうのコーナーでした。変化を愛でること、それが人生のコツだよと教わるような思いがします。ごらん、世界は美しいとか、そういったものをさらりといえるおじさんを目指したい
では。