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こどものための本 感想

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こどものために書かれた本を読んでいきます。
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#世界史

ローズマリー・サトクリフ 『ケルトの白馬』

僕にとってのこの本: 族長の息子。運命、自己犠牲。ルブリンが描く白馬。 サトクリフの作品が本当にすばらしいなと、いつどの作品を読んでも心に響きます。とても歴史を感じます。 何冊か読んでみるとわかることがあるのですが、彼女の作品にはいつも、「運命」、「歴史」、「使命」、「挑戦」、「生きる」、そんなテーマが根底にあるような気がしています。 ときに「共存」や「共生」のような表現もあったりしますが、この描き方が誠実でよいのですね。他者と生きる様子が、べたべたしない。昨今のSDGs

ローズマリ・サトクリフ 『ともしびをかかげて』(上下)

僕にとっての作品:運命は過酷。アクイラはローマの教養を身につけたブリテン島の若きケルト系軍団長。4世紀、衰退を迎えたローマ。サクソン人の侵入に対し、アクイラは任務であるローマの防衛よりも、本能で「故郷」を選ぶ。運命は過酷。教養と文化を離れ、本能と本能がぶつかりあう歴史の中へ。生き抜く。故郷と家族は、同義。 素晴らしい歴史小説でした。サトクリフ氏は児童文学作家として知られ、この本も中学生向けだそうです。しかし、そういったことはどうでもよいほど感動的。大人もこどもも読んで得られ

ニーアル・ファーガソン『文明』

僕にとっての要旨:1500年から、500年間、西洋文明は他地域を圧倒した。その要因は、6つの「キラーアプリケーション」。1 競争 2 科学 3 所有権 4 医学 5 消費 6 労働。西洋が競争によって軍事力を拡大し、アメリカを収奪。その富は所有権で保障された。所有権は法の支配をうみ、法の支配は科学の発展や労働力の競争の土台となった。 2012年の書。経済史を専門とする、ハーバード大のファーガソン氏の有名な著作。スケールの大きな歴史を語る方で、惚れ惚れします。 ある人によれば

サン・テグジュペリ 『星の王子さま』

サン=テグジュペリ 『星の王子さま』 僕にとっての作品の要諦: たいせつなことは目には見えない。飛行士の「僕」と、小さな星からきた王子さまが、不時着をきっかけに出会う。王子さまがこれまで出会った人たちは、王子さまには不可解なものばかり。こども時代を忘れなかった大人である「僕」は、王子さまに共感。 作品は1943年にアメリカで初版。 すでに飛行士として、また『夜間飛行』などの代表作によって有名人になっていたサン=テグジュペリ(1900-1944)による、児童文学作品です。

リン・リード・バンクス 『リトルベアー 小さなインディアンの秘密』

僕にとっての作品の要点: 少年オムリは、不思議な戸棚と鍵を手に入れる。この中に入れたプラスチックの人形は、そのサイズ、彼らの時代設定のまま生命が吹き込まれる。こうして19世紀からやってきたインディアンの「リトルベアー」やカウボーイの「ブーン 」と、少年たちの生活が始まる。現代の日常生活は、この「秘密」を抱えた少年たちには究極にスリリングなものになる。 1980年の作品。原題は The Indian in the Cupboard。 作者のバンクスさんは、1929年、ロンドン

ウィリアム・F・バイナム 若い読者のための科学史

僕にとってのお話の要点: 西洋科学者、イスラム科学者の列伝。特に、医学の歴史には重きを置かれている。科学者の功績をあげながら、初学者を想定して書かれている。アリストテレスからアインシュタインまで、幅広い。 著者のバイナム氏は、医学史研究の泰斗。原著の出版は2012年、訳出は2013年で、そのときのタイトルは『歴史でわかる科学入門』だったそう。 イェール大学出版会がシリーズで出しているA Little History of 〜〜の一つです。 以前、哲学史についてこのnote

エンデ『ジム・ボタンの機関車大旅行』

僕にとっての作品の要点: ジム・ボタンとルーカスは大親友。出生に謎のあるジムと、腕利きの機関士ルーカスは、人口増を背景に故郷の島を出て冒険へ。相棒は機関車のエマ(女性)。そして皇女の誘拐に苦しむ皇帝に出会う。皇女リーシーを助けるべく、竜の待つクルシム国へ。大冒険の末、目的は達成されるが、ジムの出生の謎は明かされず、次回に続く。 幼く勇気があり、感性が豊かなジムと、科学的・論理的思考を持ち合わせた腕っぷしの強いルーカスのコンビが大冒険を繰り広げる。 1960年の作品。エンデ

ケストナー 『飛ぶ教室』

児童文学を読み直して、時間や歴史をキーワードに考察してみたい。 シリーズにしていきたいと思います。 第一回は、ケストナーの「飛ぶ教室」にしました。エンデかケストナーかという、ドイツ児童文学の巨匠。 僕にとっての作品の要点: 題は、作中のこどもたちが作る演劇の題のこと。ギムナジウムのこどもたちの喜怒哀楽をめいっぱい描いた作品。魅力的な大人たちがそれを見守る。自身の体験を思い出しながら。 こどものころ読んだと思ったけど、どうも記憶に薄い。もしかしたら読んでいなかったのかも

ヤンソン 『たのしいムーミン一家』

ムーミンをとりあげるにあたって、「ムーミンキャラクター診断」なるものにチャレンジしました。 スナフキンと診断され、ちょっと嬉しい。 僕にとっての作品の要点: 出てくるキャラクターは個性豊かで、いきいきしている。冬眠から目覚め、不思議な帽子を見つけたことから、ムーミン一家はいろんな事件にまきこまれる。独特の時間の感覚。 ムーミンをちゃんと読んだことはなかったのですが、意外と難解。 でもそう感じるのは、僕が歴史を感じ取りたいという目的を持って読んでいるからだと思う。ちょっと