法人って何だ?会社との違いや種類についても分かりやすく解説
ビジネスの場や普段の生活の中で「○○法人」ということばを耳にすることがありますよね。
「組織や団体であることはなんとなくイメージできるけど、会社とはどう違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
そこでそもそも法人とは何なのか、会社との違いやどのような種類があるのかについて調べてみました。
1. 法人とは
人は法律によってさまざまな権利や義務が認められていますが、法人とは法律上で人格が認められ、権利や義務をもつ組織のことをいいます。
法人には社団法人・財団法人・社会福祉法人などさまざまな種類があり、どれも人と同じように権利や義務をもちます。
2. 企業・個人事業主・会社との違い
それでは企業や個人事業主、会社との間にはどのような違いがあるのでしょうか?
2. 1. 企業との違い
企業とは営利を目的に経済活動を行う団体や組織、個人のことをいい、法人と個人事業主に分かれます。
つまり法人は企業という大きなくくりの中に存在しているということです。
2. 2. 個人事業主との違い
個人事業主とは、法人を設立せず個人で事業を営む人を指します。
法人を設立するには必要な書類を用意し法人登記を行います。
法人登記には法定費用(資本金×0.7%)が必要となります。
また法人には設立から3ヶ月間利益がなくても事業を続けられる金額を目安に資本金を準備する必要もあります。
それに対して個人事業主として事業を始めるには開業届を税務署に提出するだけで、費用もかかりません。
法人と個人事業主は対となる関係だといえますね。
2. 3. 会社との違い
会社とは、会社法に基づいて設立された法人を意味します。
つまり会社は法人の中に含まれるということです。
会社には、
株式会社
合同会社
合資会社
合名会社
の4種類がありますが、どれもすべて法人に含まれます。
3. 法人であることのメリット
法人を設立する場合、個人事業主として事業を始める場合に比べて手続きに手間と費用がかかります。
個人事業主としてではなく法人として事業を始めることにメリットはあるのでしょうか?
じつは、法人であることには個人事業主と比べてつぎのようなメリットがあります。
節税ができる
社会的な信用度が高い
3. 1. 節税ができる
法人であれば、個人事業主の場合よりも税金を節約できます。
法人と個人事業主では課せられる税金の税率や計算方法が異なります。
たとえば、個人事業主に課せられる所得税はもうけが増えるほど税率も高くなります(累進課税)。
個人事業主の場合、高収入であればもうけの約半分が税金として徴収されることもあるのです。
それに対して法人のもうけに課せられる法人税は所得税よりも緩やかで最大税率も23.2%にとどまります。
また法人も個人事業主も事業にかかった費用をすべて経費として計上できますが、法人の場合はそれに加えて給与や賞与、退職金といった費用も経費として計上できます。
このように法人の場合は、法人税が所得税より緩やかなうえ、自身に支払った給与や賞与、退職金も経費として計上できるため、個人事業主の場合よりも節税できるのです。
3. 2. 社会的な信用度が高い
法人は個人事業主と比べて社会的信用が高いとされます。
理由は、会社法などの法律に基づいて個人事業主よりも厳しく運営されるためです。
社会的信用が高いことにより、銀行からの融資を受けやすかったり、取引が成立しやすくなったり、優秀な人材が集まりやすくなるといったメリットがあります。
4. 法人の種類
法人はつぎの3つに分けられます。
公法人
営利法人
非営利法人
それぞれどのようなものがあるのでしょうか?
4. 1. 公法人
公法人とは、国家目的を遂行するために設立された法人のことをいい、公権力の行使が認められています。
※公権力・・・国民に命令し強制する権力のこと。
(公法人の例)
公共組合
営造物法人
地方公共団体
独立行政法人
4. 2. 営利法人
営利法人は、経済的利益が目的で公権力を持たない法人のことをいいます。
営利法人では運営によって得た利益が社員や株主に分配されます。
(営利法人の例)
株式会社
合同会社
合資会社
合名会社
4. 3. 非営利法人
非営利法人は、経済的利益を目的とせず公権力を持たない法人のことをいいます。
また非営利法人は利益を社員などに分配せず、組織の活動のために使います。
(非営利法人の例)
NPO法人
一般社団法人
一般財団法人
5. まとめ
ここまでの内容を以下のようにまとめました。
法人とは、人と同じように法律によって権利や義務が認められている組織のことをいう
企業の中に法人があり、法人の中に会社がある
法人は個人事業主と対となる存在である
法人であることには、節税できる、社会的な信用度が高いといったメリットがある
法人は公権力をもつ公法人、利益を求める営利法人、利益を求めない非営利法人に分けられる
これまではなんとなくしか把握していなかった法人のことを知ることができたのではないでしょうか。