のんびり村のkiki【第2話】
ネコの子供がお母さんと一緒に、店に入って来た。
「もう、あんたはすぐに大きくなるからねぇ、お母さん大変だわぁ」
なにやら汗をかきながら、お母さんはネコの子供にしゃべりかけている。
そんなことはガン無視で、ネコの子供は左側から順番にある物を見ている。
「早く決めなさいよぉ、夕方4時までに買い物を全部済まさないといけないからねぇ」
ネコの子供はなんだか困っている様子だ。
そこに、
「お嬢ちゃん、サイズはいくつかな?」
「だいたい12センチぐらいかなー」
「そっかー、じゃあこの赤い靴はどうかな?」
いきなり、ぬらりと奥から出て来たのは、
このお店の店長、タヌキのノーリーだ。
赤い靴を履いたネコの子供はとっても嬉しそうに、お母さんにこう言った。
ねぇ、あの太ったタヌキのおじさんが、ピッタリサイズで、しかも、めーっちゃカワイイ靴を選んでくれたのー。
「いやぁ、今日もいい仕事したな。やっぱりお客さんの笑顔が1番元気が出る!」
タヌキのノーリーは子供の頃に自分にピッタリの靴がなくて、ずっと足が痛い思いをしながら大人になった。
だから、のんびり村のみんなの足を守るため、靴屋さんになったのだ。
仕事をして足が疲れて悩んでいる方もたくさんいる。
またお客さんが入って来た。
ウリボーくんだ。
「速く走れる靴ってある?今度、マシンガンリレーがあるんだ!」
…
マシンガンリレー?
のんびり村では『配達イノシシ』になるためのテストがあって、リレーで3位以内になると一人前の『配達イノシシ』になれるそうだ。
「それなら、この青い靴がオススメですよ。さぁ1度履いてごらん」
「わぁ!すっごく走りやすい、ありがとう」
「ふぅ。今日も1日よく頑張ったぞ。ちょっと早めに店を閉めて、ケーキでも買いに行こうかな」