イギリスでも空手をはじめる
マンチェスターで空手の稽古にはじめて行っていちばん驚いたこと。
それは、空手によって緊張と疲れがふき飛んだことだった。
空手が私におよぼす影響は、かくも強く、かくも同じなのかと。
いま通っている道場を初めて訪れたのは、4月6日火曜日だった。
マンチェスターには4月1日金曜日に到着していた。
目星をつけていたその道場では、私の帯の色だと土曜日と火曜日に稽古をやっているのを知っていた。
到着して翌日の稽古にはさすがに行けなかった。
だけど、その次のタイミングには行った。
日本を出国する前は怒涛の日々だった。
これから一年間の生活の準備を、あらかじめしなくてはいけない。
四季を考えての衣類、仕事に使うモノや書籍、切らしては困るモノ。
考えたらきりがない。
ロシアによるウクライナ侵攻のこともあり、荷物を送ろうにも「空便は送れなくなってますし船便もいつ到着するかわからないし到着したらいいですね、という状態です」と郵便局で言われた。
それが三月中旬ごろだった。
出国予定の一週間前に、予約していたBritish Airwaysがキャンセルになった。
ただでさえ、海外での生活が始まる緊張に見舞われていたのに。
この先も何が起こるかわからないどうなることやら、と暗澹たる気もちをかかえながらイギリスの地を踏んだ。
そんな心身ともに万全とは言えない状態を引きずったまま、ネット上の少ない情報だけを頼りにして、マンチェスターの道場に飛び込んだ。
出国直前、3月30日水曜日の夜に東京の道場で稽古をしてから、いまにして思えばたった一週間しかたってない。
(東京の道場を離れる時のことは、またどこかで書いておきたい。)
だけど私にとって、空手から離れていたその一週間はとてつもなく長かった。
noteを使って少しづつ、これまでとこれからのイギリス空手の経験も残していこうと思う。
記憶が新しいうちに、現在進行形であるうちに書き残しておくことにする。
道着を背負ってマンチェスターを闊歩する自分を、いつか羨ましく思い出す時が来るような気がするから、でもある。
これからイギリスでの空手経験を綴っていくことになるのだけど、以下のことが言える。
「日本の空手」と「イギリスの空手」といった単純な比較はできない。
ましてや「日本人」と「イギリス人」といった分け方で説明することにも意味がない。
私には私の経験した空手のことしか記述できない。
そういう限界はあるのだけど、そうだとしてもとてもたくさんの気づきと発見がある。
イギリスの空手をとおして、多くのこと、思いもかけなかったことを知ることができている。
それはイギリスのことだけではない。
イギリスを通じて日本のことも多くを知った。
そして、占い師でもないのに私には未来がみえている。
2022年3月30日の夜に東京の道場を去る時わき起こった切なさを、最後の稽古が終わってマンチェスターの道場を去る2023年3月28日火曜日に、私はまた経験する。
写真:Fog Lane Parkの桜(2022年4月2日)