コンパクトカメラ GR-1S 思い出6
カメラと出会った時の父の影響と思うが、カメラは旅行の同伴者として扱っていた。
なので、カメラの出番には、まず旅行が先行する。その場合・・・例えば仕事の出張だったり、好きなスポーツの試合での遠征がほとんどで、「観光」が目的になることは年に一度あるか否か・・・仕事・趣味などに没頭するので、都度F5がお供というわけにはいかない。
2000年頃、仕事で出張が増えてきた。F5は重くて大き過ぎる荷物なので、回を重ねることなく挫折した。そこで田中長徳氏の”押し”であるGR-1Sを購入した。
当時、コンパクトカメラの相場は2〜3万、その中「高級コンパクト」は10万程度と目を擦りたくなる差があった。
コンパクトカメラでは「記念写真にしかならない」と言う固定概念は、カメラジャーナルの田中長徳氏のショットを見たことで「そんなことは無い」と変わりつつあったが、広角苦手・ボケ頼りの自分は相変わらず不安もあった。
そんな半信半疑は一度の持ち歩きで払拭できた。
当時の自分にとってはGR-1Sで撮ると「なにを撮ってもカッコ良く仕上がる!?」と感じた。現像から上がってきたポジを見るとその色が独特で「これがGR-1Sの世界なのか」と嬉しくなった。
カメラ本体も日に日に気に入ってきた。GR-1Sの金属ボディーは手に取ると「特別なものを手にした」気分になり、露出補正ダイアルが軍艦部に装備されていることで、シャッターを押す前に気分も上がる。こんなにいい写真が撮れるのに、外観もシンプルで上品にも感じ、スーツのポケットから出しても似合う所にカッコ良さを感じた。
この頃の2年間の多数の国内出張は、GR-1Sをポケットに同伴し、失敗も多かったけど「こんな世界もある」ことを教えてもらった。
すでに手元には残っていないが私の「カメラ感」を変える出来事だった。