中国基層研究所

現代中国を基層/グラスルーツから俯瞰透視する

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最近の記事

2018-2024中国无差别杀人事案

作者:海隅苍生 发表日期:2024.11.12 来源:微信公众号“海隅苍生” 转自中国数字时代  “献忠“現象をめぐる“海隅苍生” の微信。以下、同ポストの概要のメモ書き ************************************* 景気低迷が長く続くと、人々が生活に自信を失うのは確実! 事案発生の地域分布としては、北部は渤海周辺の山東省、遼寧省、吉林省、北京市に集中。中原、北西部には発生は見られず、南方が大部分を占める。大多数が暑い季節に発生し、湖南省、広

    • 「中立」?

      ************************************* 「中立」と「客観」を混同してはならない。 「中立」の否定とは何れかのポジションの選択、その選択自体が恣意的なものであってはならない。その偏りを否定するのが「中立性」…メタ認識、思考が必要な所以。 活動家/工作者には「中立」なんぞ不要だが….                                                [了]

      • 党員証:サバイバルの最強パスポート

         現代中国社会を切り取るキーワードに「内巻」と「躺平」がある。前者は過酷な競争社会を象徴する言葉で、幼児期からの受験地獄に始まり、成人後も厳しい選抜が待ち受ける現実を示す。一方、諦めゆえだろうか、これに背を向け、無気力に“寝転ぶ“ライフスタイルが「躺平」だ。最近では、恋愛・結婚・住宅購入そして子供をもつことを諦め、拒否する青年層を指す“四不青年”という言葉もネット上では流行している。  だが、かつての眩しいまでの高度成長も色褪せ、不動産不況の経済不振が色濃くなる中、巨大な生

        • メモ:⚪︎虎⚫︎翼‌

          2024年9月26日記  いよいよ明日最終回を迎える今評判のNHK朝ドラ《虎に翼》、途中から見始めたので、どこかで説明があったのかも知れないが、そもそも《虎に翼》とはどんな含意のタイトルなのか。そこにはどのようなニュアンスが込められているのか…  「虎に翼」は、韓非子「難勢篇」の語とされ、「鬼に金棒」と同じく「強い上にもさらに強さが加わる」の意味で、日本書紀の中でも引用されている(『日本書紀』巻第二十八「天武天皇 上」)ことわざというが、中国語世界にあたってみると、関連す

          遠い中国?:TPOFデータから

          果たして両岸統一/中台統一は可能か?  台湾の老百姓=一般民衆は、中国をどのように捉えているか。中国共産党にはどのようなイメージをもっているのか、中国の老百姓との関係をどのように捉えているのか。  台湾民意基金会(TPOF、Taiwan Public Opinion Foundation、游盈隆理事長 )の最新調査(2024年8月)結果がこうした問いへのヒントを与えてくれる。 中国共産党への感情温度  「0」(強い反感)から「100」(強い好感)の「感情温度計(Feeli

          遠い中国?:TPOFデータから

          伝聞北戴河会議? 

           真偽のほどは措くとしても(まあ、ネタ元が在米のあの(!)吴祚来とあってはねえ^^)、政治的謡言(デマ/フェイクニュース)の流布についてはその社会的背景、殊に社会心理的な背景を見出すことこそわれらがなすべき課題。各人発言に与えられた役割は、当該人物への従来評価とも相俟って果たすべき任務、役割への期待とも映る。中南海八股文体との逕庭を指摘する向きも含め、これら謡言に寄せられるコメントも百花斉放情況で面白い。  この人物ならば…と思わせるに十分ないかにもそれらしい口調と内容、これ

          伝聞北戴河会議? 

          ポスト・トランプへの憂慮

          今後4年はあきらめるしかないとしても、4年後、果たしてどこまでトランプ的要素への辟易感、忌避感が浸透するであろうか。 この写真は、強運な(精確には悪運強き)愛国者(然とした)、戦う指導者、トラちゃんを象徴するものとして、これから秋口まで嫌になるほど見せつけられるだろう。 AP通信のエヴァン・ブッチ(Evan Vucci)カメラマンのこの写真が 。TIME誌の表紙に採用された。ブッチ・カメラマンは再びピュリツァー賞受賞となるのだろうか。 不朽の一枚とされるあの硫黄島に星条

          ポスト・トランプへの憂慮

          城郷差異と差距

           農村派としてよく知られる賀雪峰(武漢大学社会学院院長、中国郷村治理研究中心主任、教授)が行った城郷対比論。  そもそもは三農問題解決に向けての《中共中央 国务院关于实施乡村振兴战略的意见》(2018年中央1号文件)における郷村振興戦略の提起以来の流れに沿ったものと映るが、郷村研究者の中央政策への期待と不安がないまぜになった慎重な対応が窺われる。  曰く;  末尾の一節は、目標達成には、相異なる都市/農村間のメカニズム、規律をこそ尊重すべきだと農村寄りの配慮を訴えているも

          城郷差異と差距

          涂鸦:ある声明

          以下、仮訳 ********************************** ある中国人が靖国神社で行った違法行為に関する厳粛な声明 インターネットや日本のテレビのさまざまな報道を通じ、ある中国人男性が東京都千代田区の靖国神社の大門石碑に、さまざまな違法行為、犯罪行為を行っているのを見て、非常にショックを受け、怒りを感じ、そしてそこか起こり得る重大な結果を憂慮する。責任ある威厳ある在日中国人として、厳粛に以下を宣言すべきものと考える。 1. これは典型的な個人が引き

          涂鸦:ある声明

          《娘心》は《母心》

           《娘》という漢字は、日本語ではうら若き女性、少女の意味しかないが、中国語世界では多くの意味がある。女性一般を指すこともあり、侍女から女主人への、あるいは他人の妻に対する呼称であったり、宮廷の側室を意味することもあるが、やはり口語では「母親」の意味が最も一般的。  その意味では、大島諒井/マサエの作詞作曲となるオールドナンバー、《娘心》の日中両国における存在は興味深い。  下掲の通り、大島オリジナルの日本語歌詞は19歳少女の恋心を歌ったもの。さくらまやと共に「少女演歌」の

          《娘心》は《母心》

          男はツラいよ : 高騰する彩礼

           それなりの家、クルマを保有することに加えて、ある程度の金額の彩礼(=結納)を納めることが結婚の必須条件とすれば、中国男子はツラい。        男女性別比のアンバランスから、ただでさえ、女子と巡り会い、恋愛関係に発展する機会自体厳しい競争条件下におかれている。第7回人口センサス(2020年11月1日)の結果では、男性が7億2,334万人、女性が6億8,844万人で、それぞれ51.24%、48.76%を占める。2021年末時点でも、総人口14億1,260万人のうち、男性7億

          男はツラいよ : 高騰する彩礼

          プロファイリング習近平

           今日のロシアのウクライナ侵略、イスラエル/イランの報復合戦等に典型的に窺われるように、国家指導者の内面心理、特に、権威主義体制国家の場合、そのトップがなにを考えているか、指導者の内なる思考/志向のありようは国際関係の今後を考える際、極めて重要な要素となっている。  こうした関心から、党中央委員会総書記にして国家主席、党/国家中央軍事委員会主席という中国の党・政・軍の権力中心の座を占める字義通りの最高指導者、習近平が今日の中国をどのように捉え、そこから何を考え、何を進めよう

          プロファイリング習近平

          “四不青年”

          “四不青年”   近年のネット流行語の代表格に“四不青年”がある。巨大な生存圧力を前に恋愛、結婚、住宅購入そして子供をもつことを諦め、拒否する青年層の現状を象徴する表現だ。因みに、広州市共青団市委が行った「広州青年発展状況」調査では、15,501の回収済み有効サンプルのうち、“不搞対象、不結婚、不要孩子”、すなわち,恋愛も結婚もせず、子供もいらないという大学生の回答は1,215というから、およそ1割方の青年がこの“四不青年”ともみられる。   こうした現象の蔓延に対し、当然

          都市・農村の迭代ー中産ライフの陥穽

           城郷融合の時代と称されるまでに、現代中国には農村セクターの都市化および都市部門への農村要素の流入が未曾有のテンポで進んでいる。農民の住宅、教育情況が都市化され、そこにあってはデジタル革命が都市型ライフスタイルの変化を牽引しているという。これは、武漢大学中国郷村治理研究センターが春節期間に微博、新浪と共同で行ったネット調査(同調査:回収有効標本数115,867サンプル、地級市区44,781、県城36,333、村鎮34,753、都市7割、農村3割の回答分布)で明らかになったもの

          都市・農村の迭代ー中産ライフの陥穽

          中国深層理解のために..

          『レッド・ルーレット』  中国でビッグプロジェクトを如何に展開し、成功を勝ち取るか……上海の貧しい教師の家に生まれ、香港に脱出した後、米ウィスコンシン大学に進み、金融と会計学を学び、香港の「チャイナベスト」の株式仲買人として中国ビジネスに挑んだ「海亀族」(海外留学組)、沈棟(Desmond Shum)が著したのが《Red Roulette:An Insider's Story of Wealth, Power, Corruption, and Vengeance in To

          中国深層理解のために..

          文献:戦后中国人の日本観の変遷(1945-1992)

          [コメント]  日本における対中観に関する調査研究は既に汗牛充棟の感もあるが、中国においてもこれほど多数の意識調査が行われていたとはやや驚き。著者、孙扬(南京大学歴史学院副教授)の記述は、かなり落ち着いた対日観の分析となっている。特に、対日観は、①内的要因;直接体験(戦争経験、訪日生活経験)、集団/家族記憶、情感、理解および②外的要素;大衆文化、文学作品、教科書+構造的要素としての総合実力の消長、政治/イデオロギー風潮の2要素から構成されるとし、そこへの愛国主義を核心とした民

          文献:戦后中国人の日本観の変遷(1945-1992)