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【書評】『司法試験体系的問題解析 刑事訴訟法』反町義昭著 成文堂
書評です!今回はこちら!
刑法でも紹介しています、LECの反町先生の著書。
1 概要
司法試験の問題を刑事訴訟法の体系(捜査~公判~証拠)に設問ごとに分けて並べ替えて、説明しています。単に問題の解析というわけではなく、論点の解析です。問題文の掲載はないですが、答案例、論証例がついています。
また、司法試験の出題趣旨・採点実感を論点ごとに分離して引用しており、その論点で司法試験ではどの程度の理解を求められているのか?をはっきり理解できるつくりになっています。
予備試験受験生も刑事訴訟法のインプット教材の一部として(できれば司法試験の問題を解きながら)使ってほしいです!
※司法試験の問題のうち古い平成18年~22年部分は学習用として、答案作成せずに、本書を読むのもありです(年度別にまとまっていないのが難点鴨ですが…)
2 掲載されている司法試験の問題
掲載されている過去問は、司法試験平成18年~令和2年までです。現在は令和6年11月ですから、令和3年~6年の解説はありません。
しかし、LECの無料公開講座で反町先生の講義が無料で公開されています!!こちらのレジュメが本書の最新版といえるので、実質無料で最新版まで見れます。
3 特徴・おすすめ
本書の特徴は、刑法と同様に司法試験の問題を前提にした教科書的説明と演習書的な説明です。
その中でも特に受験生フレンドリーな部分は証拠法部分の証拠構造の図解です。
証拠法、特に伝聞証拠の伝聞・非伝聞の区別は受験生にとって非常に難しいです。その理由は、いくつかあると思いますが、証拠からどのような事実が認定されるのか?という証明の過程(間接事実からなら推認過程)が難しいからです。その証拠から何が読み取れるか?は刑事訴訟法の学習範囲から離れているからだともいます。
その点、本書では証拠からどのような過程をたどってどのような事実が証明されるのか?が明確になります。特に平成18年~平成23年頃の「立証趣旨」と「要証事実」の関係が不明瞭だったころの問題の解説も丁寧にされているため、今後の出題でも役に立つと思います。
図解で証拠構造を明確にしている書籍は少ない(「事例でわかる伝聞法則」とか?)中で、司法試験の事例をベースに証拠構造を明確にしている書籍は非常に貴重です。
伝聞が苦手…と思う方は是非読んでほしいです。
4 まとめ
本書は刑法と合わせて、司法試験の解説書としては、超一級かつ必須級かと思います!ぜひ一度手に取って読んでほしいです!
※刑法等も貼ります。
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