
NIKKE研究各論(4) バッチェ冷えてますよ~
おことわり:
サプリメントは日本においては食品に当たりますが、当該記事では作中と同じくほぼ薬として扱っています。また、出てくる薬の情報を鵜呑みにせず、医師の診察のもと処方されたものを適切に服用していただくよう、あらかじめご了承下さい。
さて後半戦だ。次に紐解くのは風邪の時お世話になる解熱剤である。ちなみにフォルクヴァンの所属する部隊名は、英語版だと【Nepenthe】。意味は「悲しみや苦痛を忘れさせると古代ギリシア人が考えた薬」である。


そもそも発熱とはなんだろうか?メカニズムを紐解いてみよう。発熱を起こす原因は、機械的刺激、あるいは化学的刺激によって体温調節中枢のセットポイントが上昇することだ。ほとんどの場合、細菌の持つ発熱物質、マクロファージが作り出す発熱物質などの化学的刺激が原因だ。風邪のような感染症では、これらの発熱物質によって本来の深部体温設定温度であるセットポイント(37℃)よりも高いレベルにセットポイントが移される。例えば、セットポイントが40℃に設定されると、体温調節中枢は40℃になるまで体温を上昇させる指令を出し続ける。
発熱時に震えや悪寒がするのは、できるだけ早く体温を上げるために筋肉が運動しているからである。しかし、いくら発熱物質が放出されるといっても、私たちの体には恒常性を維持する機能が備わっている。発熱が不必要であればほかの機能が働き、体温を一定に保つはずである。そうしないのは、体温の上昇が必要だと体が判断したからなのだ。体温が上昇することのメリットの1つに、ウイルスの活動の抑制がある。ウイルスは37℃くらいで最も増殖が活発になるが、39℃の環境ではほとんど増殖できなくなる。ちなみに梅毒スピロヘータは、高温に弱いことからマラリアに罹患・高熱を利用してウイルスを殺したのち、マラリア治療薬を使用する梅毒治療の荒技が考案されノーベル賞を受賞している。たまげたなぁ…(なお、日本では高温の温泉地で湯治するカタチがとられていた模様。)
解熱発熱物質の刺激が抑制されることで、体温調節中枢の体温のセットポイントが正常値に戻り、これによって解熱する。それまで高いセットポイントに順応していた身体を、セットポイントが低くなる(解熱)のに合わせ、体温を下げるために、皮膚血管を拡張して放熱を促したり、発汗による熱放散を促進するのだ。
発熱によって起こる体の変化もみてみよう。発熱すると代謝が亢進する。体温が1℃上昇すると代謝が13%増加し、熱感、発汗、倦怠感などが生じる。また、代謝の亢進に伴って各組織で酸素や栄養分が必要とされ、それを供給するために心拍数が増加し、血流速度も上昇する。熱を作り出すために酸素が必要になるため、呼吸数は多くなる。反対に血圧は低くなるが、これは熱を放散させるために血管が拡張するからだ。
発熱の影響は消化機能にまで及ぶ。食欲不振や悪心・嘔吐、下痢などの症状が現れ、発熱によって水分が失われるため、脱水や便秘を起こしやすくなる。また、発熱によって頭痛、目眩、悪心、嘔吐、せん妄などが起きやすいのは、中枢神経の機能障害によるものである。

解熱剤は体温を下げ病気も治すもの、と皆考えていると思う(自分もそうだった)が、実際は病気そのものを治す訳ではない。そういうのは抗生物質の範疇であり、解熱剤の多くは体内のプロスタグランジンの産生を抑えて熱を下げる。痛みの話で出てきた化学物質のプロスタグランジンは発熱以外にも痛みや炎症などに関与しているため、あわせて鎮痛、抗炎症作用があるのだ。そのため解熱剤の多くは解熱鎮痛剤と総称されている。詳しくはこちら↓
また、アセトアミノフェンの様に視床下部の体温調節中枢に作用して表在毛細血管を拡張させることにより解熱作用を発揮するものもある。
つまりフォルクヴァンが服用するサプリメントに含まれる成分は脳に作用しているということがいえよう。
とはいえ解熱鎮痛剤を常用し続けると脳の中枢神経の痛みの感受性が変化し、ふとした事でも頭痛を覚える様になるが、彼女にそういった描写はない。となるとこのサプリメントは西洋医学ではなく東洋医学の漢方由来なのかもしれない。ちょうどヤンが売っているし。

漢方は風邪の種類で薬が違う。ひとつは悪寒を覚える風邪・傷寒中風と発熱する風邪・温病がある。傷寒中風は発熱を促す類の漢方薬を使うのでここでは無視して、温病に効く解熱作用のある漢方を調べてみると、銀翹散と香蘇散に辿り着く。銀翹散は飲みすぎると筋肉痛や手足のだるさなどが出るためスポーツ選手には不向きだろう。香蘇散は解熱に加えてモヤモヤした気分を発散してくれる作用がある。但し、香蘇散は穏やかな効能なので多量に服用する可能性があり、重くはないものの副作用に浮腫や血圧上昇がある…がフォルクヴァンは汗かきだしそもそもニケに心臓があるかといえば…体液があるので循環させる人工心臓(註 ニケはエナジーコアが心臓部にあるので場所はズレるか?)があるかもだが。

結論として、フォルクヴァンの皮膚の外部調節機能または脳の視床下部の体温調節機能(もしくは両方)はおそらくバグっている。そのため、体温が必要以上に上昇する。まず発汗して体温を下げようと脳およびボディが試みる。だがフォルクヴァンはそれを嫌がるのでサプリによる解熱を試みる(それ以外にもアイスパーフェクトや扇風機・クーラーなども併用する)。これを繰り返し続けたので主にサプリが働く視床下部の体温調節機能がさらにおかしくなりセットポイントがズレまくるのと同時に、サプリの服用過多(彼女はなんと1日20〜30粒も服用する!)により効果そのものも起こりづらくなるという負のスパイラルに陥ってしまったのだ。
なおメアリー医師の見立てはこちら↓


この後、フォルクヴァンは大会までの時間がないことを理由に、温泉を利用したセットポイント修正法を試すことになるのだが、ここで私はとあるnoteの記事を読んだ。梅干しの酸味が汗腺を収斂させるとな!?早速梅干しを30個ほど食べよう!(コラコラ)


今回は主にフォルクヴァンの事案を見てきたが、他の事例にもサプリメントは関わっている。プリバティは美容に良いとドラーのゴリ押しを受けてサプリメントなどの美容グッズを高額で売りつけられたし、ベスティーは自信の無さを突かれ、やる気が出せるようなサプリメントで改善しないかとヤンに説得されお買い上げしている。諸悪の根源は銭ゲバのタレント部隊なのでは?

