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恵子ちゃんの誕生日②
②由美ちゃんが呼んでたから
部屋遊びにも飽きた私たちは公園に遊びに行った。広い公園だが遊具は錆びかかっていて、乗り捨てられたバスがあり、それがいちばんの遊び場だった。そこで、たぶん、鬼ごっこなどのたわいない遊びをしてたと思う。
「さとちゃん❗️」
呼ばれて振り向くと、何やらカッコいい服を着た由美ちゃんがいた。そういえば、由美ちゃんは「ガールスカウト」とやらがあって、お誕生日会には来られないってみんなが言ってたのを思い出した。
「由美ちゃーん‼️」
当時、由美ちゃんと1番の仲良しだった私は嬉しくなって由美ちゃんと話し出した。もう夕暮れ時で、空がオレンジ色だったのを覚えている。
「おいでよ」由美ちゃんが言った。
私は恵子ちゃんたちに悪びれもなく、
「由美ちゃんが呼んでるから行くね」と言った。
それがどう言うことか、今なら、なんで失礼なやつ❗️ってわかるけど、当時の私には何にもわからなかった。
「さとちゃん‼️」みんなが口々に呼んで、
「こっち(恵子ちゃんち)行こう」と言った。
怒っている子もいた。怖い顔をしていた。
それがますます私の足を遠ざけた。
由美ちゃんは、悪気もなく
「こっち❗️こっちおいでよ❗️」と彼女と彼女のお母さんと2人で私を呼んでいる。
私は後退りするように由美ちゃんについて行った。
ガールスカウトの集まりに行ったところで、全くの他人が入り込んだから、楽しくもなんともない。ひとしきり由美ちゃんと話して帰っただけだった。
翌朝、登校班の集合場所に呑気に現れた私に、恵子ちゃんが「昨日の忘れ物」といって、お菓子やお土産物を持ってきてくれた。私が脳天気に「ありがとう😊」と言っていると、りえちゃんが遠慮がちに「恵子ちゃんに謝ったら?」と囁いた。きょとんとする私に、リーダーシップのある里美ちゃんが
「ちゃんと恵子ちゃんに謝りなよ。途中で帰っちゃったんだから」と言った。
確かに途中で帰ったなぁと思ったけど、謝れって言うから、とりあえず、誤っておいた。
「いいよ」と恵子ちゃんはあっさり言ってくれた。
いや、ほんとはモヤってたんだと思う。恵子ちゃんも恵子ちゃんのお母さんもきっと。
おこがましいけれど、私ももやっていた。由美ちゃんに呼ばれただけなのになんで謝らなければならないの❓って。ものを知らないと言うのは、恥ずかしいことである。
私はつい先日、ADHDだとわかった。そのせいで精神的に発達は遅かったんだと思う。だから、「由美ちゃんがよんでたから」単純な理由で釣られて行ってしまった。もう少し、俯瞰でものを考えられていれば、恵子ちゃんに「お呼ばれ」している立場がわかったのかもしれない。
今となっては後の祭りだが、恵子ちゃんは素直でいい子だっただけに、悪いことをしたなぁと今になって思う。
私が6歳の私に囁けるのなら、最後まで恵子ちゃんをお祝いすることが大切だよって、教えてあげたい。