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9月

9月、だなんてなんだか信じられないね
あれからもう1年経つんだね
イリコは覚えていますか?
17才になる前に死ぬと決めて、死ぬならせめて可愛く死にたい、大好きだったアイドルみたいに可愛くなって
そして、終わりにしようって
小学生の時からずっと貯めていたお小遣いも全部使いはたした
あとはピアスを開けて、ピンプリとって、それで、完成だったのにね
右手首から零れる紅い血を閉じ込めたお気に入りの香水瓶はどこに行ったんだろうね

あと少し、

9月20日
ODしてフラフラの状態で学校に行って
解離して倒れて
県の機関に保護されて
どうしたって逃げられない、死ねない、小さな部屋で過ごしたね

9月24日
木の机を立てて、長袖のTシャツで輪を作ったね
でも私を殺すにはあまりにも、それは軟弱で、頼りがいがなかったね
その後は何もなかった様に布団を敷いて、
身体を重ねたね

17才になりたくない
死にたい   消えたい   殺して
死なせて
何度も、何度も何度も

着ていた服の袖がびしょびしょになっても、ずっとずっと泣いていたね
過去も未来も現在も、親も友達も周りの大人たちもみんな敵で、私は壊れていて、世界は黒く澄んでいた
死にたい死にたいと泣きわめくイリコに
大丈夫だよ、よく頑張ったね、お疲れ様でした
なんてありきたりな言葉を
何度も何度も、言い聞かせる様に繰り返していたのを、私はおぼえているよ
イリコは忘れちゃった?

9月25日
私が目覚めた時、イリコは深い眠りについてしまったね
寂しかったよ、本当に、もうずっと、目を覚まさないんじゃないかって
でもね、消えないでくれてありがとう
身体は死ねなかった
イリコは深い眠りについた
でも私には朝がきた
いつもと変わらない、静かな朝
あの日はたしか日曜日で、特に人が少なかった
迎えてしまった誕生日
1人で、誰にも祝われない誕生日
それもまた良いかもねなんて、ぼそっと呟いた
お誕生日おめでとう、わたし

その日の3時、唯一ケーキを持ってお誕生日おめでとうとお祝いしてくれた人は、私たちが大嫌いで、絶対的な敵であった
大人だったね
買ってきてもらったチョコレートケーキは、少し苦くて、でも甘くて、すごくおいしかった

イリコ、もうすぐ私は、法律が大人と認める年齢になるよ
嫌だったseventeen、とってもかっこいい店長さんに出逢って、とても大切な彼女さんができたよ
暖かくて繊細で、面白いお友達だっているよ

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華のseventeen+1

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