生きる選択2
成田さんのケアが始まった。食事は水分制限がある為、本人がそばを頼んでも汁はすべて捨てる。汁なしそばになるのだ。
そこまで徹底管理をしている。もちろん本人は激怒する為、きつい言葉を言われることもある。それでも、何度もくじけず同じことを繰り返す。そんな日々が続いた。
成田さんはいつもラジオを聞いていた。目がほとんど見えない成田さんは、ずっとラジオが心のよりどころだった。にぎやかしくしていた方がいいそうで。
我々が関与してから、血糖値が落ち着いてきた。水分量も適正に守れてき始めていたので、内科医からも褒められるレベルでの改善が見られていた。
このまま…そうこのまま行けると思っていた。しかし…
ある日を境に、血糖値が上昇。水分量も基準値を超えて、透析時間も長くなる。内科医からも何があったの?と言われるレベルだった。
真っ先に、我々ヘルパーが何かをしたんじゃないかと疑われた。だが、誰一人として、本人の言う事を聞いた者はいなかった。
おかしい…何かが…。するとあるヘルパーの報告から事態は一変する。
「ご本人透析バックから、お弁当とお菓子が出てきました。」
食事はこちらで管理している…。なぜ弁当が。しかもお菓子も。
なんと透析病院のドライバーに買い物へ行かせていたのである。
何でそんなことになったのか…
このままだと、体の負担が多きすぎる
なんとかせねば…。」
こうして私は成田さんと対峙したのだった。
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