Joker:Folie à deuxを観た感想

まず、トッド・フィリップス氏の描くジョーカーを演じることは非常に難しい。
ホアキンフェニックス氏の演技力だけでも、この映画のレベルは一段上をウォークしている。
ホアキンフェニックス氏はおそらく何か特殊な能力を持っているのではないかと思うほど、俳優としての素質だけでその存在を確立している。

そこに、歴史に残る(と確信した今作品)俳優レディガガが加わった。(なんか薄っぺらい言い方)
レディガガ様演じたリーは、これまた非常に難しい役柄だった。
このリーのセリフを100%理解し、
場面場面で明確な意図を持ち確実で見事に演じきったレディガガ様は、あぁもうこんなところまで来てしまったのかと感嘆した。
確かに、あれだけで終わってしまうのなら、ガガ様の才能を出し惜しみされたような気分になる。つまり私はもっとリーをみていたかった。

憑依型の2人の俳優はこの作品に置いて一度も間違えることはなかった。

そしてこの恐ろしい作品を生み出してしまったトッドフィリップス氏。
最後の、物語の終え方をみる限り
この作品を通して伝えたかったことは明確である。
しかし、ジョーカー以上にカオスなこの世の中では、全く別の方向を見て判断する人もあるだろう。
だがそんなことはどうでもいいのだ。
賛否は想定内として世に出したこの監督は非常に冷静で客観的に物事を判断する能力が高い。
だからこそ、ここまで鮮明にジョーカーの心情を、芸術の力を借りて鮮やかに表現することができたのだと思う。

私がこの作品に好感を持ったのは
誰ひとり安直な、欲でこの作品を創ったのではないというところだ。

メディアは、興行収入や客の入り
いわゆる数字だけをみるだろう。

しかし、この作品は、
{素晴らしい作品ほどその数字は小さくなる}という方程式があるが、まさにそれである。
残念ながらこの深い深い心の世界では
誰しもが共感し理解できる領域ではない。

少なくとも、映像や人物、また音楽に対して強く心を動かすことができる人には、楽しむことが出来る作品だと信じている。
ただの娯楽映画として観るのであれば、
他を当たった方がいいのではないか。その方が時間を無駄にしたと思わなくて済むから。

ただ、セリフ、演出、演技その全てはアナザーレベルだ。
映画という芸術において、
人間が表現でき得る限界の境地を体験したいのであれば、ぜひ観てほしい。(観てる方が死にそうになるよ)
何度、途中でトイレに逃げ込もうかと思ったことか。
みて!みて!いいよコレ!とは安易に言えない作品。それだけ奥深い。

あと、リーは本当に怖かった。
心底冷えた。

全体を通して、何様やねんな感想になってしまったが、私は絶対にこの映画の感想を書く!!と心に決めたのだ。

愛。
愛のない世界では、人は一体どうなってしまうのか。

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