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月のうさぎ

 先日X(旧Twitter)を眺めていたら、悲しい知らせが目に入ってきた。フォロー中のアカウントのひとつから一緒に暮らしていたウサギを看取ったと、そのような趣旨のポストがあった。
 こちらが一方的にフォローしているだけのアカウントだから、旅立って行った子を直接見たことは当然ない。けれど時々投稿される写真や動画を可愛らしいと思って拝見していたので、とても悲しい気持ちになった。
 それから残された人の気持ちを想像して胸が痛んだ。その方が「お月様に帰りました」と表現されていた死出の旅。それが安らかで穏やかであるようにと、静かに祈った。名前に「歩」の文字を持っていたあの子は、もしかしたら月へも歩いてゆくのかもしれない。ならば月へと向かうその道のりを、どうか優しい光が照らしてほしい。そしてその光は、残された人にも届いてほしい。そう願った。

逝く者の歩みを照らす優しさよ今宵の月のうさぎ見上げる
ゆく者も見送る人も照らしてと今夜は月を見上げて歩く

 同じ日、まだ訃報を知る前に私は月を見ていた。ただなんとなく空を見上げて、そこでたまたま見た月は綺麗だった。後で知った事だが、満月に1日足りない月だったようだ。その日美しい月を見たことを、私はきっと忘れないだろう。

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