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2023年・劇団☆新感線43周年興行 いのうえ歌舞伎「天號星」

そろそろパソコンのIMEに「新感線」を辞書登録してもいいのではないかと思いますが、まだやっていなかった自分に毎回モヤついています。
iPhoneだと出ますね。天號星も一発変換されるようになってる!スゴ!

というわけで行ってまいりました。
遅ればせながらもう公演もかなり大詰めになった11月15日。
2、3日前から急激に気温が下がり、あわてふためいたように木々の紅葉も色づき始めた大阪城公園の中にある太閤はんのお膝元、クールジャパンパーク大阪WWホールでの公演でございます。

前情報を入れないようにするのが大変だった

私はネタバレが冷やご飯より嫌いなタチでして、タイトルやビジュアル以外は知りたくない。でもその対象についての情報や発する熱量にはたくさん触れて居たい。
見ないという選択が最良なのはわかっているのですが、情報過多なこの時代にそれを避けるというのはかなりの努力と節制が必要。
禁制と言ってもよいレベルで避けなければなりません。

映画でもなんでも公開されて即座に見てしまうというのが考察も含めて一番楽しめるのですが、遠征なんてしていられる身分じゃありません。2回行けるだけでも御の字です。

やはり舞台というのは生き物なのでいつ見ても楽しいし毎回違うし、初日と楽日では全く違ったものになってしまっているのも常です。余裕があったなら何度でも行きたい。
で触れて居たいと思った以上、今回も誘惑には勝てず公式の情報であっても私にとってはネタバレを食らってしまうのでした。

見るまでに分かっていたのはとりあえず、古田新太さんと早乙女太一さんの人格入れ替わりスタイル。まあ昨年の「薔薇とサムライ2」でも早乙女友貴さんと入れ替わりは見られましたし、それ以前よりもよくあるものです。
そして客席出が多いということ。こういう類もその場で知ってビックリしたい方なんですが致し方ないですね。
しかし今回ご用意して頂いたお席も、前ブロックの通路から3列目の上手側通路近くという事で近すぎずとも迫力をしっかり感じられるいい場所でした。
みなさん縦横無尽に場内を駆け巡るから岡っ引きの村木さんの十手やら、ニッコニコで歩いてるもみあげ成志さんとか番傘さして歩く半兵衛とかじっくり観察しました。

あらすじ

世は元禄、江戸で口入屋(身寄りのない者の身分保証をして奉公先の面倒をみたり仕事を斡旋する稼業)を営んでいた藤壺屋の半兵衛。裏では仕事人よろしく悪党を始末する「引導屋」の仕事も請け負っていた。生まれついての強面のおかげで元締めと呼ばれる立場にあったが、その実はハリボテであり、半兵衛本人は気弱で温厚といった性格の人間。実質的には伴侶であるお伊勢が全てを取り仕切っていた。
ある日、半兵衛が”はぐれ殺し屋の狂犬”・宵闇銀次に命を狙われてしまうが追い詰められたその時、轟音がとどろき閃光が炸裂した。刹那、銀次と半兵衛の中身が入れ替わってしまったのだ。
  「天號星が太陽と月の間に入るとき、災いがふりかかるであろう」
義理の娘であり巫女のみさきと流しの占い師・弁天の予言通りであった。
不慣れな体でありつつも元締めという立場を利用して、任務を遂行しようと目論む銀次。半兵衛は身内を守るべくあちらこちらへ走り回って奮闘する。入れ替わった肉体は元に戻せるのか?メビウスの輪のようにもつれ合う二人の運命は・・・

ほっこりほっこり

東京公演の方は真面目にと言ってはなんですが、他の方のレポートを見る限り渋い時代劇に仕上がっていたのでしょうか。
大阪公演も後半になるといつもの新感線らしく、とにかくもみあげがチャーミングな成志さんが小物になりきって悪い笑顔を振りまいておりました。
そういうノリが「ほんと、スキ〜!」なんですけど思ってた以上で。

パンフレットを読んだところ控えめらしいけど、だいぶん弾けてらっしゃったように思います。
まあお客さんもリピーターの方が多いし、そういう方は違うところで反応したいし。毎回変わるところが生の良きとこなんですよね。

そしてこれもパンフレットに情報としてありましたが観客席を花道として使いたがるいのうえさん。上手から下手からはたまた背後から。いろんなところから役者さんが登場して追いかけるのが忙しいくらいに移動されていました。身代わり観音のお札とかつい「ください」って言いたくなるくらいキャストさんとの距離が近く感じられて楽しかったです。

それぞれの人の生き様

悪いお奉行やそのおこぼれにあずかろうとする材木問屋の悪企みを阻止するべく活躍する剣呑長屋の人たち。
どの演目でも、泥臭い中でありながら一生懸命に生きている人の輝いている姿をきちんと描いてくれるのがとても「スキ」なんですが、今回はそこに突発的な事故のような悲劇が絡んできて堪えきれず涙を拭うお客さんもたくさんおられたように感じました。江戸時代という背景的に辛気臭くはならないように努めていられたようにも思います。
粟根さんの明神甲斐守も下々の長屋の犠牲も厭わない悪いやつなのに剣術だけは真面目にやってたので基本に忠実なところとかかわいすぎるし、真砂郎も悪いけど憎めないキャラ設定がとても良かったです(笑)

初参加のおふたり

2022年度のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の十三人」で善児に拾われて育てられたトウ演じる山本千尋さんの中国武術を基とした殺陣も、生で見た時には早乙女兄弟との息が合っていて流れが美しい立ち回りでした。
引導屋の娘として自分の使命を果たす役どころなのですが、垣間見える身内への気づかいとか優しさがいぶきというキャラの芯の強さに反映されていました。

神降ろしの巫女みさき役の久保史緒里さんも歌の時は見た目どおり華憐でとても綺麗で凛とした声なのに、セリフになるとカンと響くような声量でこりゃすごい!と驚きました。

神おろし堂主催のアイドル巫女ちゃんをメインとするライブさながらに歌いつつ登場するのですが、イントロが「RRR」を意識したのかインドっぽい曲調なのがまた面白い。そして一緒に歌う神おろし堂のカナコさんと右近さん。久保さんを見守るように微笑んでリズム取ってる右近さん見てこっちもニヤニヤ。楽日の時に傍で踊る米花君を双眼鏡でガン見してましたが、しなやかで美しい素敵なダンスでした。

初めての煎餅まき(エアー)

毎回恒例となっている煎餅まき。
劇団☆新感線の千穐楽公演では演目名の入ったお煎餅が観客に振るまわれます。
コ口ナ前は客席まで役者さんがバラマキに行かれてたようですが、今はエアーということで舞台上から投げるフリだけ。
退場の際に出口で1人づつ配られる形でした。
お客さんは外でもらった煎餅をビジュアル看板などにかざして記念撮影されています。
私も撮りたかったのですが大盛況で、コーヒーが飲みたくて後でまた戻ってこようと思ったのもつかの間、日が陰ってきていることに気づき、そのまま帰路につきました。

おせんべい割れないように持って行ったクッキー缶。ピッタリサイズでした。

缶のデザインにも星がたくさんで「天號星」にお誂えむきじゃないですか!袋が四角なので入れるのに最初は手間取りましたが、いい感じに収まりました。
「薔薇サム2」の時のツイートで天海さんがゴーフルの缶がおせんべい入れに良いと言ってたのを思い出したのです笑
持って行って大正解でした。

しかしプリントとかめちゃくちゃ綺麗で、食べるつもりでしたが未だに迷っています…うう

そんなこんなで

次の公演も発表され、来年度は博多座からのスタートとなります。
8月の東京公演の明治座も行ったことがないので遠征出来たらなあと思いつつ、年明けのゲキ×シネの「天號星」を楽しみに待ちたいと思います。


最後まで読んでくださってありがとうございました。

この色合い、スキー!信用できる!

この投稿のおかげかな?最終的に「新感線」が変換できるようになりました。よきかな~。