エーゾノルトには嬉しいことがあった(掌編小説)
ある日の朝のこと。
エーゾノルトには嬉しいことがあって、エーゾノルトはもう目が覚めた瞬間からずっと待ちわびていた。とはいえエーゾノルトだってばかじゃない。エーゾノルトは実のところ、それがそれほど大したことではないことなど、とっくのとうにわかっていた。しかしエーゾノルトにはやっぱり嬉しいことがあって、洗い上がってぴかぴかの食器を布巾で拭くことひとつ取ったって、なんだかそわそわして進んでやった。エーゾノルトの待ちわびぶりと言ったら、拭き上がった食器を食器棚にだってしまってしま