アルファポリスで、小説を書いてます。(第15話)
かつて、魔女だった君へ~異形の怪人と殺戮の乙女~
タイトル変えても、イマイチ伸び悩んだので元に戻す事にしました。
こちらは、バトル描写に力を入れて書きました。スピード感や迫力は上手く表現出来たかな…?と、思います。
★忍び寄る魔の影★
まだ研修生時代だった、本当の思春期の少女だった頃ー、施設を抜け出して、普通に人間の男と付き合ったことがあったが、彼と自身との間には大きな隔たりがあった。相手の男はごく普通の人間の男だったが、自分との間に明らかな隔たりを感じたー。彼は光側の人間だった。普通に友達も沢山いて、普通に皆から好かれている。同じ景色を見ている筈なのに、180 度違う景色を見ていた。向こうは虹色の眩しい世界の中で生きていた。自分は、ドブ鼠のようであった。
そんなとある朝、男と寝ていた頃、地面から黒い巨大影が出現し、口をぱっくり開けると男を呑み込んだ。唐突な事なので、何か何だか状況が理解できずにいた。
それからというものの、自身の身に大きなピンチがある度に、決まって何者かが、守ってくれている様な感じに囚われたー。
それは昼間の太陽がさんさんと照りつけている時刻ではなく、曇りや雨の日、夕暮れから暗い時刻に必ず起こるー。
今回の件で、ある程度確証が取れた。
「ーなあ、今更あんたに話すけど、昔からずっと私の事をつけ回している奴が居るみたいなんだ。」
ルミナはライターを取り出すと、タバコに火を灯した。
「ーどういう意味だー?」
「今まで、何故か思い当たる節があるんだ。戦いの時、ダークネスが出現した時、他の仲間は重症になる事が多く、仕舞いには亡くなった者だって居たのにー私だけ軽傷で済んだりする事が多くてー。特に、スキルを発動もしてないどころか、何も戦ってもいない時とかもあってなー。私がピンチの時は強力な何者かに守られているような気がするんだよな。」
ルミナは煙を吐き出すと、夕焼け空をぼんやり眺めていた。
「それは仲間か?誰か、心当たりは居ないのかい?」
エリアムもタバコを咥え、ルミナから火をもらう。
「いいや、仲間じゃないと思う。彼女達の発動する力スキルを見ても、特に何も感じないから。奴から守られてると感じた時のゾクゾク感とは、全然違うんだ。」
ルミナの身体全身の痣が、ジリジリ傷んできた。そしてそれは熱を帯びるような感覚になっていった。
「その、奴って、僕は、メリーの事だと思うのだがー」
「いいや、メリーのオーラとも違うんだ。ー組織の奴らとも違うー。何かー、重苦しくて重圧感があるんだ。」
ルミナは上着の袖を強く握りしめた。
「他のダークネスかー。僕が昔出会ったダークネスは、タイプが真逆そうだから、違うだろうしなぁー。」
エリアムは顎に指を当てて、眉を八の字に寄せた。
とある廃墟の一角で、ドールの一団が行進をして、数千の群れをけいしていた。ドールは皆、同じ様な姿をしており、首から上は狼の様な姿をしており、直立二足歩行をしていた。ザーザー雨が滝の様に地面に打ちつけ跳ね返している。
時刻は既に夜の12時を回っていた。すると、人気のない静かな廃墟の奥から、カツカツとヒールの音が反響した。深紅のシルクハットと深紅のトレンチコートー。右手にはステッキを携え、上質な白い手袋をしている女が姿を現した。
「大分、涼しくなったわね。ついでに塵共も利用して消し去ったら、もうこれで楽だわー。」
柔らかな色っぽい声である。女は不気味にほくそ笑むー。彼女は傘をしてないのに、何故か全く濡れてはいなかったのである。
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