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育てた子犬がサービスドッグへの第一歩!涙と笑いと感動の旅立ちの時
こんにちは。ゆるりカフェのゆるりです。
今日は、とても寂しく、でも、そして嬉しい、そしてとてもとても心の温まった日のお話です。長いので目次作りました!
はじめにーサービスドッグの里親
ラブラドール リトリーバーの「クロり」(仮名)が私の家族の元に来たのは、2024年1月。その時は3ヶ月の赤ちゃん犬。そして、今は1歳半になったクロりが、サービスドッグ(介護犬)となるための正式トレーニングを開始するため、私たちのもとを離れて行きました。
クロりは、Canine Companionsというアメリカの非営利団体で、サービスドックになるために生まれてきた犬です。
私たち家族は、Puppy Raiser(パピー・レイザー)というプログラムで、Canine Companionsの未来のサービスドッグとなる子犬を育てるボランティアをしていました。これは、生後8週間の子犬を迎え入れ、里親として、約13~16か月間の間、家で世話をし、基本的なしつけや社会化トレーニングなどを行うというものです。
そして、昨日、そのクロりが、正式なトレーニング訓練に入るので、Canine Companisionsにお返しし、お別れをしました。
2022ー23年は、長女の不登校、メンタルヘルス問題がとても深刻だった年、その経験の中から、このPuppy Raiserというプログラムを知り、クロりを家に招き入れました。クロりは、神さまが、溺れかけていた私に救世主として送ってくれた、と言っても過言ではないほど、私を助けて、家族を笑いと優しさに満ち溢れせてくれました!
この記事では、Canine Companionsについて、Puppy Raiserのボランティアについて、そして、昨日行われた、将来のサービスドッグたちの訓練校入学式と正式なサービスドッグとして送られる犬たちの卒業式についてお話しします。笑いと、涙と、感動に溢れた、1日でした。とても感動的で心温まる式だったので、最後まで読んでいただけるととても嬉しいです!
Canine Companionsとは?
Canine Companions(ケーナイン・コンパニオンズ)(リンク)は、アメリカの非営利団体で、障がいを持つ人々に訓練されたサービスドッグを無償で提供しています。1975年に設立され、全米で最も規模が大きく、信頼されているサービスドッグ団体のひとつです。
Canine Companionsの活動内容
• サービスドッグの繁殖・育成・訓練 を行う
• 障がいを持つ大人や子ども、退役軍人(ベテラン) へ犬をマッチングする
• 医療、教育、司法の分野で働く専門家向けの補助犬を提供する
• 特定の作業(タスク)をこなせるように犬を訓練(例:ドアを開ける、落としたものを拾う、電気をつける など)
Canine Companionsのサービスドッグは、完全に無料 で提供されますが、申請プロセス、待機期間があり、一年以上待機する場合もあるそうです。
Puppy Raiserとは?
Puppy Raiser(パピー・レイザー)は、Canine Companionsのサービスドッグとなる子犬を育てるボランティアのことです。生後8週間の子犬を迎え入れ、約16~18か月間、基本的なしつけや社会化トレーニングを行います。その後、犬はCanine Companionsの正式な訓練プログラムに進み、サービスドッグとしてのスキルを学びます。
Puppy Raiserになるための条件
Websiteを見ると、簡単なトレーニングができることなどが挙げられていますが、アメリカに住んでいて、愛情を持って育てられ、そして時期が来た時に手放すことができる人であれば誰でもできます。
私は今までペットを飼ったことが一度もなく、全くの初心者でしたが、問題なくボランティアができました。
費用について
費用が少しハードルになるかもしれません。というのも、Canine CompanionsのPuppy Raiserプログラムは、完全なるボランティアで、Puppy Raiserが、育てている間の医療費(ワクチンなど)、犬の食事や日常的なケアの費用を負担します。4回のワクチン接種や検診、えさなので、2,000〜3,000ドルくらいかかると思います。
ただし、先天性の疾患があった場合は、Canine Companionsが補助してくれるようです。
クロりは、幸い健康体で、ワクチン接種と定期検診だけで大丈夫でした。
子犬のその後は?
約13−16か月後、子犬が1歳半ごろに、Canine Companionsの正式な訓練プログラム(Advanced Training) に進みます。ここで、個々のニーズに合わせた専門的な訓練を受け、サービスドッグとして必要なスキルを身につけます。この訓練プログラムは6ヶ月〜9ヶ月、専門施設で行われ、その適正に応じて、必要な方とMachingをされ、正式なサービスドッグとなって旅立って行きます。
子犬を引き取ることもできる?
原則として、正式プログラムに入る年齢に達した時に、Canine Companionsにお返しすることが条件です。ただし、その後、身体チェック、適性検査で、サービスドッグに適正ではないと判断された場合、Puppy Raiserが優先的に引き取ることができます(この際、貰い受けるための費用は免除されます)。サービスドックになるのは、全体の70%くらいだそうです。ただし、サービスドックに適正でなくても、セラピードックになる場合もあり、Puppy Raiserの元に戻ってくる可能性は10−20%、決して高くはありません。
サービスドッグ校、入学&卒業セレモニー
Canine Companionsでは、Puppy Raiserが育てた子犬が正式なサービスドッグになるための訓練の開始、さらに、訓練終了後、サービスドックとしてパートナーの元に送られる節目として「入学式」(Matriculation Ceremony」と「卒業式(Graduation Ceremony)」が行われます。セレモニーでは、まず入学する犬とPuppy Raiserが名前の紹介とともに、壇上を歩き、その後、卒業セレモニーでは、約9ヶ月ぶりに自分の育てた犬と再開したPuppy Raiserが、最終的に犬を受け取るパートナー(障がいを持つ方たち)に、犬をお渡しする、という式でした。
私たちは、クロりとともに、そのセレモニーに参加してきました。まず朝、サンフランシスコ北のサンタローザという街の、Canine Companisonsの施設に向かい、そこで、チェックインをして、他のPuppy Raisersの方達、スタッフ、ボランティア、トレーナーの方達と会ったり、お話しする機会があります。その後、式典は、近くの教会で行われました。
式典の前に、卒業する犬たちのPuppy Raiserが自分の育てた犬と9ヶ月ぶりに再会する場面があります。名前を呼ばれて、一匹ずつトレーナーとともに犬がPuppy Raiserの元に歩いてきます。訓練を受けているので、トレーナーの横をピタっとついて歩き、懐かしいPuppy Raiserを見ても、飛び跳ねたり、走ったりはしません。でも、ちゃんとPuppy Raiserを認識し、とても嬉しそう。そして、やっぱり、少しポジションを崩し、嬉しそうにPuppy Raiserに甘える姿は、本当に心温まるものでした。(涙腺の弱いゆるりはここですでに😢)
その後、セレモニーの行われた、教会へ移動。
🌟 セレモニーの流れ 🌟
オープニングセレモニー
• Canine Companionsのスタッフや代表者が挨拶し、プログラムの意義についてお話します。
入学生(犬)の紹介&Puppy Raiserの紹介(スライドと壇上を歩く)
• 事前に渡してあった写真でスライドショーがあり、その後、私と娘とクロりで、壇上に上がり歩きました
卒業生(犬)の紹介 & Puppy Raiserの紹介(スライド)
• スライドショーで、どのPuppy Raiserによって育てられたのかが紹介されます。また、訓練の様子などの写真や映像も見せてくれます。
新しいパートナーに引き渡し
• ここでは、司会者が、サービスドッグを紹介するとともに、Puppy Raiserが、育てた犬を、正式なパートナー(障がいを持つ方や特定のニーズを持つ方)に引き渡します。
スピーチ
•サービスドッグの新しいパートナーとなる方が数人スピーチをしてくれました。二人の方がスピーチをしてくれたのですが、二人とも、最初の犬が定年、もしくは亡くなり、2度目のパートナーだそうです。どれだけ、サービスドッグが、障害を持った本人、また子供、の人生に影響を与えたか、どれだけ自立を助けたか、そんなスピーチをしてくれて、多くの人が泣いて(涙腺のとても弱いゆるりは号泣😭)、とても心温まるものでした。
そして、お別れ
儀式の後、Canine Companionsに戻り、いよいよお別れです。ここで、クロりのトレーナーになる人と会いました。トレーナーとなる方は、20代くらいの、乗馬とロッククライミングの好きなとても良い感じのボーイッシュな雰囲気の女性。一匹ずつ、Puppy Raiserから犬の特徴や好きなことを聞いて、きちんと時間をかけて、受け取ってくれます。
Puppy Raiserが心の整理ができるように、そして、犬が決して辛い環境に入るわけじゃない、ということを伝えようとしてくれていたのでしょう、他の犬と遊び時間があることや、1:1タイムもあり個別に甘える時間もあること、1ヶ月に一度レポートが送られてきて、クロりの様子を教えてくれることなど、10分くらいかけてお別れをさせてくれました。
私がPuppy Raiserになった理由
puppy Raiserを始めたきっかけは、いくつかの想いが重なったことでした。
今は離れて暮らしている長女が、いつか帰ってきたときにペットを飼いたいと言っていたこと。その練習になればという気持ちがありました。そして、次女のこと。長女の不登校やメンタルヘルスの問題の中で、次女は寂しい思いをしてきました。もともとペットを飼いたがっていた次女に、少しでも元気になれるきっかけがあればと思ったのです。(不登校トピックこちらにまとめてます!リンク)
それと同時に、長女の発達障害を通じて、障がいやハンディキャップを持つ方々の世界に触れる機会がありました。直接的に大きなことはできなくても、何か小さな形で関われる方法がないかと考えていました。
実は、私はこれまでペットを飼ったことがなく、動物が得意なほうではありませんでした。さらに、フルタイムで働いていることや、出張、日本への帰国の機会もあるため、ペットを迎えるのは現実的に難しいと思っていました。
それでも、「たった1年半の期間限定なら」と思い切ることができたのは、長女が帰ってきたときのための準備という気持ち、そして次女が少しでも楽しく過ごせるようにという想いがあったから。そんな気持ちで、始めることを決めました。
そして今、心から「この決断をしてよかった」と思っています。
まさかこれほどまでに、クロりが私たち家族の心の拠り所になるなんて。クロりは本当に可愛くて、家族みんなにとってかけがえのない存在でした。いつも笑顔をくれて、そばにいてくれるだけで幸せな気持ちになれました。そして、仕事と子育てで手一杯だった私の、負担になるどころか、大きな助けになりました。クロりが次女に寄り添ってくれることで、私の心はとても楽になりました。
気づけば、私自身もすっかりクロりが大好きになり、動物を家で迎えることへの抵抗もすっかりなくなっていました。
今なら、ペット好きの気持ちが心からわかります!
娘の涙と笑顔
最初からわかっていたこと。でも、クロりをお返しするのは本当に辛かった。
特に娘にとっては、とても大きな別れでした。娘がメインにお散歩をしたり、ご飯をあげたりしていたので、クロりは娘にとても懐いていて、娘も心からクロりを愛していました。だからこそ、最後の数日はずっとベッタリと過ごし、甘えるように寄り添っていました。その姿を見ながら、私もお別れのときがきたら大丈夫だろうかと心配していました。
式典の日、娘を学校を休ませて参加させて本当に良かったと思います。もちろん悲しみはありましたが、クロりを担当するトレーナーさんが優しそうな方だったこと、他のたくさんの犬たちと一緒に過ごせる整った環境があること、そして何より、クロりが誰かのために役立つ存在になれること。それらを目の当たりにしたことで、娘も少しずつ気持ちを整理できたようでした。
涙はあったけれど、最後は前向きな気持ちでクロりを送り出すことができました。
最後に
クロり、家族に15ヶ月幸せをくれて本当にありがとう。クロりはきっと立派なサービスドックになれる!また卒業式で会えるのを楽しみにしているよ。
ゆる〜く定期投稿を目指しています。もし共感していただけたり、応援してくれる方、「スキ」やコメント、フォローしてくださるととても嬉しいです!
クロりの成長の証(写真)
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