映えがアートに進化する日

 何となく好きなんだけどあまり語れないから濁しがちな趣味。すなわちアート鑑賞。

 どっぷりその世界に浸かってきたことはないけれど、憧れで、チラチラと横目で展覧会のビラなんか眺めてたりする人は少なくないと思う。

 何せ私もその一人。

 どこまで造詣が深くなれば堂々と語っていいのか悩むし、わかってないのに気取ってるだけなんて思われたくないからリアルの友人には打ち明けられた試しがない。それが私にとってのアートだ。

 近づきたいのに近づけないのは、自分が普段生きて感じている世界と違いすぎるから、近づき方がわからないのだ。

 でもそんなアートの世界は、向こうから私たちに近づいてくれているらしい。

 上の記事によると、近年美術館というのはZ世代に人気なのだそうだ。

 それはいわゆる”美術館”というより、アートな空間で友達とチルする、みたいな感じのようだ。静かに絵画鑑賞ではなく、よくチームラボが手がけているような”非日常への没入型”アート鑑賞である。

 確かに手軽で行きやすいし、たとえば暇を持て余した大学生にとっての第二の脱出ゲームみたいな位置付けなのかなと思う。

 没入型のアート鑑賞によってうまれるのは、非日常の体験ができたことの興奮となんといってもハイパー映えている写真たちだろう。

 アートが身近になった世の中で、若者たちの「もっと盛れてる写真を」「もっと映えてる写真を」目指す欲求が、自然と感性を研ぎ澄ましていくんじゃないかという気がしている。

 視覚に訴える鮮烈さを表現する力が磨かれていって、そしてきっと”本物”志向の人間と一般人はより分断されていくだろう。わかりやすい美しさ以外に宿るものこそ”本物”、それを感じ取れてこそ才能。そういった世界で生きている人もいる。

 究極の価値を求めて。

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