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得意なほうが得意なことをする

我が家では家事の分担は「得意なほうが得意なことをする」ということになっている。
主に料理や買い出しは夫、掃除や金銭管理は私。
育児はどちらが…ということではなく、子どもと触れ合える時間は貴重な時間なので時間の許す限り両方で。

最初、私は「家事は私の仕事だ」と思っていた。
何となく周囲からも「今日のご飯は何を作るの?」と私に尋ねられていたので、「妻が家事をするのが当たり前」という構図を暗に感じていたからだった。
ふたりとも働いていたけれど、私の方が収入も低かったし、働き方も不安定だったから、家事(特に料理)は私がするべきだとも思っていた。

でも私は料理が苦手だった。
レシピ本を見ながら、試行するのだけれど、時間はかかるし思っていたものと違うものができるし、散々だった。今では多少マシなものが作れるようになったが、当時は本当に散々だった。
一方、夫は料理の経験も私よりあって要領が良く、私より美味しいご飯を作ることができた。

夫が職場で自分が台所に立つ話をすると、「奥さんは何しているの?」と尋ねられることもあったそうだ。
その度に「私が料理をするべきなのに」と情けなくなって謝ると、夫は何でもないように「得意な方が得意なことをしたらいいんじゃない?」と言った。
性別に関係なく、収入の多寡に関係なく、家のことはできる人がやればいいという発想とその言葉に何度も救われた。

一方、夫は掃除や金銭管理はあまり関心がないようだったので、私がそちらに注力することにした。私には私のやり方でできることがあるのだと思うことにした。

子どもが生まれてからは、互いの仕事や体調に応じてお互いの分担を代わることも増えた。その時その時に応じて対応することが必要になり、要領の悪い私よりも夫のほうが負担が大きいと反省することもあるが、彼は気にしなくていいと言う。

そんな夫だが、彼は次に生まれ変わって女性になったら「妊娠してみたい。子どもをお腹の中で育ててみたい」と言う。
私はびっくりして、「つわり大変だよ」「出産も痛いんだよ」と言うが「それでも」と彼は言う。「それだけは自分にできないからなぁ」と話した。

つわりの大変な時期、ほとんど横になるしかできず、ヒイヒイ言う私の様を見て黙々と家事と上の子のお世話を引き受けてくれたけれど大変だったはず…。それでも「君の方がしんどいからね」と文句を言わなかった夫。「代わってあげられないからね」と微笑んで励ましてくれた夫だった。

上の子の出産時には立ち会い、陣痛で長くもがき苦しむ私を見ていたはずだったけれど…。

子どもの大好きな夫は、「それでもやっぱりお母さんにしかできないこととか、そこで特別な絆があるような気がするんだよねぇ」と言う。
夜寝る前に「ママ~」と呼ぶ上の子、ミルクもあったけれど母乳を求めていた下の子の泣き叫ぶ様子を見てそう思ったのだと言う。

正直、私にはその点はどうなのか、ピンと来ていない部分も多い。
産後に調子を崩していたせいもあるかもしれない。
子どもを産み育てることについては、性別によって身体のつくりが違うから引き受ける役割が異なってくる部分はあるのかもしれないけれど…。

ただ、家事や育児については性別にとらわれない在り方があるように思うし、分担の仕方もそれぞれの家族の事情によって違ってくるべきではないかと感じている。
私たちには私たちなりの家族の役割分担の在り方があるのだろうと感じていて、それが私たちなりの最適解だと思うことにしている。

#家事分担の気つ ゙き

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