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「基本的な考え方」と「骨格案」への評価。

今回の記事では、6月20日の総務委員会で市担当部署(企画部)から行政報告された「基本的な考え方」と「骨格案」の紹介と、以前「市民の会」が提出した要望書がそれらにどれだけ反映されたか等の評価をしていきます。

6月20日の総務委員会で、(案)が取れて確定した「基本的な考え方」と「骨格案」が報告されました。

総務委員会では行政報告に対して質疑応答はありますが、可否を問う事はありません。議員からは、いくつか質疑があったそうです。

以下では、この2つに「市民の会」が4月6日に提出した要望書「人権基本条例(仮称)制定に向けての基本的な考え方並びに制定過程について」(要望書2)がどれだけ反映されたか等の評価をしていきます。

1.「差別の禁止」を明確に規定すること。

「不当な差別的取扱いの禁止」が明記された事には一定の評価をします。
ただ、「要望書2」提出以降の国会におけるLGBT理解増進法成立までの議論の中で、「差別は許されない」という部分が「不当な差別は許されない」と変更されました。まるで「正当な差別」があるかのようです。本来は「あらゆる差別は不当である」という意味で使われていた「不当な差別」という言葉が、この議論によって壊されてしまいました。
この流れがある今、三鷹市の人権条例に「不当な差別」という表現を使うのは適切ではないと考えます。単に「差別」とするか、「あらゆる差別は不当であり、正当な差別などない」という事を明記するべきです。
また、法的には「不当な差別的取扱いの禁止」だけではヘイトスピーチやネット上での誹謗中傷を規制する事はできないそうです。
ヘイトスピーチや誹謗中傷による被害をなくすために「差別的言動の禁止」も明記するか、「あらゆる差別の禁止」とするべきです。

2 .人権侵害に関する相談・調査・救済・提言を行う独立した第三者機関を設けること。

骨格案に「人権侵害に関する市民からの相談と救済のための相談体制の整備」とありますが、市としてどこまで想定しているのか不明瞭です。
引き続き、同内容を求めます。

3.人権条例策定に関わるプロジェクトチームを設けること。

今回の「基本的な考え方」と「骨格案」からは現状を読み取ることができません。庁内での議論に終始することなく、人権課題に知見のある専門家を含むプロジェクトチームを常設して「人権基本条例」の策定に取り組んでください。

4.市民の意見をより十分に反映させるプロセスを重視すること。

今回、「基本的な考え方」と「骨格案」への意見募集を行った事は評価します。ただ、より多くの市民に周知する方法がないかどうか、今後も模索し続けてください。
今後の市民ワークショップ、市民フォーラム、パブリックコメント等も多くの市民、特に当事者や問題意識のある人の意見を聴ける大切な機会です。市側があらかじめ道筋をつけることなく、市民の意見を条例に反映する場としてください。

その他、「骨格案」にある〈市民の責務〉について。

①人権侵害の早期発見への協力
「人権侵害の早期発見への協力」と(事業者等の責務にも)ありますが、市民相互の監視社会を推奨しているように感じてしまいます。これこそが人権侵害のきっかけになりかねません。そして、市民や事業者等の協力に対して、市がどのような対応をするのか、人権侵害事案か否かをどうやって判断するのか等の記載がありません。

②市民の権利
市民に責務を負わせるだけではなく、誰もが差別されることなく安心して生きる権利がある事を「市民の権利」として明記するべきです。


以上の評価は、8月30日に市長宛で市担当部署へ送付しました。
また、市では7月14日から8月8日まで「基本的な考え方」と「骨格案」についての意見募集を行っていたので、この評価を基に「市民の会」メンバーもそれぞれの意見を送りました。
市民の意見がどの様に活かされていくのか、今後も注視していきたいと思います。

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