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罠に嵌った獲物 ♯3

前話は下記の「♯2」です。

俺は美咲の様子を観察しながら、満足げに微笑んだ。彼女が手洗い場で必死に手を洗う姿を見て、今日の接待がどれほど彼女を追い詰めたかがよくわかる。

「もう~、最悪!!」

美咲の呟きが聞こえてきた。手の甲に残る感触に苛立っているようだ。

俺は美咲が「星野エンタープライズ」に入社した日のことを思い出す。就職氷河期と呼ばれた時代に、一流企業である我が社に内定をもらい、秘書課に配属された彼女。最初は不安そうだったが、俺の指導のおかげで何とか業務をこなせるようになり、今では社長の第2秘書を務めるまでになった。

基本的には俺が第1秘書として社長を支えているが、今日のような酒席を伴う接待の際は必ず美咲を呼ぶようにしている。取引先の何人かが彼女を気に入り、接待の際は同席を要望してきたからだ。

最初のうちは、美咲もお酌をしたり、プライベートな話をしたりするくらいで済んでいた。だが、徐々に接待の場での彼女への接触が増えていった。手から肩、腰、そして臀部へと。美咲が何も言わないでいるのを見て、取引先の連中はさらにエスカレートさせていった。

そして今日の接待。俺は美咲の手の甲にキスをする取引先の重役を見て、内心では愉快に思っていた。さすがの美咲も、これで我慢の限界だろう。

俺は美咲の苦悩を楽しみながら、次にどんな罠を仕掛けようか考えていた。彼女をさらに追い詰め、完全に支配下に置くための策を練りながら、俺は静かに美咲の後ろに近づいていった。

つづく

#官能
#女
#男

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二宮 潤一|大人の女と男を語ります。
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