麻雀サーバーを追放された最強雀士、同じくサーバーを追放された最弱雀士を導き雀聖へと昇段させる
雀魂はユーザー数、数十万人を誇る人気ゲームである。
そんなユーザー達の上位100名がトップ画面から確認出来る。
ランキングには
1位 トリスタン
2位 サウスリーブス
3位 look7
・
・
・
と言う者たちが名を連ねる。
しかし麻雀は運ゲー。段位という実力の指標はあるものの可視化が難しい。
Xを見ているせいで感覚がおかしくなっているが、ガチ勢よりもエンジョイ勢が大多数を占めているのである。
──────
イゾルデというユーザーネームのプレイヤーがある事件に巻き込まれていた。
あぐスー「お前が出会い厨してるってことはDMでわかってんだよ」
discordサーバーの白熊アイコンの管理者がイゾルデを威圧する。
しかしイゾルデにとって全く身に覚えのないことだった。
麻雀を教えて欲しいと頼まれ確かに女性とDMのやり取りはしていた。
しかしあくまで麻雀についてのみだった。
あぐスー「ここに証拠がある」
提示された画像は巧妙に加工されている。
何故こんな事をするのか心当たりがあった。
イゾルデの牌譜検討や助言によって段位が上がったという報告がサーバー内で増えており、それまで頼られていたリーダーのあぐスーが存在感を無くしていたことである。
あぐスー「雀傑風情が!」
あぐスーのその言葉と共にイゾルデはサーバーから追放されることになる。
─────
サーバーを追放されたイゾルデだったがYouTubeに配信チャンネルを持っており、毎夜22時から1半荘だけするということを日課にしていた。
追放された事でそれもこれを機に止めようと思っていた。
最後の配信ならば構わないかと考えたイゾルデは冤罪でサーバーを追放された話しをし始めた。
しかし話したところで無名配信者の金の間配信など見に来る視聴者など居ないと思っていた……がしかし。
『こんばんは』
その日は珍しく視聴者からコメントがあった。
イゾルデ「はじめまして。えびてんくん、コメントありがとう」
イゾルデは視聴者が居たことで素直に嬉しくなった。
傷心していたので尚更だった。
えびてん『私も麻雀サーバーを追放されてしまって……』
イゾルデは驚いた。
自分と同じ境遇の視聴者に運命すら感じていた。
えびてん「事情を聞いても?」
イゾルデがそう言うと視聴者えびてんのコメントが綴られていく。
麻雀を教わっていたがどれだけ教わっても上達せずヤル気がないと非難され挙げ句追放されたということだった。
通話で相当酷いことを言われたようである。
イゾルデ「もし良ければ僕が麻雀教えましょうか?」
しばらくの間を置きコメントが付く。
えびてん『私、麻雀がすごく下手なので教える価値ないですよ?』
えびてんのコメントにイゾルデは胸が痛んだ。
それほどの事を言われたのだと直感したからだ。
イゾルデ「大丈夫ですよ」
そして直近でえびてんが打った牌譜をコメントに貼り付けてもらい検討が始まった。
イゾルデ「えびてんくん、これはなんで切ったの?」
コメントでのやり取りであるため時間がかかるがイゾルデは黙って待つ。
えびてんの打牌理由を聞いた上で助言をする。
えびてん『あ、あの。同接が2人になっているので迷惑がかかるんじゃ……』
イゾルデ「あ、それ僕のサブ垢……一応ちゃんと配信出来てるか確認のために置いてます……」
底辺配信者の悲しすぎる現実である。
えびてん『なんかごめんなさい』
二人の間に壁が無くなったのかそこからテンポ良く検討が行われた。
────
───
──
えびてん『ありがとうございました。イゾルデさんは理由をちゃんと聞いてくれて怒らないので教わって良かったです。これからも麻雀教えてもらって良いですか?』
配信をやめるつもりだったイゾルデに続ける理由が出来てしまったのだった。
イゾルデの過疎配信はすっかりえびてんに麻雀を教える配信と化していた。
イゾルデ(えびてんくんは決して向上心がないわけでもないし理解力が低いわけではない。打点を見るための無理な混一色や三色を狙った明らかに損な打牌が課題のように思える)
えびてんの麻雀センスは並より上というイゾルデの認識は合っており、牌譜を見るたびえびてんの雀力は向上していた。
イゾルデ「もしえびてんくんの都合が合えば友人戦で通話しながら麻雀してみますか?視聴者さんが入ってくれればいいけど過疎配信ですし……僕の友達二人に入ってもらおうと思いますので」
えびてんの返信コメントがなかなか来ない。イゾルデは仲良くなっていたつもりだったがまだ時期尚早かと思い後悔した。
しかし。
えびてん『大丈夫です』
イゾルデは胸を撫で下ろすとえびてんと都合を合わせるのだった。
そして友人戦の日。
緊張していたえびてんだったがdiscordに繋がったアイコンと名前でその緊張は頂点に達した。
イゾルデの声を掛けた二人が雀魂に100名ほどしか存在していないW魂天だったからである。
一人は、じろ〜999歳という野良猫アイコンであり、えびてんもよくTLで流れてくるポストを目にしていた人物である。
もう一人はリズメという可愛い幼女アイコン(中身は男)の人物で天鳳の高段位でもあることをえびてんも知っていた。
イゾルデ「お2人とも今回は友人戦に応じてくださりありがとうございます」
イゾルデの言葉に二人が答える。
リズメ「こちらこそお久しぶりです……!また一緒に麻雀が打てて嬉しくて」
リズメは感極まったような声をしていた。
じろ〜「ホントに声をかけてもらえて嬉しいニャー!」
語尾にニャーを付けてる異常者にえびてんはビビった。
しかしそれ以上に二人の口から出た名前にえびてんは驚愕した。
リズメ&じろ〜「トリスタンさん」
雀魂ランキング1位の名前である。しかし現在ログインが確認されていないという噂があった。
えびてんはトリスタンとイゾルデというタイトルのワーグナーの楽劇がある事を思い出していた。
イゾルデ「アカウントへのログインが出来なくなって麻雀へのモチベがなくなって以来です。今はイゾルデでプレイしてますので……えびてんくんも混乱すると思いますし」
3人の輪の中には入りにくい空気のように思われたが通話に慣れている3人はえびてんへの配慮も忘れていない。
リズメ「えびてんくん今日はよろしくお願いします」
じろ〜「よろしくニャー」
リズメとじろ〜から声を掛けられえびてんも安心する。
えびてん「よ、よろしくお願いします」
えびてんの声に驚いたのはイゾルデたち3人だった。
イゾルデ「女性だったんですね……」
リズメ「男だと聞いていたのですが」
じろ〜「ビックリしたニャ」
えびてん「すみません。今さらなかなか言い出しにくくて……」
どうやらイゾルデが通話友人戦に対する返答が遅かったのはこれが原因だったようだ。
イゾルデ「いえいえお気になさらず!じゃあ友人戦を建てますのでよろしくお願いします」
えびてん「ありがとうございます!」
こうして友人戦が始まるのだった。
一打ごとの時間はたっぷり300秒に設定されており、まだ打牌選択に時間のかかるえびてんとしては非常に有り難いことだった。
以前のサーバーでは早く打てと急かされる事が多く打牌ミスも多くなり、それが原因で検討では叩かれ辛いことが多かった。
しかし今打ってくれている3人はえびてんが迷えば、ゆっくり考えていいですよ、検討の時はここの牌姿を皆で考えましょう、みんなどれだけ打っても所詮麻雀1年生ニャなどと言ってくれるおかげでえびてんは非常にリラックスして打つことが出来た。
対局が終わり、検討が始まる。
ほぼえびてんの手牌への助言が主だったが、ところどころで勃発するイゾルデたち上級者同士の打牌批判が思いのほか面白くてえびてんは笑ってしまった。
S級ミスはしっかりメモし次は絶対にしないよう心掛ける。
えびてんにとって楽しく為になる貴重な牌譜検討となった。
リズメ「えびてんさんは自分で思ってるほど下手ではないと思いますよ。とてもセンスがいい」
じろ〜「ノートにちゃんとメモしてるのも好感度高いニャー。教えたくなるニャ!」
そんな言葉をリズメとじろ〜からもらい、これまでツラい思いばかりした牌譜検討で嬉し泣きしそうになる。
イゾルデ「えびてんさんならきっとすぐに雀聖になれると思います!頑張って!」
えびてん「うぅ〜イゾルデ先生のおかげです……」
自分を褒めて認めてくれる3人の優しさにえびてんは涙腺が崩壊していた。
麻雀サーバーを追放された二人が偶然出会ったことで物語は動き出した。
そしてえびてんの段位戦への挑戦が始まる。
その過程でイゾルデをサーバーから追放したあの憎き白熊あぐスーとも対局することになる──────。
──────
雀魂ランキング1位のアカウントを失ってエンジョイ勢と化したイゾルデだったが、えびてんの麻雀への取り組みを見て鬼打ち勢だったモチベが蘇る。
イゾルデ「えびてんさんに麻雀を教えるのに雀傑のままでいるわけにはいかない。1日100半荘打って1週間で魂天になる」
それを聞いたじろ〜はさすがに狂ってるニャと思った。
一方えびてんは熱心に段位戦を打っていた。
今まではなんとなく扱っていた牌効率を手牌のシャンテン数と打点に合わせて考えられるようになっていた。
ここまで雀力が向上したのはイゾルデが作ってくれたサーバーに牌譜を投げると音速で3人の内の誰かがアドバイスをしてくれるからである。
段位戦以外に特にやる事がない鬼打ち勢は基本ヒマ人であり、打牌の言語化が無駄に得意であるため教える事に長けていた。
更にえびてんが反抗することもなく素直に助言を受け入れてくれるため3人が積極的に教えようという気持ちになったのも大きかった。
まだ打牌が遅かったり、微差の選択を間違える事もあるが逆に欠点を挙げればその程度である。
イゾルデたちと知り合い2ヶ月が経過し、3人からのアドバイスをメモしたノートは既に3冊目に突入しており、この短期間でどれだけえびてんが麻雀に打ち込んだかが察せられた。
努力に裏打ちされた現在の雀力である。
実力が向上した事によって段位戦へのモチベも上がり雀傑1だった段位もあっという間に雀豪へ上がっていた。
苦戦を強いられると思われた玉の間だったがイゾルデ達の教え方は玉の間以上を想定した助言だったため努力の結果がここで真価を発揮する。
玉の間で打ち始めて僅か1ヶ月で雀豪3の3500ポイントへ到達。
あと1トップで雀聖昇段へと至ったのだった。
そして1週間で魂天になるつもりだったイゾルデだったがさすがに不可能だと悟り目標を変更、3ヶ月で雀聖3、8000ポイントへ到達していた。
ランキング1位の本気にちょっと引いてしまったえびてんだったが昇段戦に臨む。
リズメ「昇段戦は緊張すると思いますが普段通りリラックスして打ってください」
リズメの言葉にしっかり頷く。
じろ〜「○ね!○ね!展開でも平常心を忘れてはいけないニャ!」
段位戦を本気で打ち出してから闇に呑まれる事が増えていたので釘を刺される。
イゾルデ「頑張ってください!えびてんさんなら絶対に雀聖になれる!」
イゾルデから麻雀を教わってここまで来た、その恩人からの激励の言葉を胸に段位戦を押す。
─────対局開始!
表示されたプレイヤーネームにえびてんとイゾルデは目を見開いた。
あぐスー雀聖1。
イゾルデを加工したDMでハメてサーバーから追放した白熊アイコンの悪人である。
ストロベリーパンダ雀豪3。
あぐスーのサーバー『雀魂ムギダ珈琲部』の副部長であり、イゾルデが追放された原因となったDMをあぐスーに提供したと思われるユーザーである。
この2人が同卓していることにイゾルデは驚愕した。
最も不安視したのはコンビ打ちである。
そしてえびてんが言葉を失ったのはこのユーザー。
執事くも雀聖3。
えびてんをサーバーから追放した雀魂プレイヤーだったからである。
麻雀の神による悪戯がえびてんを襲う。
因縁渦巻く昇段戦が今始まる。
えびてんが執事くもと知り合ったのは彼のサーバーへ誘われたからだ。
麻雀のルールを覚え楽しさを知り、友人戦をしながらそのついでに麻雀を教わることの出来る環境を探している時に出会ったのである。
当時のえびてんからすると雀聖3の執事くもは遥か雲の上の段位者でありサーバーに誘われたことが嬉しくて二つ返事で参加したのだった。
麻雀にのめり込んでいたえびてんはサーバーの友人戦には積極的に参加した。
執事くも「悩んでいたら出てくる牌の周りが怪しいと思われるので早く切った方がいいですよ」
えびてん「はい!」
高段位である執事くもの言葉をえびてんは素直に聞いた。
しかし早く切る事を意識し過ぎ正解を選ぶことを優先しなくなっていった。
そして牌譜検討では受け入れ枚数の多い牌を選んでいないと叱責され笑いものにされてしまうのだった。
執事くも「ふふっ、たぶんえびてんさんから私の上がり牌が出てしまうかも知れません」
執事くもによって低段位であるえびてんを煽る空気がサーバー内で蔓延していく。
内心では怒りを募らせていたえびてんだが、麻雀初心者の自分は教わる立場であり我慢しなければならないと自分に言い聞かせた。
こうして頑張っていればいずれ上達するはずだと信じて。
執事くも「なんでこの間教えた事をもう忘れているんですか?えびてんさん」
つい先日教わったという牌姿からの何切る。確かに形は似ているが先日とは状況が違う。それを説明しようとえびてんが口を開こうとする。
執事くも「私たちの言うことを素直に聞くことが出来なければ上達しませんよ」
執事くもはえびてんに反論を許さない。そのやり取りを見て他の同卓者が笑う。
サーバー内ではえびてんはどういう扱いをしてもいい人間になっていた。
更にえびてんが女性ということで個別に下劣な写真を送られたり、出会い目的のメッセージが届いたことで、サーバーの管理人である執事くもへ相談することにしたのだった。
執事くも「まぁまぁこんなのは軽い冗談でしょう。あまり本気にしない方がいいと思います。えびてんさんはリアルで男性から誘われたことがないから余計に意識してしまっているだけでは?」
執事くもからは全く相手にされずサーバー内で関わりたくない人が増えていく。
こうしてえびてんはサーバー内で孤立していく。
麻雀を楽しむために入ったサーバーで嫌な思い、辛い思いをしいつしか麻雀を楽しめなくなっていた。
執事くも「えびてんさんには麻雀を上手くなろうという気はあるんですか?いくら教えても覚えないしやる気が見られない。教える価値がありません」
えびてんの中で張り詰めていた糸が切れた。
執事くもの言葉に頭が真っ白になった。
えびてん「ごめんなさい……ごめんなさい……」
泣きながら謝罪を繰り返すことしか出来なかった。
泣き出したえびてんを心底面倒になった執事くもはそのままサーバーから追放した。
数日間気落ちし麻雀も止めようと思っていたえびてんだったがたまたま開いたYouTubeの配信で同接1の過疎配信に自分を重ねて視聴することになる。
その配信者がまさか自分と同じようにサーバーを追放された麻雀民だとは知る由もなく。
─────
えびてん「し、執事くもさん……!」
過去が甦りえびてんの呼吸が早くなる。
そんな状況で冷静に打つことは難しかった。
えびてん「あっ……!しまった!ドラ見落としちゃった……ダメだ!落ち着かないと!えっ!?リーチ!?」
普段なら親の現物を手牌価値に合わせて持っておくはずが今回は浮き足立っていたせいでそのバランスがめちゃくちゃだった。
えびてんは親マン放銃スタートとなってしまったのである。
執事くも 37000
えびてん 13000
ストロベリーパンダ 25000
あぐスー 25000
親の執事くもへの痛恨の12000放銃でえびてんは大きく点数を減らす。
えびてん「と、とにかく落ち着いて……」
鼓動が大きくそして早くなるのが自覚出来た。
えびてん「む、無理だ……このままじゃ」
そんな状態のまま執事くもの第1打が切り出される。
えびてん「配牌は微妙、しっかり安牌を抱えて安全進行で……あっ!」
思いのほかツモが良く安牌など抱えず目いっぱいに受けていれば8巡目ドラ2の両面リーチが打てていた。
えびてん「ま、まだテンパイへ向かえる!」
そこへロンの声が響く。
えびてんは中途半端な押しをしてしまい2副露していたあぐスーへ放銃してしまう。
えびてん「に、2300点で良かった……ダメだよ!副露者を全然ケアしてなかった!」
執事くも 37000
えびてん 10700
ストロベリーパンダ 25000
あぐスー27300
全く落ち着きを取り戻せないまま東2局へ。
そこにえびてんのスマホに通知が届く。
イゾルデ『えびてんさん、落ち着いて深呼吸を』
じろ〜『オシャレなネイルを見て心を落ち着かせるニャー』
リズメ『手元に飲み物があれば飲んでリラックスしてください』
イゾルデ達が観戦してくれているのだろう。5分ディレイがあるとは言えこれほど早くメッセージが飛んでくるのはそれだけ普段のえびてんとは違う打牌を選択していたということだ。
えびてんが段位戦を本格的に始めて厳しい展開に見舞われた時に○ね!という強い言葉を無意識に使うようになっていた。
麻雀ではメンタルが大事とイゾルデ達から言われたが直すことが難しかった。
そこで○ね!という感情を抱いた時、まず深呼吸をしネイルを眺め飲み物をひと口飲む、それがえびてんにとっての心を落ち着かせるためのルーティンとなっていた。
えびてん「みんな、ありがとう」
えびてんから焦燥感が消えた。
目の前の配牌から複数の最終形を構想する。
そして6巡目を迎え一旦、現在の手牌価値を考える。
要所要所で手牌価値を考えるようになったのは大きな成長である。
『手牌価値ガー!』
というフレーズをよく使う稚子というVTuberをオススメされたのも大きい。
えびてんも配信を観始めてからそのフレーズを使う事が増えた。
しかしある時、稚子謝罪会見という配信が始まり困惑する。
ヒルダツバメという女性VTuberと北海道旅行へ行ったと匂わせた所、激しく炎上。
真相は奇跡的な確率でたまたま同じ日に北海道の同じ場所を旅行しただけだった。
ちなみに稚子がXにアップしたキタキツネの写真に吹き出しを付けて「キツネだけに結コン?」とリプしたじろ〜は稚子からブロックを食らったと言う。
話しは大きく逸れたがえびてんがこの短期間で雀力が伸ばせたのはこの手牌価値の見極めによる所が大きかったのである。
えびてん「良かった!いつも通りに戻れた!」
東2局は4人ノーテンにより流局したがえびてんはメンタル面を回復させることが出来たのだった。
執事くも 37000
えびてん 10700
ストロベリーパンダ 25000
あぐスー 27300
1本場
一方、観戦をしていたイゾルデは不安を感じていた。
イゾルデ「このあぐスーさんとストロベリーパンダさんはムギダ珈琲部というサーバーの部長と副部長の関係なんです」
それを聞いたリズメが事態を察する。
リズメ「それなら本当に同じタイミングで段位戦ボタンを押して故意に同卓している可能性がありますね」
じろ〜「コンビ打ちしてる様子が見受けられたら即通報するニャ!」
3人はあぐスーとストパンの打牌を注意深く観察するのだった。
えびてんに先程まであった焦燥感が消えている事を執事くもは感じ取っていた。
流石は雀聖3である。
執事くも「サーバーを追放してからイゾルデとかいう低段位から麻雀を教わっていて笑えましたけどクズからゴミくらいには成長してるみたいですね」
Xの監視は怠らない、それが執事くもである。
執事くも「両面が先に埋まりましたか……ですがこれで良い。モロヒリーチ」
執事くもはそう呟きながら薄ら笑いを浮かべた。
えびてんとは何度もサーバー内で友人戦をした。
降りる時はまず筋を切れと教えていた。
えびてんは現物が無くなれば確実に筋を追う。
そして放銃したえびてんは1万点を割り絶望に顔を歪めるだろう、その姿を想像すると執事くもは笑いを堪え切れなかった。
────
えびてん「カンチャン待ちへの危険度の比較?」
えびてんは初めて聞く用語に目を丸くした。
イゾルデ「そうです。🀠と🀗、どちらもリーチの筋ですが危険度に差があるんです」
えびてんはそういう時はいつも運を天に任せて選択していたが差があることに衝撃を受けた。
イゾルデ「リーチ者は1打目に🀡を切っているので🀠の方がやや安全なんです」
えびてん「あっ!🀝🀟🀡からすぐに切らないからですか?」
イゾルデは「ただし配牌が良いケースもあるので絶対ではありません」と注意を添えてえびてんの言葉を肯定した。
────
執事くも「えびてんが筋を切らないだと……!?」
執事くもは終盤になり苛立っていた。
えびてん「安全度比較!安全度比較!」
えびてんは慎重に降りていた。一巡ごとに安全度比較をするため他家へのケアも万全だ。
そして流局。執事くもの1人テンパイである。
絶対にえびてんから上がれると思っていた執事くもは歯軋りをした。
執事くも 39000
えびてん 9700
ストロベリーパンダ 24000
あぐスー 26300
供託1本 2本場
そして執事くものテンパイ形を見てえびてんの脳内にイゾルデの言葉が響く。
イゾルデ「えびてんさんはリーチに凄く筋を追いますよね」
執事くもによって刷り込まれていた弱点はイゾルデに改善されていた。
えびてん「きっと私から出ると思ってモロ引っ掛けリーチしたんだ……執事くもさん」
えびてんの中でふつふつと何か熱いものが湧き上がっていた。
───
じろ〜「怒りは雀士にとって重要なトリガーニャ。相手を怒らせてしまったばかりに格下に遅れを取ることもあるニャ。逆もまた然り。怒りで雀力を乱し、実力を発揮できず負けることもあるニャ!」
えびてんはすぐに呪術廻戦からパクってるとわかった。
じろ〜「麻雀で怒る時は冷静に怒るんだニャ!そうすると不思議!良い手が来るニャ!」
このネコは何を言ってるんだと思っていたえびてんだったが今はそれを理解出来ていた。
次局、えびてんの思いに牌が応える。
配牌二向聴、ストレートにテンパイしリーチ。
ドラを固めていたあぐスーが無筋を1枚勝負する。
えびてん「ロン!8000の2本場8600」
えびてんが大きく点棒を回復させた。
あぐスー「ぐおおおおお!」
あぐスーは悶絶した。
というのもえびてんは雀聖昇段戦、それに対しあぐスーは雀聖1とは言え230ポイントしかなく1ラスで降段なのである。
本業の三麻が不調だったため息抜きに4麻をして負けては笑えない。
あぐスー「この半荘、絶対負けられん」
次局あぐスーが牙を剥く。
執事くも 39000
えびてん19300
ストロベリーパンダ 24000
あぐスー 17700
─────
大きく点棒を失ったあぐスーは混一色へ照準を合わせる。
役牌が1つ対子、ソーズ1メンツだ。
観戦を続けていたイゾルデはコンビ打ちが行われる可能性のある局面だと直感した。
上家のストロベリーパンダの手牌の違和感を見逃さないよう目を見張る。
あぐスーは苦しい形からでも鳴けるソーズをなんでも鳴いていく。
イゾルデ「コンビ打ちとは決めつけられないソーズ切りですね」
ストロベリーパンダの手牌は整っており不要なソーズを切り出すのは自然だった。リズメもじろ〜も同意する。
イゾルデ「でも油断は出来ない」
イゾルデは静かに呟いた。
親のあぐスーの明らかなソーズ仕掛け、そして雑魚と侮っていたえびてんの成長への苛立ち、それが執事くもの意識からストロベリーパンダへの注意を損なわせた。
ストロベリーパンダ「ロン!8000」
執事くも「くっ!豪3ごときがダマだと!?豪レベルだと混一色に気付いてないってことも考慮するでしょ!」
ソーズ以外なら切っても問題ないと甘えた打牌をしていた事がストロベリーパンダのソーズ押しを見落とすこととなった。
執事くも 31000
えびてん 19300
ストロベリーパンダ 32000
あぐスー 17700
そして舞台は南場へと移る。
執事くもの親番である。
8000を放銃したものの31000点持ちである。
執事くも「豪2人と降段間近の聖1相手にイラつかされるこのクソゲー本当になんなんですかね」
執事くもの配牌は悪くない。聖3の運量の違いを見せつけていく。🀅を切り出した時である。
執事くも「🀅のラグですか」
執事くもはえびてんに教えた事をふと思い出した。
役牌が対子ならば即鳴いた方が良いと。
執事くも「ストパンさんかあぐスーさんのどちらかに対子というわけですね」
これはえびてんをよく知っているからこその人読みである。
しかし7巡目にえびてんから🀅が対子落としされる。
執事くも「は?」
執事くもは面食らった。先程から自分が教えた事に全て逆らっている。
執事くも「貴様は私の言う事を聞くだけの木偶だったろうが!えびてんんんんんん!」
────
イゾルデ「えびてんさんは役牌を積極的に仕掛けて行く事が多いですよね」
イゾルデの指摘にえびてんは鳴くよう教わった事を告げる。
イゾルデ「鳴くのは決して悪いことではないのですがこの手牌から役牌を鳴くと残った牌が中張牌ばかりでリーチに困りませんか?」
えびてんはハッとした。仕掛けたあとにリーチが来て困る事が非常に多かったからである。
リズメ「我々が鳴く時は守備牌があるかどうかを吟味していますね」
リズメが仕掛けの判断基準を助言する。
じろ〜「この手は逆に役牌が無ければタンヤオになるニャ。役牌を対子落とししてタンピン形を作ると打点が上がるのでオススメニャ」
じろ〜の言葉にえびてんは大きく頷いた。
───
このアドバイスを活かす絶好の手牌だった。
えびてんは🀅を対子落とししタンピン形のリーチを目指す。
🀊🀌🀍の形からだと本来不要になる🀊だが456の三色の可能性を見て🀊を手牌に残す。
イゾルデ「8巡目でこの🀊残しは賛否ありそうですが……」
リズメ「ええ、ですが2着目のストロベリーパンダさんの現物、親の執事くもさんには中筋、あぐスーさんには無筋ですが残して良いかと」
じろ〜「しっかり河を見ての判断すごい成長ぶりニャ!」
そしてえびてんは絶好の赤🀋を引き高目三色のテンパイである。
えびてん「リーチ!」
えびてんのリーチを受け執事くもの怒りは最高潮に達していた。
自身は3面、両面の一向聴がテンパイしないからである。
執事くもはあぐスーから出た牌を鳴きタンヤオテンパイ。
執事くも「2900ですがチーテン、えびてんさんの現物ならまぁ良いでしょう」
すぐに出てくるだろうと思った矢先である。
えびてん「ツモ!」
執事くもが鳴いて食い流れた牌でえびてんが高目ツモ。
メンタンピンツモ三色赤……そして裏。
えびてん「4000・8000」
えびてんはトップへ大きく近付く。
執事くも 23000
えびてん 35300
ストロベリーパンダ 28000
あぐスー 13700
「「「うおおおおお!!!」」」
イゾルデたち観戦組は大きな歓声を挙げた。
執事くも「ふ、ふざけるなよ……この上家のゴミ雀聖、よりによって私が鳴ける牌を切りやがって……だから降段戦になるまで負けるんですよ!」
執事くもは鳴いたのは自分であるにもかかわらず、あぐスーに全て責任転嫁しボロカスに批判する。
えびてんは倍ツモを決め、以前ならもっと点数を稼ぐための麻雀をしていたが今はトップを守る麻雀も出来るようになっていた。
えびてん「2着とは7000点差、でもこの配牌なら守備を重視した方がいいかも」
南2局親番だがやや守備寄りに構える。これもイゾルデ達の指導によるものである。
中盤、執事くもが2副露3900のテンパイを入れる。
執事くも「これを上がればラスは遠のく!」
あぐスー「ロン!」
しかしダマテンしていたあぐスーへ5200を放銃してしまう。
執事くも「このゴミ雀聖!どこまでも私の邪魔を……!聖3のラス配分がいくらだと思っている!ラスだけは引きたくない……切実に」
執事くもはあぐスーとは僅差とは言えラス落ちしてしまう。
あぐスー「降段だけは……降段だけはしたくない……!」
あぐスーも必死である。
執事くも 17800
えびてん 35300
ストロベリーパンダ 28000
あぐスー 18900
南3局、ラス目の執事くもから先制リーチが入る。
えびてんとストロベリーパンダは押す必要なしと考え早々にベタオリ、リーチを蹴りたいあぐスーだったが厳しい無筋が3枚あり断念。
執事くも自身も押されると苦しい愚形待ちであったため他家を押さえ付けることに成功し安堵する。
そのまま流局、執事くもの1人テンパイである。執事くもは3着へ浮上する。
執事くも 19800
えびてん 34300
ストロベリーパンダ 27000
あぐスー 17900
オーラス、供託1、1本場でスタートである。
えびてん「上がりトップ!絶対にトップを取って昇段するぞ!」
えびてんは切られた🀆をすかさずポンしていく。
執事くも「2000点放銃でラス落ち、迂闊に放銃出来ないがアシストなら出来る!」
えびてんの上家である執事くもはアシストを敢行する。しかし流局時にテンパイノーテンであぐスーと着順が変わる事を考慮すると安易に中抜きは出来ない。
あぐスー「この聖3のクソ野郎、鳴かせようとしてる!?こっちもストパンちゃんとコンビ打ちするしかねぇ!」
ついにあぐスーがストロベリーパンダとの同卓アドバンテージを利用する時が訪れたのだった。
───
イゾルデ「コンビ打ちが行われるとしたらこの局でしょうね」
イゾルデの言葉にリズメとじろ〜が頷く。
コンビ打ちによってえびてんがラス落ちする事はまず無いだろうがコンビ打ちは不正行為である。
それが行われるのは許されない。
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あぐスー『🀎と🀚🀝、🀒を鳴かせて欲しい』
そんなメッセージがストロベリーパンダの画面に表示されていた。
当然あぐスーからのものである。
───
イゾルデ「あぐスーさんの欲しい牌はストロベリーパンダさんの出来メンツに1枚、ですが🀎は完全に浮いてますね。この🀎をコンビ打ちの証拠にするのは難しい」
いつ打ち出されてもおかしくない🀎だったがストロベリーパンダからは出ていかない。
リズメ「えっ?なにこれ?🀎止めてる?」
じろ〜「コンビ打ち前提の同卓だと思ってたけどまさか奇跡の同卓ニャ!?」
イゾルデ「稚子さんも北海道旅行は奇跡的に同じ日時で同じ旅行先だったと言ってましたけど……」
リズメ「いやあの人はヒルダツバメちゃんと匂わせポストをしたのが良くなかっただけです」
じろ〜「炎上は自業自得ニャ!」
イゾルデ&リズメ「たしかに!」
こうしてあぐスーとストロベリーパンダのコンビ打ち疑惑は払拭された。
───
あぐスー「うおおおおおい!なんで鳴かせてくれねぇの!?ストパンちゃん!?メッセージ見てない!?ラスはムリ!ホントムリ!」
捨て牌も3段目へと差し掛かった所でまだ二向聴のあぐスーは発狂した。
あぐスー「こんな字牌要らねぇよ!」
そう言って河へ叩き付けた🀅。
無情にも卓へ響くえびてんからのロンの声。
あぐスー「ぐおおおおお……ん?」
あぐスーは目を疑った。
あぐスー「あれ?三元牌高くね?」
それに気付いた時には切った🀅が宙へと浮き上がっていた。大三元炸裂である。
あぐスー「おおおおおおおい!ふざけんなよ!!!!!」
あぐスーはスマホを床に叩き付けていた。
執事くも 19800
えびてん 67600
ストロベリーパンダ 27000
あぐスー -14400
えびてん「うわあああああ!やった!役満!トップだ!雀聖だ!」
えびてんは歓喜の悲鳴を挙げた。
discordで観戦しているイゾルデ達のところへ。
5分ディレイ画面を観ながら成長している、教えた甲斐があった、強くなったなどえびてんを褒める言葉の連続に思わず笑がこぼれた。
そして観戦画面も終局。
イゾルデ「大三元での雀聖昇段おめでとうございます」
イゾルデの言葉に涙が溢れた。
ここまで自分に麻雀を教えてくれた3人に感謝の気持ちが止まらない。
嬉し過ぎて言葉にならない。
そんなえびてんを3人は落ち着くまで静かに待ってくれていた。
えびてん「この3ヶ月間たくさん麻雀を教えてくれてありがとうございました。昇段出来たのは3人のおかげ!前のサーバーを追放された時は麻雀が本当に嫌いになりそうになって麻雀を辞めようと思ってたのに今は麻雀が本当に本当に楽しくて……!3人ともありがとう!」
えびてんの言葉にイゾルデ達も胸が熱くなる。
こうして他者の昇段の一助になれたこと、麻雀を教えることの喜びとそのリターンの大きさに感動していた。
イゾルデ「まだまだえびてんさんには教えたい事がありますしこれからもよろしくお願いします」
イゾルデが心強い言葉を送る。
リズメ「そうですね。メンタル面や微差の打牌選択に課題有りですから」
リズメが弱点を指摘しつつも照れくさそうに言う。
じろ〜「目指せ魂天ニャ!えびてんちゃんならなれるニャ!」
じろ〜の真っ直ぐな言葉も素直に嬉しい。
そしてえびてんの雀聖昇段記念友人戦が始まろうとした時、イゾルデに1件のLINEが届く。
イゾルデ「はっ?えっ?マジ?」
混乱している様子のイゾルデに3人が心配そうに声を掛ける。
そのLINEはイゾルデの母親からのものだった。
『ランキング1位のトリスタン垢は私が盗んでおりました。ランキング1位の垢でドヤるのが気持ち良くて返せませんでした……パクってから早3ヶ月、ずっと悩んでいましたが垢を返却します 母より』
どうやら3ヶ月前、実家に1泊した時にアカウントを抜かれたらしい。トリスタン垢は戻ってきたことにえびてんを始め皆が喜んでくれたがイゾルデは戦慄していた。
イゾルデ(iPhoneのロック画面どうやって突破したんだよ!?オカン!)
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イゾルデはランキング1位トリスタン垢が戻ってきたということをXで公開。
このポストに喜んだ錚々たる魂天のランカー達や有名な雀魂プレイヤー、VTuber達の名前がリプ欄に並ぶ。
執事くも「は?えびてんさんに麻雀を教えていたあのイゾルデとかいう雀傑プレイヤーがランキング1位のトリスタン?どういう冗談なんですか?」
麻雀を教えていたえびてんとは段位戦で同卓しギリギリでラスは引かなかったものの苦渋を飲まされ、今現在のえびてんの師には段位による圧倒的マウントを取られ執事くものプライドはズタズタに傷付けられていた。
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あぐスー「大三元放銃のラス……ストロベリーパンダ副部長!なんでアシストしてくれなかったんですか!?ムギダ珈琲麻雀部の仲間じゃないですか!」
あぐスーからの通話に応じたストロベリーパンダが呆れる。
ストロベリーパンダ「たまたま同卓しただけでコンビ打ちを疑われるような真似は出来ません」
あぐスー「絶対バレませんよ!玉の間ですし他にどれだけ卓が立っているのか、その中でオーラスに1回くらい故意のアシストを発見するなんて不可能です!はぁ……おかげで降段ですよ」
全てストロベリーパンダに責任があるかのような言い方だった。
ストロベリーパンダ「あぐスー部長が私とイゾルデさんのDMを加工してサーバーから追放した事、私は本当に怒っているんですよ。コンビ打ちを示唆するメッセージはスクショして残してありますし、この通話も録音してます」
ストロベリーパンダの言葉にあぐスーは唖然とした。
あぐスー「は?え?何言ってるんですか?ストロベリーパンダさん……」
あぐスーを無視するようにストロベリーパンダは続ける。
ストロベリーパンダ「ムギダ珈琲麻雀部で私が信用出来ると思っている人にイゾルデさんの件と今回の件については話してあります。既にその信用出来るメンバーと新しいムギダ珈琲麻雀部のサーバーを立ち上げているんです。コンビ打ちの件についてはXで公表するつもりです!」
あぐスーはその言葉に焦った。
あぐスー「は?やめろ!そんな事をしたらオレの立場が……」
ストロベリーパンダ「そうやってあぐスー部長もイゾルデさんを追い込んだんでしょう?ただあぐスー部長はコンビ打ちの示唆の罪があるのでアカウントごと消し飛ぶかもしれませんけど」
ストロベリーパンダは冷たく言い捨てた。
あぐスー「やめろ!やめろ!やめろぉぉおおお!三麻魂天になるのに何千半荘打ったと思って……」
ストロベリーパンダ「見苦し過ぎます、あぐスー部長お疲れ様でした」
ストロベリーパンダは通話を切りあぐスーをブロックした。
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あぐスーのコンビ打ち示唆のポストは麻雀界に一瞬にして広まった。
過去に2人でコンビ打ちしていたのでは?というなんの証拠もない心無い声もあったが、告発したストロベリーパンダの勇気を讃える流れにかき消された。
そしてストロベリーパンダによって生まれた横暴な管理者を告発する流れが様々なサーバーで巻き起こる。
えびてんをサーバーから追放した執事くもにも批判の声が挙がった。
サーバー内でイジりと称したイジメをずっと不快に感じていた者は一定数おり、今回のストロベリーパンダの行動に触発されたのである。
執事くも「ふざけるなよ……なんなんだ、私が2年かけてここまで大きくしていったサーバーだぞ……許さない、絶対に許さないぞ!えびてん!トリスタンんんんんん!!!!!」
こうして執事くもは管理していたサーバーを追放されたのだった。
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サーバーを追放されたイゾルデとえびてん、二人は偶然出会い、麻雀を通して成長した。
辛い思いをした2人だからこそ1番大切なことは楽しく麻雀を打つことだと確信している。
自分たちのような人が少なくなるように、麻雀界隈が少しでも良くなるように、えびてんは空へ願った。
fin