あの子。


“そんな奴どこにでもいるよ。”

いつも長い夢から目を覚ましてくれる
友だちがいる。

その子からしたら私を目覚めさせようとしていなくって、
ただ思ったことを
言っているだけのことなんだと思う。

だから、

大したことではないし、
何も見に覚えのないことなんだと思う。

でも、
そんなわたしのためとかではない言葉だからすごく真っ直ぐわたしの心に刺さるのだと思う。

心に刺さるというのは違った。

どちらかというと、

“突然、ビンタしてくる。”

に近い。

突然ビンタをわたしに食らわし、

何事もなかったかのようにリップを塗り直す。

そんな子だ。

でも、いつもわたしを現実に戻してくれるのはその子しかいなくて、

みんなが必死に、わたしのことを思っている人たちがどんな声をかけてもわたしの耳には届かない。

なぜなら、

“耳栓をしているから。”

みんなには見えないようにいつも耳栓をみっちりしていて、

なにか言っているなと思いながら

わたしは聞こえないふりをする。

そのふりすらも気づかず、わたしをビンタしてくる、そんな子だ。

でも、もしかしたら、

その子にわたしも気づかないうちに

ビンタをしているのかもしれない。

そんな気がする。

もし、

そうだとすると、

すごくおもしろい。

なんて、ちょっと思ったりする。


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