映画館でトゥーランドット「α」~Nessun dormaとささやく衣装
英国ロイヤルオペラ・ハウス ・シネマ シーズン2022/2023
映画館で観られるオペラをみてきた。
オペラのあれやこれやを詳しく知ってるわけではないのだが、たまに映画館で見る。
何年も前になるが日本で数本は劇場で直にみている。
トゥーランドットは、まだ本物の舞台では一度も観たことがないので楽しみにしていた。
この演目なら個人的には、ヨーロッパよりも北京上演を見てみたい。
いや、やっぱり初演があったミラノスカラ座か。
先日のNYのMETを映画館で見た時に続きアジア人や黒人の方が主役級キャストで活躍されている。
一昔前にはあり得なかった世界だ。
衣装について感じた事を書きたい。
感情の揺れ動きが衣装の色から感じとれた。
最初に怒りと絶望に満ち溢れた赤黒い色を着ていたのはトゥーランドット姫。昔、異国の王子に騙された祖先の怨みがそのまま衣装に現れているのか。
挑戦する男は鮮やかなブルー。冷静さを象徴する色だ。
ただ、袖口に姫の衣装のと同じ赤と黒が施されていたのを見逃さなかった。
彼の中にある姫の存在は袖口から覆えないほどなのか。などと、想像を巡らすのが酷く楽しい。自己満足の世界極まりない。
リューの自害、カラフの自分への思いを間近で見ているうちに赤黒い氷の心だって揺れ動くのではないかと。トゥーランドット姫は胸の前で手のひらをクロスさせ頑なに拒んではいるけれど。
物語の進行にしたがって、赤と黒の衣装から、彼を愛する可能性を感じさせる白へ衣装が変わった。
一旦真っ白な氷にリセットされたような。
白い衣装に心を奪われた。
彼女の衣装が白に変わるのと同時にカラフの衣装もブルーから赤へ変わっていた。
彼の情熱で彼女を動かすのはもうすぐそこだ。
Nessun dorma.は三幕に歌われるけど
二幕まで、それ、歌われなくても寝なかったよ。
素晴らしすぎるその衣装と歌に心を奪われていたから。
情熱的な、真っ赤な衣装でカラフが歌うNessun dorma.
こちらについてはあとでもう1本別に記事を書こう。