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風◯店オーナー時代の与太話②~◯◯組の事故係と嬢の行方不明~

それは些細な交通事故から始まった。

Photo by soeji

筆者がデリのオーナーをしていた時代の話については、今まで幾つかの記事をあげたましたが、そういうアンダーグラウンドな仕事をしていると、時々、不可避なトラブルがありましてね。

女の子と客のいざこざについては、ぜひ、下記記事のエピソードをご覧いただいて・・・。
※もう1個、閉店を決意したえげつない事件があるんですが、それは当記事にて後述。

まず、紹介する事件は、筆者自身の運転ミスで引き起こされたもので、皆さんの教訓になるかどうかは、ちょっと微妙w《交差点でちゃんと停止してれば問題なしw》

ただね、任意の自動車保険会社には、お客様各々に担当さんがついているじゃないですか?

彼ら、加害側の代理人、及び、被害側の窓口になる人が頼りないと、こういうこともあるんだな、というお話でございます。
※現代の保険業界ではまず起きないかな?w

その日、90分コースで指名の入った女の子を車で送り届けた私は、待機時間、ファミレスで夜食を食いながら、週末の競馬予想に勤しんでいたわけです。

ところが、お客が早漏だったのか、女の子との相性が悪かったのか、なぜか30分くらいでプレイは終了したらしく・・・。

《迎えに来て下さい》の電話がきた時、結構な距離を離れてしまっていた私は、あまり待たせてはいけないと、車を急がせましてね。

そして見事に、交差点で、古い社用車の側面、後部にぶつかった次第です。
《交差点なのでかなり減速し、ブレーキも踏んだのですが、ギリ間に合わなかった感じ》

当然、自分が悪いので、平身低頭謝りつつ車から出たわけですが、当たりが極めてソフトだったのと、運転席逆側だったため、幸運にも相手に全く怪我はなく、向こうさんの対応も、それはそれはメチャメチャ穏やかなものでした。

こちらも誠心誠意謝り、再度、相手の体に何にもないかを確認、連絡先をメモしてお渡しし、後日のお見舞い等も申し出たのですが、茶髪のスーツ姿の彼は、名刺をきりながら、どこまでも良い人だったわけです。

「いやいや、そんなオーバーなw別に大した衝撃もなかったし、後々〝むちうち出た~〟とか言いませんから、お見舞いとかもいいっすよw車もちょっと凹んだくらいやし、元がボロやから、報告せんでも会社にはバレへんと思うんですけど・・・」

仮に、私が事故による免停等が死活問題に繋がる、運送系の会社の社員や、タクシーの運転手なら、その場で、現金手渡しで終わらせようとしたかもしれません。

が、後々ややこしくなるのは面倒なので、警察を呼び、事故番号を発行、あとは保険会社に委ねるという王道を選択しました。《嬢には、後で代金出すから、喫茶店にでも入っててと一報》

2人は爽やかに、何事もなく別れた次第です。

それから、しばらく経ってーーー。

ーーーぶっちゃけ、もう事故のことも忘れかけそうなくらいの長〜い時を経て、ようやく保険会社の担当から電話が入りましてね。

その内容ときたら、かかった時間に全く釣り合わない、なかなかに珍しいものでしたw

「斗月様、申し訳ございません・・・。申し上げにくいのですが、実は、車の所有者である会社の社長さんの方と、まだまともに話ができてないんです・・・。話をお聞きになって下さらない、といいますか・・・」

「え?そうなんですか?なんでそれ、もっと早く経過報告しないかな?今の今まで、何の進展もしてないってことですか?」

「はい・・・。何でもご本人と直接話をしなきゃ納得できないとかで、斗月様のお宅に伺うと申しておりまして・・・」

「別に来てもええけどさ、直接のやりとりになるんなら、保険代払って、間に保険屋さんたてる意味がないんちゃう?んで、どんな人なんですか?」

「それがその・・・えらい剣幕といいますか、気性の荒い方で・・・今日、お宅に伺うと言ってお電話をお切りになられたので、急いでお知らせした次第です・・・」

なるほどね、つまり、「ヤカラ系」なわけだ。

あの〝茶髪〟がまかり通る社風と、名刺に書いてたイメージのよろしくない業種内容に、一瞬、嫌な予感はしたんだけど、なるほど、それは、

〝ここの社長、ややこしいでっせ〟

という、ムシの知らせだったわけねwww
・・・と、合点がいったのも束の間、早速、招かれざる客により、我が家の玄関ベルは、激しく鳴らされたのでした。


狂犬のような河内のおばはん。

Photo by reilife_12

当時、定年を迎え、田舎に家を建て、移り住んだ両親は、大阪の家《筆者の実家》を売りに出しておりましてね。

なかなか売れるような物件でもなかったので、売れるまでの期間《2年くらい》私が独り暮らしをして、家を管理していたのです。

その実家の前に、いかにもなセダンがビタ付けされ、レスラー体型の《ガタイは人のこと言えませんが》典型的なヤ◯ザ風中年が出てきましてね。

とりあえず挨拶代わりとばかりに、いきなり、罵声を浴びせてきたわけです。

《巻き舌で、しかも声が野太いから、何言ってるかさっぱり分からんw》

目尻に傷のある、見るからに香ばしい方でしてね、さり気に見たら、とりあえず小指はあるようですw

《ま、本職がこんなこと、するわけないか》

ただ、アマチュアの方がタチが悪い場合も往々にしてありますからして、とりあえず言われるがまま、延々と聞き手に徹します。

《何目的なんやろ?金?ま、それにしても・・・コイツ、一応、不法侵入はわきまえとるな・・・》

そう、ガーガー言うには言うんですが、彼、見事にギリギリで、家の敷地には入ってきません。

散々わめき散らすその男に「はぁ」とか「はいはい」とか、生返事を繰り返しつつ、しばし観察を続けていると、近隣から勢いよく、玄関ドアの開く音がしました!

《あっ、まさかっ!今日、居たのかっ!?》

そして現れる、招かれざる客、第2段!w

それは、世界で1番恐ろしい、3軒隣に住む、近所のおばちゃんでした。

《うわ~・・・幸か不幸か微妙www 》

こうなると、逆に相手が気の毒ですw

「コラッ!やいやいやいやい、やかましいんじゃ!おのれ、どこのチンピラじゃ!」

このおばちゃんは近隣でも有名な〝女傑〟で、おかんの親友なわけですが、とにかくガラの悪い、怖いものなしの人なわけです。

旦那さんも詳細は知らないのですがこれまたややこしい仕事をしている、ややこしい人で《や◯ざではない》しかも次男は〝服役真っ最中〟という、とにかく尋常じゃない家庭。

最初は小柄なおばはんに《なんじゃおばはん!》と凄んでましたが、あまりに常軌を逸した女傑のキレっぷりに、その内彼も辟易し、遂には呆れたように、苦笑いまで見せたのでしたw

「なっ、なんやねん、おばはん!?・・・関係ないのは引っ込んど・・・」

「なんや!よぉ手出さんのか?はよしばかんかい!どないしたんじゃ、コラ!」  
 
《メチャメチャ煽るやん、おばちゃんw》

近所中に響き渡る声でタンカを切るおばちゃんに慣れきっているので、周りの住民さんは誰1人、やじうまとして出てきませんw→日常。

ガチムチの社長も、ようやく目の前の小さなおばはんが〝許容範囲外〟だと気付いたのでしょう。
背を向けつつ、私に名刺を渡しながら、

「明日の2時に事務所まで来い!」

イマイチ締まらない空気の中、捨て台詞を残し、ゾロ目のセダンは走り去ります。

「なんや、ゆうちゃん?あのドチンピラとどういう関係や?何かあったんか?」

「いやいや、おばちゃん、お騒がせしてスンマヘンな。いやね、社用車と軽い事故したんやけど、保険屋が頼りのうて、車の持ち主である社長が乗り込んできたんですわ」

「ちょっと名刺見してみ?あれ、堅気やないんちゃうか?うちの旦那に言うたろか?」

内心、〝堅気やないのはあんたや!〟と即座にツッコみながらも丁重に申し出をお断りし、家に入ると、今度は我がおかんからすぐに電話が入りまして・・・。

いやはや、騒ぎ好きな河内のおばはんらに比べたら、上沼恵美子なんて可愛いもんですw

「隣のおばちゃんから電話あったわ、ややこしいの来たんやて?見たかったわwww〝光〟に電話入れといたから、今から名刺持って相談行っといで。今やったらまだ、マスターおるわ」


マスターは本職〜◯◯組の事故係〜

Photo by enema

喫茶店兼スナックである〝光〟は、うちの実家と同じ町内にある店でしてね。
同期のそこの息子と同じ野球チームにいた関係で、筆者は子供の頃、何度かオーナーさんに、キャンプや海釣り、海水浴等に連れて行ってもらった記憶があるわけです。

ちなみに、我が3軒隣のご主人とは異なり、光のオーナーさんは、現役なのか元なのかはいまいち微妙ですが、はっきりくっきり◯◯組の何次団体かに所属しておられる〝や◯ざ〟だそうな。

しかも、組員の交通事故に対応する《どういう対応?w》〝事故係〟なんだそうであるw

これまた、おかんと光のママは友人であり、その関係で、一報を入れたらしい。

久々に会ったマスターは、当時60近かったはずだが、相変わらず若々しかった。

「おお、ゆうくん、久々やな、えらい大きなったな、お前!昔は可愛かったのにwwwwで、今、仕事何してるんや?」

さすがにまさかデリとは言えず、

「普通に会社員っす」

と、その辺は当たり障りなくw

「んで、相手の名刺は持ってきたんけ?」

「はい、コレっす」

「ふむ。事務所の住所は平野か、ちょっと電話するから待ってや」

マスターの会話を盗み聞きw

「そや、◯◯商事や、聞いたことあるけ?瓜破の、ホラ、多分あの辺やろ、角にパチンコ屋のある・・・そうそう、吉永の兄弟の店ある辺りや」

イカツさでいえばさっきの社長の方がかなり上のはずだけど、なぜがこの人の方が格段に怖いw
仮にや◯ざだと知らなかったとしても、何ともいえない、独特の雰囲気のある人だ。

「コイツ、多分堅気やわ。堅気相手やと、ワシらが間に入ったらそれだけで脅迫になるからな。とりあえずお前、1〜2発殴られてから来てくれりゃあ良かったのにwww」

「無傷で申し訳ないっすw」

「いやいや、冗談やw保険屋の担当に状況話して、チンピラとかヤカラに強い弁護士、保険屋持ちで回してもらい。こないなもん、電話かFAX1本で引っ込みよるわwんで、この件解決したら、保険屋変えることをオススメするわw」

「ありがとうございます!ちなみに明日、事務所に来いとか言われてるんですけど?」

「そんなもん無視に決まってるがなw心配せんでも行かんでも、電話もないし、家にももうよう来んわ。来たら見に行くからワシ呼んでくれやw」

そしてマスターの助言に従った結果、マスターの予言通り、向こうは至極すんなりと折れたらしく、この件は以後、何事もなく《本当に弁護士のFAX1枚で》解決となりました。

ちなみに、光のマスターさんはすでにお亡くなりになってしまったらしいですが、隣のおばちゃんは相変わらず元気、〝狂犬健在〟だそうなw


閉店のきっかけ〜嬢、帰らず〜

Photo by kowai_ohanasi

では、本記事の〆に、筆者が1番肝を冷やし、風俗から足を洗うに至ったエピソードを。

その日、私はオーナー友達の結婚式で事務所を空け、電話の応対を古株の嬢に任せていたのですが、特に念を押したのはこの3点でした。

  1. 電話番号を通知していない客は受けない。

  2. 車に乗り込むのは、車種と色、ナンバープレートを必ず事前に聞き、一致した場合のみ。どれか1つでも情報が欠けた場合は、絶対に付いていかせない。

  3. 入室後は必ず、すぐにホテルの名前と部屋番号を連絡させ、コース終了の10分前に店から入電をすること。

これは今も昔も変わらない、当たり前にやるべき、デリの安全対策なわけですが、その日、どうも指名された嬢は金欠だったらしく、怪しさ満開の客に、付いて行ってしまったんたそうな。

そして式の最中、不意になる携帯。

《式だから出れないって伝えてたのにかけてくるって・・・嫌な予感》

そう、悪い予感ほど、的中するものです。

「オーナー、結ちゃんが帰って来ません!」

「は?時間、もう過ぎてんの?延長?ホテルに電話して、部屋に繋いでもろたらええやん?」

「それが・・・」

しまったと後悔したものの、もう遅かった。
何でも事前に聞いていた車の内容と、車種もナンバーも違う車で現れたお客だったのに、今日は稼ぎたいという嬢の気持ちが分かる受付が、〝ま、大丈夫でしょ〟と、軽い気持ちで行かせてしまったんだそうな。

普段なら嬢からあるはずの入室《ホテル名と部屋番号》の一報もなく、60分コースのところ、すでに70分経過・・・はっきり言ってこれはヤバい。

《どうであれ、良くないことに巻き込まれたのは間違いないわな。すぐに警察に連絡が当然やけど、ただな・・・家族に連絡が行けば、当然結ちゃんが風俗で働いていることが親バレするわけで・・・。でも本人には、何があっても実家には連絡するなって念押しされてるし・・・いや、でも迷ってる時間はないな》

「待ち合わせ場所は?」

「天王寺です」

「なら、茶臼山か谷町のホテル街やな、んで、現れたそいつの車種とナンバーは?」

「赤いミラとかいう軽です」

う〜ん、ミラっていうのがまた、車種的に、逆に怪しい・・・。

ただ、これがもしハイエース等大きめのワゴン車なら、正直絶望的だった。

後部に誰か隠れていて、そのままさらわれたとしたら、もうどうにもならないではないか?

ただ、ミラならまずその心配はなく、この件、ほぼ単独犯の仕業だろう。

そして仮に、クソ狭いミラの車内で脅されたとしたら、あの気の強い結のことだ、それこそ気絶でもさせられない限り、スンナリ行くはずがない。
メチャメチャ抗うのは目に見えている。

《さらわれた可能性は低い、つまり、ホテルには入ったかな?どちらにしても・・・》

とりあえず、ナンバーは聞いた。

家族バレ厳禁だと念押ししていた《アリバイ会社にも登録していた》結ちゃんには申し訳ないが、一刻の猶予もない、ここは110番だ。

そしてまさに、警察に電話をかけようとした、その瞬間!!

事態は急変を迎えるのでした。

以降、続きは近日w

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