2020/4/12 コロナと酒と孤独
湯船でチューハイの缶を開けてひと口、また今日も飲んでしまったと思う。
職場がついに休業になり、私は1ヶ月仕事がなくなった。それでもきちんとしなくてはと1日おきにしていた晩酌がある日から毎日になってしまい、真昼間からでないにせよ日が暮れだすとソワソワしてしまうようになった。
美大生時代、アル中に片足を突っ込んでいた時のことを思い出す。学校のバスを降りて買い物をし、四畳半のアパートにたどり着くとまっさきにストゼロのロング缶をあけた。アトリエで制作中に酒を飲んでいたこともあるし、講評前には緊張をほぐすために酒を飲んだ。
あの時も今も、こんな自分がなんの役に立つんだろうと、自分と社会とのつながりが見えなくて孤独だったのだと思う。そしてそれを自覚してしまうと私は、より心を閉ざして自分をさらなる孤独へと追い込んでしまう。そうやって徹底的にシャットアウトしないと心がもたないのかもしれないし、やさぐれているのかもしれない。拗ねている子供のようだ。
玄関先まで本を借りに、あと少しだけ会いたい口実もあって近所に住む同僚の家を訪ねた。
夕方、まだ明るかったと思う。同僚はすでに相当飲んでいるのか、マスクをしていても分かるくらい真っ赤になった顔と、パジャマのままの姿で玄関先にあらわれた。うす暗い部屋はぐちゃぐちゃに荒れているようだった。
わたしはなんて声をかけたらいいのか分からなくて、本を受け取ると逃げるようにその場を立ち去った。
いつ終わるのかもわからない不安に心が押しつぶされそうになりながら思い出すのは、そんなことだ。
カーテンも開けていない部屋の薄暗がりに立つ同僚の姿が目に焼き付いてしまって忘れられない。
そして今日もまた酒を飲む。
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