フランス滞在の記憶「δ」ニースの思い出
ニースでこれといって観光はしなかった。
ただただ海沿いをぼんやりと歩いた記憶しかない。ずっと歩いていたくなる海岸なのだ。
海岸沿いを思い出したくなり、ストリートビューで海岸線を辿ってみた。十分綺麗だが
海の風や香りはわからない。カモメの声が聞こえない。
時折海岸沿いのレストランの評判なども見てみる。
そうだ、予約を断られた事を思い出した。
ハイシーズンは早めに予約をしないと手頃な価格で評判の良いレストランはどこも満席だった。
海添いから路地を少し入ったホテルに滞在した。チェーン系ではない独立系ホテル。
部屋にキッチンがあった。
この時ニースで別の国から来る友人と
待ち合わせていたのだが、駅周辺で盗難にあったらしく結局予定の時間には会えず仕舞いだった。
インターネットカフェからのメールの連絡がありなんとかホテルで落ち合えた。
世界中旅慣れてる友だが、被害にあったらしい。あの頃、自分の周りではスリ、盗難は本当に日常茶飯事だった。あっと言う間に鮮やかに持っていかれる。
久しぶりのリゾート地で浮かれたんだそう。
プロには望まずとも、そうした隙が伝わるらしい。
なんとなくレストランで食事をする気分でもなくなり近所のスーパーで食材を買い込む。
久しぶりに外食でなく、くつろげる部屋で旧知の知人と食事をした。
一緒にキッチンで作った料理とワイン。美味しかった。
なにげない旅の1ページ。ただ友だちとの時間がすぎてゆく。そんな旅もまたよい。
自分に会いたいといって来てくれた友だちと一緒に過ごした時間はかけがえのないものだ。
いつかまた、この海岸沿いをただ歩きたい。