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8月 ある朝

芸能人や有名人が亡くなると、3日ほどは各種SNSがその話題で彩られる。彩られる、なんて言うと不謹慎かもしれない。でも、私はそう感じてしまった。別に人が亡くなるなんてことは当たり前の話で、ずっとずっと小さな頃から知っている。おばあちゃんのお葬式で白く冷たくなった姿に花を添えたのも覚えている。

たしかあの日は、学校をサボって家に籠り、Tiktokを見ていたっけ、その日のおすすめは上島竜兵さんの自殺報道でもちきりだった。
悲しみ、同情、感謝、からかい、動画は上島竜兵さんをテレビで知る人たちの感情が乱れ咲いていた。
そのうち見ているのも辛くなってお布団の中で静かに瞳を閉じた。
それから次に光を感じるまで、どのくらいだっただろうか。数分だったかもしれないし、数十分だったかもしれない。いや、もしかしたら数時間かも。とにかく、私は動き出した。

実のところ、あまり覚えていないのだけれど、血だらけの手首にティッシュペーパーを巻き付けて、横断歩道の真ん中に突っ立っていたのを所々覚えている。なぜそんなところにいたのか、その先のことも、今はもう思い出せない。

でもきっと、何事もなかったように家に帰ってきたのだと思う。それから数日が経ちメディアで上島竜兵さんの自殺報道は、跡形もなく消えた。

それから約1年がたった8月、五彩緋夏ちゃんの死亡報道で彩られたTiktokを、きっとあの日となにも変わらない私は、今日もひとり、画面をスクロールしていた。

人は死ぬ
そんなことはずっと前から知っている

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