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M.コノリー & R.リアノシェク 『会話のマネジメント』

僕にとってのこの書:
会話をマネジメントする。会話は、よりよいものに創り上げていくことができるもの。会話は、価値を生み出す。交点を生み出す会話は、組織にスピードと積極性などあらゆるメリットをもたらす。


2004年の本。原題は The Communication Catalyst (2003).
もしかしたら絶版になっているかもしれません。

最近、コーチングを勉強しています。本書も、コーチエィアカデミアの参考文献にあったものでした。とてもおもしろく、読み応えがありました

会話の交点、カンバセーションメーター、創造の会話、連携の会話、など、初めて耳にする言葉ばかりでした。

そうか、ビジネスマンの管理職は、こういう本を読んでいるのか、などと妙に得心。それにしても、20年前の本なんですが、それほど古い感じはしませんでした。ただ、あちこちに改訂すべき箇所はあるのかもしれません。

以下、印象的な部分をまとめてみました。
・価値ある質問が認識を変える
・聞くという行為は中立的なものではない 聞く内容によって、引き出される内容はかわる
・自分にどんな質問をしているか 自分の人生を決定する
・バイオリアクションを自覚する、バイオリアクションに、浪費をさせない。
・実行の会話 結集する 明確にする 取り決める
・調整を恐れない もっとも大事な作業
・改善 調整に対する自然な期待
・人は変化に抵抗するのではなく、脅威に抵抗する
・本当の目的と、習慣的行動の間のギャップ
・失敗とは情報である 雄大で美しい川は、浸透に失敗した水の集合体である

「価値を生み出す人と価値を批判するだけの人」

 人は、結局のところ、価値を生み出す人と価値を批判する人に大別される。では、今のあなたはどちらなのか? ここで自分がどちらであるかを簡単に知る方法がある。
 誰でも、自分の知っている範囲を超えた課題に直面するときがあるだろう。そのとき、「今、私はどうすべきか?」と自問し、「わからない」と答えるだろう。ここまでは誰でも同じ。大切なのはそのあとだ。
 価値を批判する人の場合、「わからない」と答えることで、その後一切の質問と創造的行為をやめ、怠惰で批判がましい態度をとりつづける。一方、価値を生み出す人は、「わからない」と答えたのち、価値ある質問を自分自身に投げかけ、創造的に行動を起こす。
 もし価値を見失い、「わからない」の一言で物事をやめるようなら、あなたは「価値を行為の主体にしていない人」ということになる。反対に、「わからない」という言葉が、価値ある質問が次々と飛び出す始まりとなるようなら、あなたは「価値を行為の主体にしている人」だ。

「第3章 高速度価値を生み出す知覚」、より

どこかで聞いたことのあるような二元論だなあと思っていたら、こちらの本でした。

価値を批判するだけの人。僕も昔はそうだったかもしれない。

教育現場って、こうした批判ができる人はとても重宝されるというか、そんな気はします。細かい部分に気がついて、それを指摘する力。これに長けた年長者の教師は多いと思います(意地悪を言っているわけではないです)。

ただ、創造的な代案を提出する年長者は、あまり会ったことはないかもしれない。どちらかといえば、伝統を守る、そういうスタンスの人が多いと思います。それもよくわかる、つまるところこどもが不利益を被らないようにするためだと思います。

話がそれました。ともかく、会話から価値を見出せる人と、そうでない人に、人は分類されるわけですね。

おそらく、著者の会話のマネジメントの発想は、コーチエィのクラスのあり方と共通点があると思います。こちらの本を読んだとき、会話は戦略的に作っていくものなのかと、とても感心した記憶があります。

会話を作ることは、価値を生み出していくこと。

「誤りをいちいち指摘しない。重要なのは、相手に事実を伝えること。」

 誤りを列挙するのは、正確な事実と役に立つ教訓を与えない、リーダーシップの安っぽいまねごとだ。相手の行動による実際の成果と、目的への実際の進歩に焦点を当てさせる。

「第8章 調整の会話 見直す、新たに再開する」、より

リーダーシップのやすい真似事。なるほど、ですね。

間違いを指摘するのは、資料を時間をかけて読めば誰でもできること。
大事なことは、「調整」ができること。

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