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一夜の囁き

「えっ、、、」

嘘だろ、と。いつもウケをとっていたこの芸人Tに顔が似ているというトークでそんな言葉が出てくるなんて。にわかに信じられなかったが、ハグかそうじゃないかくらいの形で腕を首にかけてきた。

周りもそれを見て盛り上がる。が、それ以上に自分の心臓の音が高鳴っていることでいっぱいだった。これって本気なのかどうなのか。少なくともMさんからくまさんに意識が向いてしまったのは確かだ。

少し試してみるか

このときの自分は大胆だったと今でも思う。おもむろに目の前にあるきゅうりスティックを見てまずはこれをくまさんにと。酔いと少しの動揺で落としてしまったがすかさず箸で掴みくまさんに食べさせてあげた。

次に自分が一本きゅうりを口にくわえる。それを食す。そして食したあとにまたくまさんにもう一本。あーんとちょっと強引に。今思えばすごいことだった。俺の思惑はすごい安直だった。

「このままキスできるんじゃないか」

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