
海外採用で見た日本との違い:内定決定後の重要なプロセスとは?
こんにちは。STORY plusコンサルタントの後藤です。
そう遠くない将来、皆様の採用活動にも必要になる可能性があると感じ、今回は海外での採用に関して、日本と異なる経験をお伝えします。
私は、3年前に日本に戻るまで、約16年間、主にAPAC地域で日系企業様向けのエグゼクティブサーチ業務に従事していました。複数の国で、特に課長職以上の採用において、日本と大きく異なる点がありました。それは、候補者の内定決定後に行われる一連のアクションです。
以下のプロセスを経て、すべてのチェックが完了した後に正式な内定通知書が発行されます。
1 レファレンスチェック(2~3名)
→リクルーターが直接行うか、外部業者に依頼。
2 給与明細書の確認(直近2カ月分および前年度の年収が分かるもの)
→リクルーターが確認を行う。明細はクライアント企業には提出しない。
3 健康診断
→クライアント企業主導で行なわれるケースがほぼ100%.。
4 学歴のチェック
→リクルーターが候補者へ依頼し、最終学歴の学校から在籍証明書を取得。クライアント企業には提出しない。
1〜3については、ほぼ100%の確率で実施されていました。4に関しては、40%位くらいでしょうか。
1 レファレンスチェックの重要性
日本でもレファレンスチェックを専門とする企業が増え、その文化が浸透しつつあると感じています。
2 給与明細書の確認
APAC地域ではオファー年収が現状の10%~50%アップすることがあるため、私たちコンサルタントは、候補者推薦の際に、口頭で現状の年収情報をヒアリングしますが正確かどうか再度確認します。
私の経験上ですが、初期の情報と実際の給与明細を比較すると、30〜40%ほど乖離があるケースも少なくありませんでした。
3 健康診断の実施
課長職以上のポジションとなると、30代以上の年齢であることが多く、健康面でのリスクを懸念されます。企業としては、中長期的且つ高いパフォーマンスを求めるため、事前の健康診断を重視していると理解しています。このステージで内定が取り消しになってしまった候補者の経験は少なくありませんでした。また中には、企業指定の総合病院で診断を受ける必要があるケースもあり、健康診断についてAPACの国々は非常に重視されていた項目だったと強く覚えています。
4 学歴の確認
どこの国も学歴は企業側に良い印象を与えることが大きいため、良、虚偽記載をされる方はいます。私がリクルーターとして駆け出しの頃、電気機器メーカーの営業部長職の採用支援を行い、ある候補者が入社されましたが、学歴詐称が発覚し、試用期間を終えたタイミングで退職していただいたことがありました。それ以降、候補者から卒業証明書を受け取った際には、現地のローカルメンバーと紙質など細部まで確認を行い、クライアント企業に報告するよう徹底しました。
日本における採用の未来
採用は信頼を基盤にしながらも、企業側にとっては大きな投資です。そのため、候補者が提供する情報を確認する文化がAPAC地域に根付いていると感じました。
日本も終身雇用からジョブ型雇用へと変わってきている中、APACのように内定決定後に再度候補者へチェックを行い、正式な内定に至るプロセスが一般化していくのではと感じています。