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19。失った恋
#有料記事書いてみた
若い頃の話をしようと思います。
高校を卒業して、当時付き合っていた人と遠距離になってしまった。
連絡も自分の寮の公衆電話から、週に数回電話してきてくれていました。
手紙も時々送ってきてくれていました。
三交代勤務だったその人は、自分の年間出勤シフトを
わざわざ手紙で知らせてくれました。
それを私は自分の部屋のベット近くの壁に貼り、
彼の帰省を待っていたのです。
帰省する時は、近くのインターから下りて真っ直ぐ
私の家にお土産を持って寄ってくれるというのが決まりのようなものでした。
私の部屋に彼を通すと、父はリビングのドアを全開にし、
私にも、自分の部屋のドアを閉めないようにと言われていました。
帰省初日はだいたいこんな感じだったけれど
一緒にいられる間の過ごし方を決めたりして楽しかった。
二日目からは、私が彼の自宅へ訪問し、彼の部屋で一日中過ごしたり
彼の家族とともにお出かけしたり、
友達も交えて一緒に騒いだりしていました。
3月終わりから遠距離になり、半年がすぐに過ぎて
1年の新人研修が済んだら、今度は広島に配属されるため
そうなった時には、一緒に広島に行こうと言ってくれていました。
11月の半ば過ぎ、久しぶりに彼からの手紙が届きました。
そこには
「もう少しで一緒になれるね」との言葉がありました。
私は少し前に話ししていた、広島に二人で一緒に行く事が
もうすぐ現実になるんだなと素直に喜び、彼の次の帰省を待ったものです。
そして時間は経ち、年末年始の長期休暇の時期になりました。
以前彼が送ってきてくれたシフトが書かれた手紙を見て、
年末休みは28日から年明け5日までとなっていたはずなのに
彼からの連絡が全くないのです。
仕事の都合などで、帰省が遅れているのかも?と思った私は
そのまま彼からの連絡を、おとなしく待つことにしました。
30日になっても連絡はありません。
そしていよいよ大晦日になりました。
彼を待つ私の様子が気になったのか、
普段私と恋愛話しなんて全くしない下の姉が一言言ってきました。
「連絡してみたら?」
彼の都合を考えて、おとなしく待っているだけでしたが
姉の一言で、ようやく彼に連絡をしてみることにしたのです。
自宅に帰ってきているなら、友達にも既に会っているはずだと思った私は
休みになるといつも会う友人に、まずは電話をしてみたのです。
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