夜舞毎
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そのころわたしは、一人の男とつき合っていた。男は大学の1年生でわたしの家庭教師だった。 「暑いなぁ、エアコン入れようよ」 夏休み。机に向かうわたしの横で男はいった。 「エアコンは身体によくない。夏風邪でも引いたらどうするの」 わたしは苦手な数学の問題集をにらみつけていう。 「でもさ、これだけ暑いと、かえって身体によくないぜ」 「いいの、わたしは暑くないから」 女として、未熟で無防備だったと責められてもしかたがない。いまとなってはそう思う。 わたしはタン
まっ白な肌をおおうオレンジ色のビキニ。うつむけば乳肉がいまにもこぼれ落ちそうで、腰にはゆったりとした贅肉がついている。 日に焼けるのがいやなのか、ひさしの大きなサンバイザーにサングラス。ビールを飲みながら、ビーチパラソルの下でダンナと子どもが水遊びをするのをながめている。 むっちりとした太もも、少し茶色に染まった長い髪。ほほ笑む口もとからこぼれる歯は白く、並びもいい。 そんな女を、オレたち3人は背後から忍び寄り、口を押さえ、じたばた暴れる脚をかかえて砂浜から連れ出し
「しまった、月曜日か」 ボクは閉ざされた兄の店の前に立ち、思わず口にする。 「まいったなぁ、自分でそるのもなぁ」 大学を出て7年間、編集プロダクションに勤めた。その後、フリーのライターになって1年が過ぎた。独身だからどうにか生きているが、仕事がなくて苦労している。 そんなボクに、知り合いの編集者が仕事をまわしてくれた。あしたは、その打ち合わせがある。 「どうしよう、兄貴、いないのかなぁ」 肌の弱いボクは、ヒゲをそるのが苦手だ。電動シェーバーでもカミソリ負け
「長くて苦しい受験戦争を勝ち抜き、ようやく一流大学に合格した。だから、めいっぱい遊びたかった。そうだな」 薄暗い取調室で刑事はいう。 「はい……」 真一郎は、うつむきながら答える。 「ヤリたい盛りの大学生だ、遊びの目的といえば女。そのために、こんなサークルをつくった」 刑事は、サークルメンバー募集のチラシを机の上におく。パソコンでデザインされたチラシはお粗末なものだが、内容はきらびやかで底抜けに明るい。 「はい、間違いありません」 「一流大学の女子大生だ、
肩より少し長いストレートな髪を揺らし、白いブラウス姿の沙也香は明の一物をしゃぶっていた。 明は仁王立ちになり、下半身だけを露出させ、沙也香の頭に手をおいている。 「ああ、沙也香ちゃん、沙也香ちゃん」 「お兄ちゃん、妹に“ちゃん”はおかしいよ。沙也香って呼んで」 唇からモノをはずし、細くしなやかな手でしごきながら、上目づかいで沙也香はいう。 「け、けど」 「いってくれなきゃ、やめちゃうよ。沙也香はお兄ちゃんの妹。そうでしょ?」 長いまつ毛におおわれた大きなひ
金曜日、会社帰りに同僚と飲んで、オレは一人で公園を歩いていた。ほかのヤツらは2次会だ3次会だと、いまだに飲み歩いているかもしれないが、オレは突然言いわたされた休日出勤のため、そこまでつき合うことはできなかった。 「くそう、部長のヤツ」 別に月曜日になっても、じゅうぶん間に合う仕事だ。けれど部長は「信用ならん。あした来てキチンと終わらせろ!」とオレに命令しやがった。 「それはお気の毒。まあ、がんばってくれ」 ほかのヤツらもそういって、夜の街にくり出していく。オレは
午後3時。営業マンの榎本は、慣れぬ郊外の道を会社のライトバンで走っていた。 朝から降りはじめた雨は勢いを増し、ワイパー越しの風景は、冬枯れの田畑が山裾に広がる周囲の様子をぼんやりとにじませている。 「きょうの予定は終わりだな。あんまり早く会社に帰ってもしかたないし」 榎本は、残った時間をどうやって潰そうか考えながら、ぼんやりと車を走らせていた。 車のヒーターはよくきき、油断をすると居眠りをしてしまいそうになる。 そのときだった。 「あ!」 道路脇を走る
お兄ちゃんがオナニーしてるところを見てしまった。 お兄ちゃんは妹の目から見て、超カッコイイとは思わない。けど、そこそこいい線はいってる。けれど、おしゃれに気を使わなくて、内気で無口なのがタマに傷。 そんなお兄ちゃんだ。 だから、彼女もいない。いままででも、つき合った女の子はいない。 ちょっとカワイそうなお兄ちゃんだ。 そんなお兄ちゃんが、部屋のパソコンでHな動画を見ながら、オナニーしている。 ユカ、お風呂から出て、パジャマに着替えて、それから本をずっ
ワタシはAVギャルのYに似ているらしい。だからよく間違われて声をかけられる。一度、Yがどんな女の子かネットで確認したが、間鼻立ちのはっきりとしたカワイイ顔立ちをしているし、スタイルもいい。 「この子なら、間違われてもいいかな」 ワタシは、そんなふうに思った。 「あ、Yさんですね」 この日も昼間に公園を歩いていると、3人の男の子に呼び止められた。 「いま、ヒマですか?」 「ボクたちヒマで、しかもタマってるんですよ」 「Yさん、淫乱なんでしょ。だったら、ヌいてくだ
「山崎さん、わたしは包み隠さずものをいうタイプなんですよ」 壁にかけられた丸い時計。何に使われるのかわからない機械類。 小柄でやせ型だがやたらに胸の大きい看護婦のいる診察室の中で、メガネをかけた若い医者がいった。 「とくにウソがきらいでね。まあ、そのために、ずいぶん損もしましたけどね」 「はあ」 医者は看護婦からレントゲン写真を受け取り、明かりの前に並べる。わたしは、わたしの内部を映し出した深い紺色の画を見る。 「これがね、胃なんですよ。このグニャリと曲がった
その冬、ボクたち家族は父の友人の持ち物である、とある山の斜面にある別荘にいました。 年末年始の休みを利用した旅行に妹は大はしゃぎ。父も母も、目の前にひろがる雪景色に、満足そうな表情を浮かべていました。 けれどボクは、膨大な量の宿題と休み明けの試験が気になって、とても両親や妹のように安穏とした気分にひたることはできませんでした。 「お兄ちゃん、雪ダルマつくろう」 荷物をおいてすぐ、妹のサユリはボクを誘いました。 「やだよ、寒いよ」 「そんなこといわないで、い
その夜、啓介はスマホでツイッターをスクロールしていた。目的はオナニーのオカズ探しだ。 わずか2分前後だが、ツイッターにはエロ動画をUPしているアカウントも少なくない。無修正画像やボカシやモザイクなしの動画を公開している海外ユーザーもいる。 この春、念願の大学に合格し、新しくスタートしたマンションでの一人暮し。もはや親の目を気にすることもない。そしてたどりついたのが、「JYUNKO」というユーザーのアカウントだった。 そのツイートでは、一人の女性が一般家庭のリビングら
「イヤー、やめてー!」 両手両足を押さえつけられ、久美子は叫んだ。 目の前には劣情のたぎった眼光を爛々と放つ3人の男。 「助けてー、助けてよー、憲一くん!」 こぶしを握ってうなだれ、机に向かったままの憲一。助けをこわれても身動きせず、目を閉じ、唇をかみ、小さく身体を震わせているだけだ。 そのうち、男たちの手によって久美子のブレザーははぎ取られ、スカートもまくりあげられる。張りつめた太ももがむき出しとなり、花柄模様のパンティが露出する。 「へっへっへ、あんな
拉致された部屋の中で、美佐子は見知らぬ男のザーメンを、まずは口で、そのあとに子宮で受けとめた。 気だるい屈辱と歓喜の余韻が、筋肉を弛緩させている。 すべてを吐き出した男は、美佐子の身体を縄で縛った。 右手首と右足首、左手首と左足首がそれぞれ結ばれる。太ももを開くことはできるが、ひざを伸ばすことはできない。 美佐子は立ちあがることができないまま、床にうつ伏せになっていた。臀部を高くかかげ、ほほを床につけ、乳房を太ももに押しつける。 口の中には、最初に出さ
「どうしてわたしがこんなことしなくちゃいけないんだろ」 ゆうは思った。 「どうしてわたしが、こんな格好で電車に乗らなくちゃいけないんだろ」 黄色いタンクトップにミニスカート。生脚状態で朝の満員電車に乗る。 まさに痴漢してくださいといわんばかりの格好だ。 「けど、社長命令だしなぁ」 それは、きのうのことだった。ゆうは突然社長に呼ばれ、こう告げられた。 「マーケティング・リサーチの仕事で、ぜひともきみにお願いしたいんだ」 そうすることで、いったい何が調
「妹との約束」 妹のうららが入院した。自転車に乗っているところを車にはねられたのだ。 幸いにも相手は普通のサラリーマンで、保険が全部まかなってくれる。けれど、うららのカラダに傷は残る。 ボクはあやまるオヤジクサイおっさんを、許すことができなかった。 けれど、うららはそんなボクの心配をよそに、元気そうにはしゃいでいる。腕にはめられたギブスは痛々しいが、笑顔が見られるだけ安心できるというものだ。 「お兄ちゃん、うらら、いつ退院できるのかなぁ」 「も