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慢性骨髄性白血病は完全寛解したけれど  #7 タシグナ服用中止

 スプリセルの服用中止中には職場の異動があり忙しく、その後は入院だった。この期間は新築住宅の工事期間だった。住宅メーカーとの打合せは大変だったが、工事が始まれば施主は上棟時の確認だけで他はメーカー任せだった。大きな施工ミスもなく順調に完成に向かっていると報告を受けていた。

 退院の頃に住宅が完成した。退院の際には看護師から退院後の過ごし方について指導を受けるのだが、その内容には血液内科系の患者が一般的にカビや感染症に弱いこと、分子標的薬の特性からもカビには注意が必要であること、カビを用いた抗生物質は併用注意となっていることなどがある。

 つまり埃やカビの舞う清掃をすることは避けるように言われるのである。どうしても清掃しなければいけない場合はきちんとマスクをするようにと言われる。以前の借家はおよそ30年前に建てられており、断熱や気密性が新築住宅と比較して劣っていた。家具の後ろなどはカビだらけであった。

 このような状況の家で引っ越しのための片付けや荷物整理を行えば当然埃やカビの胞子を浴びまくることになる。しかし引っ越し準備をしないわけにもいかない。退院後の病休期間を利用して、埃やカビに気を付けながらゆっくりと作業を進めるつもりでいた。

 ところが退院後に異様な無気力感に襲われ作業が捗らなくなった。最初は入院の疲れだろうと思っていたが改善しない。また顔のニキビの数も増え、化膿を伴って腫瘍になるのではないかと思うほど大きくなっていった。皮膚科の医師が私を診察して思わず「これは酷い…」と呟いたくらいであった。

 体に痛みがあると思えば違和感や倦怠感を感じるときもあり、思うように体が動かなかった。口を動かして人と話すこともしんどくなってきた。スプリセルのように頭が霧に覆われている感じとは違うのだが頭がうまく回らない。だんだんと日常生活に不自由さを感じる状況になっていった。

 タシグナを服用して1ヶ月半ほど経った血液内科の受診日で、主治医から
「タシグナを飲んでみて最近の調子はどうですか?」
と聞かれた。思わず私は
「絶不調です。」
と答えた。すると主治医は
「それではタシグナを飲むのをストップしましょう。」
という判断を示し、タシグナは服用中止となった。

 ところがスプリセルのときには服用を中止すれば素早く副作用が消失していったのにタシグナはなかなか消失しなかった。また、タシグナの服用を中止すれば当然白血病細胞は増加するはずなのに、その後の検査でも次第に減少していくような状態であった。

~#8 病休から休職へに続く~

 

 

 

 


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