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「宗教ではなく、あくまで言葉に共感している。」というのと似ているエピソード。身土不二のルーツ探し。

 「宗教ではなく、あくまで言葉に共感している。」というのは、藤井風のアルバムタイトルに対し、週刊文春がレーベルの河津社長に取材して記事となった回答の一部。これで納得した人が私を含め大半だろうが、納得しない人もいるのが世の中の面白いところ。

 さて、藤井風に全く関係ないけれどちょっと似た話を読んだ。西日本新聞で連載されていた「振り返れば未来 山下惣一聞き書き」を私は楽しみに読んでいたのだが、このたび書籍が出た。その一部を紹介したい。

「身土不二」のルーツを探した山下さん


 山下さんは「身土不二」を提唱していたが、言葉のルーツがなかなかわからなかった。調べるうちに、韓国で「身土不二」が国産農産物の愛用運動に使われていることを知った。その韓国では、国民運動に日本から輸入された言葉を使うのは何事かと懸命に出典を探した結果、中国の仏教書にあることがわかった。後に、山下さんは日蓮宗の住職から、最初に登場する文献としては法華経の書物のほうが少し早いということを教えてもらったとのこと。
 共感を得やすい言葉は古くに登場し、散らばりながら語り継がれていくということだろう。

 言葉のルーツがあいまいでも、その時その場所での言葉に共感することはよくある。最近、一部の藤井風ファンも、山下さんのように言葉のルーツ探しをしていた。藤井風をめぐる楽しい探求の1つとして。

 山下さんは仏教書を読み漁るうち「菩薩半眼」という言葉に出会い、座右の銘にしたそうだ。86歳でお亡くなりになった山下さんの長い物語の中では、たった1ページの出来事。
 IIYY Projectに巻き込まれたことは肥やしとなって、藤井風の長い物語のうちの1ページくらいにはなるような気がしている。