![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161568183/rectangle_large_type_2_a99761a5e4127ac479f68817200b1b1a.png?width=1200)
罠に嵌った獲物 ♯10
前話は下記の「♯9」です。
美咲が会議室に入ってくるのを見て、俺は内心で笑みを浮かべた。
彼女の声が震えているのが聞こえる。
緊張で眠れなかったのだろう。
俺は冷静を装いながら、コーヒーを飲んでいた。
美咲が入室すると、その香りに少し安堵したような表情を見せる。
「そこに座りなさい。」
俺は美咲に椅子を指示した。
彼女は俺の表情を窺っているが、いつも通りの冷静さを保っている。
美咲の不安が高まっているのが手に取るように分かる。
「昨晩のことについて、説明できるかな?」
「はい...」
美咲は全てを話し始めた。
取引先からのセクハラ、社長の対応の不備、そして社長室での行為の理由。彼女の話を聞きながら、俺は計画の次の段階に進む準備をしていた。
「私の行動は許されるものではありません。どんな処分でも受け入れます。」
「いや...こちらこそ申し訳ない。君の悩みに気づかなかった。」
美咲の驚いた表情を見て、俺は内心で満足した。
彼女の予想を裏切る反応を示すことで、さらに彼女を混乱させる。
「佐藤さん...佐藤さんが謝る必要はありません。私がもっと上手く対処すべきでした...」
「いや、我慢する必要はないんだ。今後は悩みがあれば私にも相談してくれ。ただし、昨日の行為は別問題だ。」
そう言って、俺は紙とペンを取り出した。
ここからが本題だ。
「社長室で行ったことを、全て詳細に書き出しなさい。」
「...え?」
美咲の驚愕の声を聞いて、俺は計画が順調に進んでいることを確信した。
彼女を完全に支配下に置くための最後の罠が、今まさに展開されようとしていた。
いいなと思ったら応援しよう!
![二宮 潤一|大人の女と男を語ります。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160597260/profile_166ab1ab50da23407d4ce51fcc7be82f.png?width=600&crop=1:1,smart)