ぱんぱんのフグ

ぱんぱんのフグみたいだ。どう見ても。
よだれを抑え込んで一文字に結んだ口と、主に右側の頬下の首が腫れ上がっていた部分が、今はもう襟巻きの様な有様になっている。
熱が下がったとは言うが、どう見ても良くはなっていないので1日家で大人しくしてもらっていたのだが、夜に店を手伝いに来た母の友人に状況を説明したところ、点滴を打ちに行ったほうがいいと言われ、まさにそう思っていたのだと同意をし、夜間の外来診療に行って来た。
約4時間は経っただろうか、やっと帰って来たと思えば先述の様な結果だった。
どう見ても悪化している。まさか顎から点滴して来たのか?と言いたくなるが、そんなわけはないとわかっているので、「手から注射したの?」と当たり前の問答をした。後から顔を出した妹までも、全く違わぬ質問をしたものだから、そう聞きたくなるよね。と、心に思ったほどだ。
少しでも調子が良くなればと思って病院に行ったのに、大きく調子を悪くして帰って来たわけで(そうとしか思えない)、車検に出した車がその後からブレーキ音がおかしくなったり、エンジンルームの様子が不穏で仕方なくなったりする様子がフラッシュバックする。

明日の朝一でもう一度抗生剤を投与することになったらしい。点滴で殺されることはあるのだろうか。数年前に小さな街の古病院で点滴毒殺により数十人の命が奪われた事件があったことを思いだす。もしや自分の母が誤診による治療ミスで死ぬ現実が待ってやしないだろうか。

いろいろな未来を想像するが、どれも可能性はあるわけで、そうか、体力が無ければどんな未来にも対応出来ないのだな、と思い直すことが毎回お決まりのルートになりつつある。そう思って自己を支えなければ、いつでも簡単に全てがぺちゃんこになってしまうのだ。

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