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ワリオランドアドバンスの音楽の影響元、特にコシミハルと細野晴臣の『Swing Slow』について
子供の頃ワリオランドアドバンスが好きだった。
このゲームはかなりシュールで、巨大なヒマワリの茎の中を流れる水を辿って雲上に到達するステージとか巨大なピンボールの中を駆け上がるステージとかがあるのだが、特に気に入っていたのがこのゲームの音楽だ。
特にサウンドルームには非常に攻めた曲が収録されていて、実写のワリオにコスプレしたメガネの男が踊ったり、狐のお面の目がチカチカしたりする映像に合わせて、足音主体の曲とかひそひそ声と短い効果音が交互に繰り返される曲とか、メロディーの判然としない実験的な音楽をよく分からないなりに何度も聞いていた。
最近このゲームの音楽の影響元について言及している海外の動画があり、これがかなり面白かった。
この動画の3分辺りに投稿者がゲームに影響を与えたと考えるアルバム一覧が紹介されている。
![](https://assets.st-note.com/img/1724678661165-ig5F9JTGyP.png?width=1200)
これがアルバムのリストだ。
有名どころからマイナーな日本のアルバムまで一体どうやって掘り出したのかと思うが、このうちのいくつかは確かにゲームのサウンドデザインに大きく影響していると感じた。
ゲームに使われた音楽で一番元ネタが分かりやすいのは、タイマーを押した時の時計の音だろう。これはピンクフロイド『狂気』の時計の音とすごく似ている。
他の分かりやすい影響元はハービー・ハンコック『Chameleon』のベースの音だ。
ワリオランドアドバンスに使われている野太くて弾力のあるベースの音はこの曲のべースに非常に近い。
Björkの『Human Behaviour』や『hyperballad』も影響を強く感じた。
ただ、それらに増して強く取り上げたいのがコシミハルと細野晴臣によるアルバム『Swing Slow』だ。
シャンソンをルーツとするコシミハルとはっぴいえんどやYMOで名の知れた細野晴臣によるこのアルバムは、ゲームへの強い影響を感じるし、かなり面白かった。
このアルバムYoutubeで公開されている。
このアルバムのデジタルで民俗的な雰囲気はワリオランドアドバンスの奇妙かつポップな雰囲気に通底するものを感じた。
分かりやすく雰囲気が近いのは『Good Morning, Mr.Echo』とやしのきじまのBGMや『I'm Leaving It All Up To You 』とおはなばたけのBGMだ。
このアルバムで気に入っているのが個性豊かでポップな音色だ。
特に『I'm Leaving It All Up To You 』の大らかなドラム音なんかは特有の個性を放っている。
『Time Scan』という環境音主体の曲を挟んでトロピカルな曲や雪がモチーフの曲を行き来するアルバムの構造もピラミッドから異世界へトリップするワリオランドアドバンスの構造と似ていると思う。
とにかく、この発見が日本語で共有されていないことに勿体なさを感じてnoteを書いてみた。
ゲームを遊んだことのある人もそうでない人もSwing Slowの大らかでちょっと不思議な世界観を味わってみて欲しい。