『べるぜバブ』の古市貴之くんがとっても好きだ~という話

『べるぜバブ』15周年おめでとうございます!!!
じゅ、じゅ、15周年!!!!!???????

15周年を記念して投稿された田村先生のこちらの新規イラストに、主人公である男鹿やベル坊、ヒルダさんだけでなく、しっかりと古市貴之くんがいるのを見たら連載当時に抱いていた古市貴之くんへの様々な”狂い”を思い出してしまい、
実家に紙のコミックス全巻+DVD付初回版+小説のすべてをそろえているにも関わらず、勢いに任せて電子版で全巻再度購入し直して一気読みして
「古市貴之くんが好きだ~~~~~~~」の気持ちで再度”狂い”を取り戻してしまったので、その感情を、パッションのままに、書きます。

書き始めのこの時点ではなにを書くかまったく決まっていませんが、古市貴之くんの良さを、どうしても書き記したくなって、書きます。

※作品のネタバレばかりです。
※自分はいわゆる「クソデカ感情」が大好きなオタクですので、キャラクター同士のクソデカ感情について事細かに語っていますので、ご注意ください。



■『べるぜバブ』とは

2009年から2014年まで週刊少年ジャンプで連載されていた作品。

川から流れてきた大魔王の息子である赤ちゃん「ベル坊」を拾った最強の不良である男鹿辰巳が、子連れ番長としてあらゆる敵をなぎ倒しながら背中に背負ったベル坊と一緒に親子になっていく物語。

ヤンキー漫画であり、バトル漫画であり、育児漫画であり、コメディであり、ファンタジーであり、恋愛漫画でもあり、学園漫画でもある、ジャンル分類が非常に難しい作品なのですが、ぜんぶひっくるめて最高の漫画です。なんでもある。ここにすべてのジャンルがある。

そして、自分はそんな『べるぜバブ』に登場する、古市貴之くんという登場人物がめちゃくちゃ、はちゃめちゃに好きなのです。

■古市貴之くんとは

・『べるぜバブ』の主人公、男鹿辰巳の「親友」であり「相棒」であり「腐れ縁」である男。

・男鹿と同い年の高校1年生。

・好きなものはかわいい女子、綺麗な女子、とにかく女子。

・嫌いなものは長い話。

・銀髪。地毛。

・「喧嘩が強いヤツがいちばんすごくてえらい。」の不良校、石矢魔高校に通いながら、ぜんぜん喧嘩が強くない。むしろ非力。

・頭の回転が早く、口八丁でピンチを乗り切ることも。作中では「智将古市」と呼ばれることもある。(恥将と呼ばれることもある)

・勉強もできる。学年でも上位の成績で、そもそも本来は不良だらけの石矢魔高校じゃないちゃんとした高校に受かっていた。

ちゃんとした高校に受かっていたけれど不良だらけの石矢魔高校に入学した理由は「男鹿の喧嘩に巻き込まれて合格を取り消されたから」。

・作中ではわりと常識人寄りの人とされている。

・最強の不良、男鹿辰巳の常に隣を歩き、喧嘩以外のことがだめだめな男鹿に正面からツッコミを入れられる数少ない存在。

え~~~~~~~~良い。とても良い。とても良くないですか?とても良い。泣きそうなほど良い。

■作中での古市くんの立ち位置

前述のとおり、古市くんは喧嘩ができず、常識人で、ツッコミもできるので、存在的にはわりかし「読者側」の立場の人の分類になります。

尋常ではない強さを持つ主人公やそのライバルや仲間たちのハチャメチャな戦いや言動の中で、古市くんの「ふつうさ」「マトモさ」は読者の思考に近く、
それはボケに対しての純粋なツッコミだけではなく、いやいやその攻撃って物理法則的にないだろ、みたいな「おかしさ」にも真正面からツッコミを入れてくれるので、
古市くんのおかげで作品のバランスが保たれている節もあり、古市くんはとても「ふつう」で「マトモ」なバランサー。

しかし、その「ふつう」「マトモ」の一方で、読者はだんだんと古市くんの「異常さ」に気づいていくのです。

目の前で男鹿が不良たちをぎったぎたに倒して壁や天井に減り込ませているのに(男鹿の必殺技として、ただひたすら相手を殴って減り込ませる減り込みパンチという暴力があります)、まったくそれを気にすることなくスルーする力。

男鹿が不良に囲まれてもその横で携帯をいじりながら暇そうにしている姿。

そもそも歩いているだけでぎったぎたのぼっこぼこにされるような不良だらけの学校に毎日ふつうに登校してふつうに不良たちに話しかけているような度胸。

もしかして……この状況で「ふつう」に過ごしていること自体が「異常」なのでは……????

前述のとおり、古市くんは主人公男鹿の「親友」であり「相棒」であり「腐れ縁」である男です。
しかし、ただ喧嘩の弱いだけの男が最強で最凶の不良、男鹿辰巳の「相棒」を長年できるわけもなく、やはり古市貴之くんにも理由と芯があるわけで。

そこらへんの古市くんの「ふつうさの中に見える異常さ」の描写がだんだんと描かれていくあたりが、もう、とても、たまらなく、最高なので、最高です。読んでください。

当初は「古市くんは読者側だもんね~!こっちの仲間だもんね~!」とかニコニコしてたけど気が付いたらなんかもうぜんぜん違う立ち位置にいて、こわい。すごい。

古市貴之にしか立てない場所に古市くんはいる。だからすごい、こわい。

■男鹿辰巳と古市貴之

さて、どうして古市貴之くんは「異常」なほどに「ふつう」でいられるのか。

その理由が描かれるのは、原作160話「古市パニック」あたりから。(古市パニックって何!!!???こっちがパニックだが!!!???と大騒ぎしたあのころ、懐かしいね)
ここらではいろいろあって、男鹿と古市くんの過去が描かれるのですが……。

小学5年生で同じクラスになった男鹿くんと古市くん。

その目つきの悪さやいろんな噂も影響して一人も友達がいなかった小5の男鹿は、放課後になると不良の溜まり場に出入りしては喧嘩に明け暮れていたのですが、
本当は友達がほしいのに孤立してしまっている男鹿のことを知ってしまった古市くんは、男鹿の前に立ちはだかって
「ケンカがしたいなら俺が相手になってやる」「お前の態度が気に食わない」「勝手に壁作ってるんじゃねえ」と、
いくら男鹿に殴られても立ち上がり「俺は弱いしケンカも怖いけどそんなもん友達をやめる理由には全然ならないぞ」とまっすぐに男鹿に立ち向かいます。

一方で、当時からその強さゆえにいつも不良たちに絡まれ、喧嘩や抗争に巻き込まれ、そして興味本位で近づいてきた同級生たちには怖がられて何度も拒絶されてきた男鹿は、古市くんをもう一度殴ったのちに、
「どいつもこいつも弱すぎて足手まといにしかなりゃしねえ」「どうせお前も同じだろーが」「てめーらとつるんでも背中が気になってケンカどころじゃねーんだよ」と言い捨て、古市くんから離れようとします。

けれど、それでも古市貴之は立ち上がり、

「誰が後ろに立つって言った」
「オレが立つのは横だ」

と、強い瞳で言い放ち、前を歩いていた男鹿に追いつき、その隣に並んで立ちます。

これがもう、圧巻の見開き大ゴマ。

手にしていた週刊少年ジャンプをその場で放り投げるほどの衝撃。
見開き大ゴマ。ぜひ紙で体感してほしい大ゴマ。ぶち抜き大ゴマ。

こうして男鹿辰巳は「古市貴之という男は何があってもぜったい倒れない一番強いヤツ」として認め、
古市貴之もまた「何があっても男鹿辰巳という男の横に立ち続ける」ことを誓うのです。

そして、その一方で。
「男鹿の横に立ち続ける」ことを決めた古市くんの胸中には「いつか。いつかお前が心から背中を預けられる奴に出会えるといいな」との思いが生まれます。

自分はケンカが強くないから、今も、そしてこの先も男鹿に背中を預けてはもらえないけれど。
いつかその「男鹿が背中を預けられる存在」が現れるまで、男鹿辰巳を孤立させないように、自分が隣に立ち続けよう、と決めるのです。小5で。強すぎ小5すぎる。古市貴之くん。

結果として、それから数年後。
高校1年生になった男鹿は、偶然ベル坊と出会い、ベル坊を常に背負ってベル坊と戦うことで、物理的にも精神的にも「背中を預けられる存在」と出会うことができました。
また、ベル坊を通じて出会った多くのライバルたちは、男鹿を認め、その横に立つことを選んでくれます。

こうしてやっと、男鹿は孤高の一匹狼ではなくなりました。
※ライバルたちに囲まれる男鹿を見て「ああ、男鹿はもう一人じゃないんだ」と認識した瞬間、安心したように、でもどこか寂しいようにも見える表情でそっと微笑む古市貴之くんが最高なので、原作175話を読んでください。

男鹿辰巳がここに至るまでの数年間。
一人でずっとずっと男鹿の横に立ち続けた古市貴之という男が、ちょっとやそっとの喧嘩や小競り合いで動揺するわけがなく。
何度も抗争に巻き込まれてはその度に男鹿の強さに助けられた古市貴之という男が、男鹿の強さを疑うわけがなく。
最強の男の戦いを真横でずっと見続けてきた古市貴之という男が、同じ学校に通う「たかが不良」の存在にびびるわけもなく。

こうして「ふつう」だけれど「異常」の感覚を持つ古市貴之という、とんでもないバランス感覚を持った最高の男が生まれたわけなのです。

……書いてて具合が悪くなってきました。なんかもう「良い」じゃ片づけられないほどの良さではないですか?

■古市くんの魅力① 憑依体質

『べるぜバブ』は人間だけではなく悪魔もたくさん出てきて、悪魔も人間もみんな入り混じって殴ったり蹴ったりたまにオンラインゲームとかバレーボールとかして戦う作品なのですが、その中で古市くんは作中でも珍しい「憑依体質」であることが判明します。

通常のバトルでは悪魔と契約をしてその力を使役したり、悪魔本人がそのまま実体として現れて戦ったりするのですが、
古市くんは「魔界から呼び出した悪魔を自分の体に憑依させられる」「憑依させた悪魔の能力をある程度自由に使える」「魔力耐性が高い体質のため強大な悪魔の力も受け止めきれる」という能力が物語中盤~終盤で急遽開花します。

もう大騒ぎだぜ!

それまでは「男鹿の隣で戦いに巻き込まれる一般人」「喧嘩には弱いが頭脳や口先や人脈でなんとか戦う智将」という立ち位置だった古市くんでしたが、メチャメチャつよい悪魔たちを自らに憑依させることで
「作中でも5本の指に入る強さを誇る男鹿のライバルを1コマで簡単に倒す」「不意打ちではあるものの最強の存在である男鹿に1回勝つ(!!!!!!!)」といったことを次々とやってのけてしまい、大変なことになりました。

結果、強すぎる悪魔を憑依させて誰も止められなくなった古市くんに真正面から立ちはだかってその暴走を止めてくれたのもまた男鹿辰巳でした。うんうん、そうだね。ありがとう。
(この時に男鹿が古市くんにかけた「こんなもんがなくてもお前はじゅうぶん強いだろ」という言葉、男鹿辰巳が古市貴之のことをどう思っているのかを端的に表現していて、とんでもなく、だいすき)

この「憑依体質」の古市貴之くんの活躍は作中で何回か見ることができますが、毎回め~~~っちゃかっこよくて最高です。

特に物語の終盤の最終決戦で、味方側の”切り札”として扱われている古市貴之くん……。
そして物語でも最強と謡われた悪魔に「天稟の才の持ち主」と呼ばれる古市貴之くん……。

良すぎる。
最後の最後の最終決戦での古市貴之くん、これまで男鹿の敵として現れた悪魔たち全員と同時に契約して、男鹿のために悪魔たちと一緒に戦うんですよ。
かっこよすぎる。ええ???かっこよすぎる。かっこよすぎる…………。

■古市くんの魅力② 拉致られがち

小学生のころからずっと男鹿辰巳の隣にいるなんかひょろっちい細い男。
最凶な男鹿辰巳の隣にいるけれどもどうやら喧嘩はメチャ弱いらしい男。

それはもう……男鹿辰巳の「弱点」として狙われるんですよね……それはそう。
(実際、作中でも男鹿を本気にしたいなら古市貴之を狙えとはっきり明言されているシーンも出てきます。もう、それはそう。)

特に、自分が古市くんにドドドハマりするきっかけになった7話~10話あたりのVS姫川先輩戦のエピソードに人質古市くんの魅力が詰まりに詰まっていると思っていますので紹介させてください。

「自分がケンカをすればするほどベル坊が成長し、結果として人類を滅ぼすことになる」と気が付いた男鹿は「もうケンカをしない」と誓います。
でも、そんな矢先に、古市くんが姫川先輩の手下に取り囲まれぶん殴られ拉致られ人質となり、一緒に「男鹿のヨメ」と勘違いされたヒルダさんも攫われ人質となり。

敵地で捕まり、縛られ、さらにその状態で蹴られ血だらけになっても、男鹿がそれでも助けに来るはずと信じて「来ますよ。あいつは絶対来る。大丈夫。そーゆー奴です」とヒルダさんに告げる古市くん。

つい数時間前に男鹿が「もうケンカしない」と誓っているのを目の前で見ているのに、なんの疑いも持たずにまっすぐに飛び出したこの言葉も、表情も、なにもかも、大好きで、このコマを引き延ばして印刷して部屋に飾っておきたい。

そして実際に助けに来てくれる男鹿辰巳。好き。大好き。お前が主人公。
そんな男鹿を見て「ケンカしねーんじゃなかったのかよ」と茶化す古市くんと「ケンカじゃねーよ。今からするのは王の処刑だ」と返す男鹿くん。好き。男鹿辰巳、好き。お前が主人公。王。王様。好き。

そして、姫川先輩が人質であるヒルダさんと古市くんのことを「そいつらはてめーをここにおこうして呼び出す為のコマだ」と男鹿の目の前で言い放っている間、男鹿は姫川先輩のことなんてぜんぜん見ていない。
縛られているヒルダさんと古市くんのことを見て、古市くんと目が合った次の瞬間、笑いながら静かにブチギレる男鹿辰巳。

その表情が、めちゃめちゃに、かっこよくて、最高。ここ、最高。ほんとうにさいこうです。(男鹿がキレる直前、古市くんは何もしゃべらないのだけれど、無言の古市くんのまっすぐな瞳がドアップになるコマが差し込まれていて、この瞳を男鹿が見たのだとわかる描写になっていて、それが、とても、とても、最高。)

良すぎる。人質ぢからに溢れている古市くんと、主人公ぢからに溢れている男鹿辰巳の対比が、本当に良すぎるのです。

ちなみに、無事に姫川先輩をぶん殴ってぶっとばした後、公園のベンチで「やっちまった……」と放心している男鹿と古市くんの後日談もとてもとても良くて。

自分が人質になったせいで「ケンカをしない」という男鹿の誓いをさっそく破らせてしまったことに責任を感じ、

「すまん」と短く謝る古市くん。
しばらくふたりの間に無言の時間が流れる。
ちょっと経ってから「ボロカス言えなくなるから謝んな」と返す男鹿。
すかさずまた「すまん」と返す古市くん。
またすぐに流れるしばしの沈黙。
その後、「だから謝んなって言ってんだろ!!ぶっ殺すぞ!?」とブチギレる男鹿。
はあ~~~!?とキレ返す古市くん。

ここの沈黙の描写がとってもとっても好きで、人質とヒーローの、その後のやりとりまで、とても、とても、良い。すごい。

そして、この時のVS姫川先輩戦ではこうして無事に助け出される古市くんでしたが、終盤には「本気の男鹿辰巳と戦うため」という理由で拉致られたあとに男鹿の目の前で思いっきり心臓を刺され、一回殺されたりもしています。

……「本気の男鹿辰巳と戦うため」という理由で拉致られたあとに男鹿の目の前で思いっきり心臓を刺され、一回殺されたりもしています????

最初に読んだとき、そんなことある!!??って大声出たし今読んでも大声が出る。すごい展開すぎる。

実際、古市くんが殺されたあとの男鹿辰巳のキレ具合、最高にすさまじかったので……。
※古市くんはその後なんやかんやあって生き返ります、ほんとうによかった。ほんとうに。

■古市くんの魅力③ 王と臣下の関係性

作中で【王臣紋】という単語が出てきます。

これは、悪魔とその契約者を「王」と認め、忠誠を誓った「臣下」の体に現れる紋章で、【王臣紋】が現れた「臣下」は「王」からの魔力供給を受けられ、一時的に身体能力が上がる……というもので、
普段は悪態をついていながらも、男鹿辰巳とベル坊を「王」と認めたライバルたちに順番にこの【王臣紋】が現れていくアツい展開がめちゃめちゃに最高な局面です。

そしてこの【王臣紋】には紋章と一緒にひとりひとり異なる数字が書いてあり、それが「1」に近いほど、王への忠誠が強い……という設定もあります。
(男鹿と初めて戦った神﨑先輩に「1」の王臣紋が出た回はもうお祭りでした。切り込み隊長神﨑せんぱいだいすきです。)

さて、というわけで、肝心の古市くんの手の甲に発現した【王臣紋】は、というと。

最終決戦の最後の最後の一幕。
男鹿が最後の一撃を放つために味方たちから魔力を集めようとしたところ、男鹿の周囲にいる味方全員に発現した【王臣紋】。

ひとりひとりそれぞれ異なる数字が浮かび上がる中で、古市くんの手の甲に現れた数字は………。

「0」でした。

ゼロ~~~~!!!!????
そんなことある!!!!!!?????
【王臣紋】は「1」からって話だったじゃん!!!!????

こんなんもう零番隊登場以来の衝撃ですからね。大声も出るってもんだよ。

ていうかそれまでどれだけ男鹿の近くにいても古市くんには【王臣紋】は出なかったので、ああ男鹿と古市くんって王と部下ではなくてあくまで隣に並ぶ関係性なのだなあと思っていたのですが。
最後の最後で、力を与えるのではなく、力をもらうときにだけちゃっかり古市くんの力も頼りにして、そしてちゃっかり「1」よりも若い番号を付与していく男鹿辰巳さん……。男鹿辰巳さん……。

【王臣紋】という設定がそもそも大好きだったのに、最後の最後で古市貴之から「0」を見せられてもうおしまいになってしまいました。終わりです。


■古市くんの魅力④ 2年後古市くん

原作の最終回。
最終決戦から2年が経過した石矢魔でも相変わらず喧嘩が絶えません。

そんな中、同じ高校に通う先輩後輩同士で喧嘩をしている輪に近寄り「やめろ。仲間同士でみっともねぇ」と仲裁に入るのが、我らが古市貴之くん。
髪の毛伸びてる!背もたぶんちょっと伸びてる!なにより自分から不良たちのケンカの仲裁に入ったりしている!?!?

2年度の古市くんの隣に男鹿はいません。

それでも後輩たちからは「ふ、古市さん!!!」とびびられ、勢いよく頭を下げられるだけでなく「すげえ…古市さんに話しかけられちゃったよ…」と感動さえされています。
カリスマ性がかつての男鹿辰巳のそれ。かっこよすぎる。

後輩からは「100の顔を持つ男」として恐れられている2年後古市くん。
つまりどうやら古市くんは自身の憑依体質を生かし、いろいろな悪魔を魔界から呼び出し憑依させてはケンカをしているようで、その強さが周囲に広まってこんなことになってしまったようです。
あの古市貴之が!ケンカの強さで!有名になっている!!!

「実質今の石矢魔を仕切っている男」とも言われるまで名実共に強くなってしまった古市くん。

一方で、ベル坊と一緒に魔界に行くため石矢魔からいなくなってしまった男鹿辰巳。

2年後古市くんは「自分は男鹿が帰ってくるまであずかっているだけだから」と公言しながら、石矢魔高校のトップとなっているのでした。
かつての男鹿辰巳のようにケンカに明け暮れながら。

けれども、周りからどんなに強いと称されて、たとえ石矢魔最強だと言われても本当の”最強”は男鹿辰巳だから、と「自身はずっと2番手を名乗っている」という描写もされています。

そういうところ、そういうところだよ、古市貴之くん。
だからきみの王臣紋は0なんじゃないのかな。そういうところだよ。

高校3年生になった古市くんは、卒業式で、卒業生代表として答辞を担当します。
「まいったな…こういうのは、この学校じゃ一番強いやつがやると思ってたんだけど」とつぶやきながら、壇上に上がった古市くんは話し始めます。

ここが何度読んでも何度でも泣いてしまうほどにとても良いので、写経させてください。

みんな知ってると思うけど この学校で一番強かったオレの友達がいます
そいつは超が前に100個つく程 アホでマヌケで人でなしの最低野郎で
何故かいつも背中に赤ん坊を背負っているという変人でしたが
もう本当にクソヤローを絵にかいたような奴で ホメると思ったら大間違いだっちゅー話で
オレはそいつにいつもいつもまきこまれて
家が壊されたり
おっさんに住みつかれたり
魔界につれてかれたり
ロリコン呼ばわりされたり
死にかけたり…つーか死んだり
魂だけになったり
3つに分かれたり
本当… クソみたいに 楽しい日々でした

えーん。良すぎる。

これは、男鹿辰巳の横にずっといた古市貴之にしかできない答辞であると同時に、
メタ的な見方をすれば、ずっと読者側の立場に立ってくれて物語の手助けをしてくれた古市貴之が、読者と一緒に見てきた男鹿辰巳の魅力を等身大で表してくれている場面でもあり、

古市貴之の良さ、男鹿辰巳の良さ、そして『べるぜバブ』という作品の良さがぎゅっと詰め込まれた、最高の場面だな~……と何度読んでも噛みしめてしまいます。

そういえば読み切りも、第1話も、男鹿が川辺で拾ったベル坊を古市くんの家に連れてくるところからすべてのものがたりが始まっているんですよね。
初めの始めからずっと読者といっしょに男鹿辰巳とベル坊の歩みを見ていた古市くんでしか表現できない最終回。とても、とてもとてもすき。

この答辞の最中に男鹿が体育館を破壊して「呼んだか?」って魔界から帰ってくるところも含めてだ~~~~~~~~いすきな最終回です。


■まとめ 終わりに

以上、古市貴之くんがとても好きだという話でした。
そして書き始める前から薄々感じていましたが、男鹿辰巳のこともとてもすきでした。

最強の王様、男鹿辰巳。
その横に立ち続ける、「ふつう」の存在、古市貴之。
彼らがとてもとても好きです。

気が付いたらあれから15年も経っていたらしいのですが、それでもやっぱり今も彼らと、彼らがいる作品がとっても好きで、おそらくこの先もずっとめっちゃ好きなのだと思います。好きです。

まだまだぜんぜん好きなシーンとか好きなセリフとかたくさんあるのですが気が付いたら1万字に至りそうなのでこのくらいにしておきます。好きだよ~!

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