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摂食障害 愛よ!社会人編①

ソフトウェア開発の会社にシステムエンジニアとして入社した。
父を亡くしたショックと忙しさで拒食の再発し、同期入社の集合写真にはまるで背後霊のような自分が写っていた。
拒食のせいで私の脳は萎縮していた。
新しいことが覚えられなかった。同じことがグルグル頭の中を廻り、真っ白になっていく。
そもそもシステム開発には興味が無かったのかもしれないが…

とにかくやる気を見せなくては!と研修では積極的に手を挙げて質問しまくった。
初めはそんなものだったが、徐々におかしくなっていく。
急に泣いたり笑ったり、研修中に走って外に出て連れ戻されたり、叫び声を上げたりし始めた。
先輩や指導する怖い上司は私を叱らなかった。
面白いね!と言って笑った。
どうやらただのユニークなキャラクターだと思われたようだ。
研修の私の評価は、「奇行が多いが、積極的である」だった。

今思えば、後に判明する双極症の片鱗を感じるのだ。

同期達はとても仲良くしてくれた。休日にはプールや遊園地に遊びに行き、地獄のような大学生活を払拭するかのように過ごした。
拒食は少しずつ良くなっていった。
皆んなと楽しく飲食できていたし、私が食べ物をたくさん残すと皆んなが心配したからであった。私が摂食障害であることは誰にも言わなかったが、
「食べないとダメ。」などという説教など一切せずに、「その料理とこれ、交換しようか?」「今日は食欲があるんだね!良かった。」と言ってくれたのである。
研修中、様子がおかしい私なんてクビになってもおかしく無かった。周りと距離を置かれてもおかしく無かったのに、クビにもならず、皆んなたくさん遊んでくれて私は良い人たちに恵まれていた。

しかし、社会人1年目の冬、柄にもなく男女トラブルを起こしてしまう。あまり詳細は書けないが、バレンタインの日、なぜだか知らないが私はその男からチョコレートが入っているであろう箱を受け取る。(普通反対じゃない?)
そして私の昔からの友人と交際したいと言うのだ。訳が分からなかった。彼は有名なB専であった。私はそんなクソ男はどうでも良かったのだが、長年の友人に裏切られたことに深く傷ついてしまった。人間性に問題がある人だとは思っていたが、私が見捨てたら彼女は友達がいなくなってしまうのを不憫に思い、ズルズルときてしまっていた。付き合う友人は選ぶべきだった、私も悪い。

彼にもらった謎の箱を持って電車に乗っていた。
地元の駅で降りて、改札の近くのゴミ箱の前に立った。
そして思い切り、手に持った箱をゴミ箱の中に投げつけた。

ブツンッ

頭の中の何かが切れた音がはっきりと聞こえた。

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