呪いの臭み 『毎週ショートショートnote』
「臭」
数ヶ月前、僕の鼻は匂いで感情を感じ取るようになった。
怒っている上司からは怒りの匂い、ニュースを見て泣いている母親からは悲しい匂い、共通の話題で盛り上がった同僚からは楽しい匂い、といったように本人から匂いが漏れ出て体を包み込んでいるような感じだ。
感情は様々なので匂いの種類も無限にある。生活していく中で少しずつ同じ匂いを感じ、その感情への理解度が深まっていく。
今では無愛想な後輩の感情も手に取るようにわかるし、佐藤さんが鈴木さんにひっそりと好意を寄せていることだっ