𝑷𝒓𝒐𝒍𝒐𝒈___ 29歳にして初めて出来た彼女、その彼女に別れを告げられていた。 「嫌なところダメなところ全部直すから!別れたくないんだ!」 「ごめんね。言いたくはないけど顔がどうしても好きになれないの。麻雀が趣味っていうのも、ね。麻雀なんてギャンブルでしょう?」 男はこうして失意のどん底に突き落とされた。 顔で男を選ぶ女に強い恨みを抱きながら。 ─────── 店長「ゴール君、久しぶりだね」 ゴールと言うのははもちろんあだ名である。
高台から眺めるこの海の見える景色が一番好きだった。 黒井鯛之助は港町に生まれた。 漁師をしていた父は長男が産まれたことを喜び祝いの意味を持つ『鯛』の文字を名前に付けた。 しかし名字が黒井だったため祝いの意味を持つ真鯛ではなく黒鯛というアダ名になってしまうことにこの時誰も気付かなかった。 黒鯛少年は漁師の父を尊敬していた。 将来は自分も父のような立派な漁師になるのだと決めていた。 なので幼い頃から率先して父の仕事の手伝いをしていた。力仕事も多くしてい
南1局、親は我見。 我見はサイドテーブルのドリンクを口にした。身体に水分が取り込まれていくのを感じる。思いの外、喉が渇いていたようだ。 流局はないが連荘が何度も生まれ東場が随分長引いている。 百戦錬磨の我見も最終戦で緊張しているのだろうか。 我見(オレこそが最強だと言うことを解らせてやる) 否、我見にとってこの半荘もいつも通り粛々と己の麻雀を打つだけだ。 我見がギフト『Silent Movie(背景浪漫)』を展開し各々の運量を推し量る。羊雲、幻神の運量は東場
麻雀は一大エンターテインメントとして日本国内中に浸透していた。 今やギャンブルのイメージは払拭され将棋や囲碁と同等に扱われ、麻雀を教える子供向けの塾や教室も大盛況であり、一部の学校では麻雀が授業に組み込まれている程である。 そして麻雀プロの地位も向上した。以前はハードルの低かった資格試験も狭き門となり名ばかりのプロは激減して行った。 そんなプロの対局は大変な集客力があり数多のスポンサーが付き興行として大成功を収めていた。 日本中が熱狂する夏の甲子園、高校球児達
雀魂はユーザー数、数十万人を誇る人気ゲームである。 そんなユーザー達の上位100名がトップ画面から確認出来る。 ランキングには 1位 トリスタン 2位 サウスリーブス 3位 look7 ・ ・ ・ と言う者たちが名を連ねる。 しかし麻雀は運ゲー。段位という実力の指標はあるものの可視化が難しい。 Xを見ているせいで感覚がおかしくなっているが、ガチ勢よりもエンジョイ勢が大多数を占めているのである。 ────── イゾルデというユーザーネームのプレイヤーがある事件に巻き込
初戦でラスを引いてしまったゆうれいいかは背中に鋭い痛みを感じていた。 そしてチームの元へ戻った時、突如倒れてしまう。 矩継凛(背骨のケガはゆうれいいかさんの選手生命に関わる……) ゆうれいいか「日常生活に関わるわ」 しいお西先生「どんどん良くなるいかちゃんの打牌に、ケガを見て見ぬ振りをしてしまった……指導者失格です」 ゆうれいいか「打牌は全然良くなってないでしょ」 観客席からはゆうれいいかを鼓舞する応援が響く。 せどなりあん「連投だろ!ゆうれいいか!早く出てこい
∑エスロビー編。 ゆうれいいか「ロ凛(ろりん)!まだお前の口から聞いてねぇ!いきたいと言えぇぇえええ!」 しーおしーお・いっとー「ロ凛……」 ゴーイングめりー号「ロ凛様……」 ロ凛(望んではいけない事だと思ってた。それを許してはくれなかった。もし本当に望みを言って良いのなら……私は……) ロ凛「行ぎたいッ!!!!!えんぺん社を辞めてぽんてんに!ドラフト前から自分に合っているチームはぽんてんだと思ってた!」 ゆうれいいか「かくきング、凛さんの頭を撃ち抜け!」 かく
緑一色を上がり逃した挙句ラスを引いてしまったかくきりこ.....。 アーロンに貯めていた1億ベリーを盗られたナミのように泣き崩れていた。 かくきりこ「いかちゃん勝って......(´つω;`)グスン」 ゆうれいいかはかくきりこの頭を一発ブン殴ると戦いへと向かうのだった。 東1局 ゆうれいいか南家 しいおいと社長の期待、りんさんの天鳳上卓勝てないという愚痴、めりーさんという酔っ払いの相手、先程かくきりこへ1発喝を入れ、チームメイトの思いを背負いもらった東発の配牌がこれ