山中千尋トリオ ライブ 11/12 AVENUE
昼間はそんなに寒くなかったのですが、暮れると寒くなってきました。少し早く着いてしまって1時間以上は並んでいたと思います。倉敷の有名なジャズ喫茶AVENUE。今夜はジャズピアニスト山中千尋がトリオでライブする夜でした。少し遅れて店に入ると、山中さんはピアノにはりついて何か作業中でした。何かコードをピアノでおさえて、ノートパソコンケースに何か入力して、ライブの前に何の作業かな?何か構成でもしてる?とてもあせっている感じだったので、山中さんの顔が向く方に座っていた私はあまり見ないようにしていました。見ると何かしら焦らせてしまう気がして。
事実、山中さんは焦っているようでした。キャリーバッグを引っ張って急足で奥に消えステージ衣装に着替えて出てきた時には開演時間を少し過ぎていました。
そしてライブが始まって山中さんのトークで明かされたのは…なんとあの作業は作曲だったのです。
「曲がおりてきてしまって…」というお話しにびっくりしました。当然アーティストが作曲してる瞬間など見たことありません。もっとじっくり見ればよかったかなぁと思ったりもしました。
なんでも来日ライブするはずだったお知り合いのアーティストが怪我で来られなくなって代役でステージをしたので、その方のことを考えている時に下りてきたというようなことを話していました。
で、早速その曲を演奏したのです。プリントアウトしたての楽譜を1枚渡してメンバーと三言四言打ち合わせ、ただそれだけで演奏スタートです。
それはまるで手紙のやうな音楽でした。言葉のようなそれよりももっと語ってるどんな言葉よりも雄弁な音楽というものを初めて感じました。
ジャズプレイヤーは音楽で話してると聞いたことがありますが、そうなんだととても新しい感覚をおぼえました。演奏はばっちり曲は仕上がっていました。
それは多分山中さんの気持ちをそのまま真空パックしたカプセルのような曲だと思います。
それを開封した時、その気持ちはそのまま相手の方にも届くんだろうと想像しました。
忘れられない夜になりました。