「人間は考える葦である」
スーパープレーをしたアシトに対する花の言葉。
フィジカルやテクニックも大事だけど
布団の中に留まりたい欲求と戦いながら、
毎日頑張って起きて朝練を行っている君。
夜も欠かさず毎日身体を動かすことが完全に習慣化したね。
練習を日々頑張っている君は、どんどん瞬発力とか敏捷性が成長しているし、
体幹で筋力が増え、ストレッチでは柔軟性もよくなっていっていると思う。
君はサッカーの上達ために必要なフィジカルがどんどん成長していっているのがわかる。
また、対峙する相手に勝つためのテクニックも絶賛成長中だ。
毎日いろいろな形でボールを触っているし、いろいろな動きを挑戦している成果だね。
フィジカルとともに、テクニックもどんどん良くなっていっている。
フィジカルもテクニックも、サッカーには欠かせない要素。
だからその二つを鍛えることはサッカーがうまくなるためにとても重要だということは君もよく理解していると思う。
では、その2つだけ練習していれば、サッカーのトップレベルまで登りつめるのに十分かな?
答えは「NO」だよね。
当然、トップレベルの選手は素晴らしいフィジカルやテクニックを持っている。
それと同時に、そのフィジカルやテクニックを活かすための「心」と「頭」を持ち合わせているんだ。
心とは、練習でも試合でも常に100%を出し切れる安定して前向きな強い気持ち。
頭とは、最短でより上達するため、または試合に勝つために常に考えられる頭脳。
この二つが無ければ、せっかくのフィジカルやテクニックは「宝の持ち腐れ」になってしまう。
心と頭。
両方とも大事なのだが、今回は頭、つまり、考えることの重要さについて話してみよう。
サッカーではなぜ考えることが重要か
フィジカルやテクニックだけでもある程度のレベルまではいけるだろう。
でも、もし君がサッカーの厳しい世界を勝ち続けたいなら、
考えるということを甘く考えてはいけない。
サッカーがうまい選手は考えることができる選手だからだ。
練習はもちろん、しないよりしたほうがいいが、
ただ、やみくもに量をこなせばいいというわけではない。
自分の現在地を正しくとらえ、
そこからどうやったら上達できるかを考え、
数ある練習メニューから的確な練習を選び、
その練習をこなすことを、
できるようになるまで繰り返す。
ただ何となく繰り返すのではない。
常にその過程も結果もよりよくなるように考え続けながら繰り返すのだ。
ただ何となくこなす練習の繰り返しと、常に考え続けられた練習の繰り返しでは、
時間とともに大きな大きな差が成果となって表れる。
決して考えることを止めてはいけない。
試合では、監督がある程度指示をしてくれるものの、
プレーの一つ一つは各選手が自ら判断しなければならない。
スピーディーなサッカーの試合の中では
監督の指示をいちいち待つことは不可能だ。
持っている情報から最適な答えを自分で考え出し、
自分で自由に判断することの積み重ねがサッカーなんだ。
(プレー前に監督からの指示で何をするかが決まってて、
その時々に判断が求められる機会なんてほとんどない野球等の
スポーツとは、全然性質の異なるスポーツなんだね)
そして、その判断が正しかったのか、
他にはどういう選択肢があったのか、
その時手に入った以上の情報が他に無かったか、
しっかり振り返って考えることがとっても大事だ。
決して考えることを止めてはいけない。
その振り返りの繰り返しが君の頭脳となっていく。
何千回も何万回もより良い判断を求めて考え続けた結果、
いつの間にか君は試合中、考えなくても直感で最適な判断を下せるようになる。
これは、もはやただ何となくの直感ではない。
膨大な経験と考え抜いた末にたどり着いた、説得力のある直感だ。
決して考えることを止めなかった結果たどり着く境地だ。
今日からできる「考える」
練習するとき、毎回、しっかり考えられているか振り返ってみよう。
以前に比べたら君は考えながら練習することが増えてきたのはパパもよく知っている。
でも、君ならもっともっと考えられることができることもパパは知っている。
よりよくすることを常に考えて、常に試みることが上達への近道だ。
試合経験の少ない君は、まだ試合中にたくさん考えるということに慣れていないかもしれない。
少しずつでもいい。
周りを見渡しながら、その時その時のベストの判断を目指してみよう。
また、試合で慌てないためにも普段の練習から試合だと思って考えてみよう。
たとえ試合中はアップアップでも、確実にできるのは振り返りだ。
試合のあとには振り返りの時間を作ろう。
試合を見返しつつ、他にどんな選択肢があったのか、
その判断でよかったのか、
監督やコーチ、パパ、ママと一緒に考えてみよう。
そして、そんな試合や練習をたくさん繰り返してみよう。
ハマるととことんハマる君は、その繰り返しができる子だよ。
繰り返しを積み重ねることで君が素晴らしいサッカー選手に
なっていくことをパパは信じてやまない。
決して考えることを止めてはいけない。
「人間は考える葦である」