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お出かけ先での授乳
前回、お出かけ先での使いやすいベビー休憩室について紹介しました。
今回はそのうちの授乳室に絞って、もう少し詳しくお話します。
製品開発と合わせて、授乳環境を研究
長年、ベビー用品の商品開発をしてきましたが、それらを取り巻く環境についても同時に研究してきました。
というのも、開発を通じて大勢のママさん(パパさんも少し)たちからお話を伺ってきましたが、製品の使い心地より、それらを取り巻く環境に居心地の悪さや不満を感じていることがわかってきたからです。
何とかそれらを改善できないだろうかと悶々としていた10数年前、偶然にも「ベビー休憩室の環境を良くしたい」と、当時子育て中だった建築士のかたからご連絡をいただきました。
建築の専門家と一緒に研究しているうちに、周りの環境と合わせて製品を開発することの重要性を改めて実感しました。
2013年より、研究した成果やレイアウト案を『ベビー休憩室のコンセプトブック』としてまとめ上げ、資料を希望される設計者や施主の方々に無償配布しています。
その甲斐もあって、日本のベビー休憩室環境は、この10年でかなり改善してきたのではないかと思っています。
今では、後輩たちが『ベビー休憩室のコンセプトブック』作成を引き継いでくれて、定期的に更新してくれるようになりました。
これらの経験をもとに、今回は利用する側の視点から、授乳室についての役立つ情報を紹介しますね。
想像してみてください。20分間、狭い個室で授乳することを。
授乳時間はだいたい10分~20分。
30分以上のかたもいらっしゃいます。
この時間をあっという間だと感じるか、とても長いと感じるかは、その環境が左右するのです。
居心地が悪いと、とても長くつらい時間に感じてしまいます。
では、どのような環境だと居心地が悪いと感じるのか、わかりますか?
空調が行き届かない
ベビー休憩室の中にある授乳室は女性専用となっており、奥に配置されている場合が多いです。
授乳室の扉を開けると、共用スペースの他に、いくつか個室もあるのが一般的です。
それらはカーテンで仕切られていたり、扉付きであったり様々です。
個室になるとどうしても、空調が行き届かないケースが多く見受けられます。
特に夏は蒸し暑くなり、臭いがこもりやすくなります。
母乳の場合は、赤ちゃんとママの肌が触れ合うため、汗もかきやすくなります。
赤ちゃんの髪の毛がシャワーで濡らしたようにびっしょり…、なんてかわいそうですよね。
その場合は卓上型のハンディファンなどを持参するのが良いでしょう。
個室にはだいたい荷物が置ける程度の小さなテーブルが設置されているので、そこに置きましょう。
ただし、ファンのカバーに赤ちゃんや上のお子さんが指を挟まないようにくれぐれも注意して使うようにしてくださいね。
殺風景で息苦しい
個別学習塾でしたら、殺風景な方が勉強に集中できて効果的でしょう。
でも、リラックスして授乳したいときは、気分が和みませんよね。
ママたちからは「圧迫感があって、息苦しさを感じる」といった意見も聞きます。
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せめて間接照明などの柔らかい光の演出などで、くつろげる空間づくりを施設側にはお願いしたいものです。
それでも殺風景な授乳室に入ってしまったら、残念ですが、スマートフォンの助けを借りるなどして気分転換に心がけましょう。
Web検索すると、授乳にやさしい音楽などがたくさん見つけられます。
もちろん自分のお気に入りの曲でもいいでしょう。
イヤホンを着けて、心地よいメロディなどを聴きながら授乳しませんか。
ただし、音量は控えめに…。
赤ちゃんの声や、外部の音を聞こえる程度が良いでしょう。
哺乳瓶のミルクをあげにくい
「母乳優先」と表記してある授乳室はあっても、「母乳専用」と表記されているところはないと思います。
個室の中で落ち着いてミルクを上げたいかたも多いので、遠慮せずに利用してくださいね。
ただし、母乳だけのママは、授乳室でないと授乳できないかたがいます。
混雑時に授乳室が混んでいるようでしたら、譲ってあげるようにしましょう。
なお、ミルク作りに必要なお湯やシンクは、授乳室の外(ベビー休憩室内)に設置されているところが多いです。
そのため、家族もミルクが作りやすい環境になっています。
最近ではパパもここで赤ちゃんにミルクをあげている光景を目にするようになりました。
授乳室以外の環境でも赤ちゃんにミルクを上げる場合があるので、座ると半個室空間になるようなハイバックのソファがあると落ち着きます。
逆に、赤ちゃんにミルクを飲ませているそばで、他の赤ちゃんのおむつ交換作業が丸見えになっている環境は問題外です。
それは食事中に、誰かが目の前で用を足しているようなもの。
衛生的にもよくありません。
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待つストレス、待たせるストレスがある
他のママが授乳中の個室を待つのは、とってもストレスになります。
赤ちゃんが空腹でギャン泣きしだすと、ママは周りに迷惑がかからないかと必死にあやして、授乳前に疲れてしまうことも。
さらに、どのくらい待てばいいのか、5分なのか20分なのか見当もつきません。
個室で授乳しているママの方も、外で待っている人の気配がすると、気になってしまいます。
ゆっくり授乳したいのに、早めに切り上げなければと焦ってしまうことも。
施設にもよりますが、混雑する時間帯は、だいたい休日のお昼頃から夕方にかけてです。
“待つ・待たせるストレス”を避けるには、やはり混雑した時間帯を避けるのがベストです。
その他、個室で母乳があげられない時のために、普段から授乳ケープや1~2食分の携帯ミルクと哺乳瓶を持参していると安心です。
なお、パパなど家族を待たせるのがストレスになることもあります。
待ち合わせ時間は余裕をもって伝えた方が良いでしょう。
勝手に男性が入ってくる。パパが利用しにくい。
男子禁制という表記がない授乳室の場合、突然、男性が入ってきて驚いたという声を聞いたことがあります。
授乳室は、基本、男子禁制です。
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ただしファミリールームとして家族単位で利用できるスペースはパパも一緒に入れます。
箱型授乳スペース(個室ブース)です。
それらの個室ブース利用経験者に感想を聞くと、賛否が別れました。
不満の一番はミルクが作れないということでした。
大きなミルクマークのサインがあるのに、ミルクが作れないと…。
その他、人の往来が激しい場所に設置されていると、パパは視線が気になり入りにくいという意見。
ママ自身も、外の騒音で落ち着いて授乳できなかったという感想がありました。
個室ブースの設置に関しては、もう少し施設側も配慮して欲しいと感じています。
スペースがあるから設置するのではなく、最適な場所を準備してから設置する必要があるでしょう。
では、どのような場所が個室ブース設置に最適か…。
それは利用者へのアドバイスではないので、ここでは省略しますね。
今後、もっと使いやすい環境になってくれたら嬉しいです。
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箱型授乳スペース(イメージ)
おむつ交換台やベビーキープの使いかた|河村 眞弓 / 赤ちゃんとのお出かけ環境プランナー (note.com)
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