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お出かけ先での搾乳

今まで何回か赤ちゃんとお出かけしたときの授乳環境についてご紹介してきました。
その際、母乳中のママたちが必ずしているのは、“搾乳”です。

この搾乳、最初は上手にできないので痛いし時間もかかるので、かなり面倒なんです。
それで母乳育児を断念しちゃう人もいたりします。

そもそも、お出かけ先ではどこで搾乳してよいのかわからないんですよね。


1人では入りにくい授乳室

先日、新聞に”授乳室に「搾乳もOK」明示”という記事が載っていました。

搾乳したくても1人では入りづらい授乳室。
「搾乳もOK」と表示されているだけで入りやすくなるという内容です。

確かにそうだな、と思いました。

以前、ベビー休憩室の設計を検討している設計者や施設向けに「ベビー休憩室のコンセプトブック」という冊子を作成しました。
今でも後輩たちが引き継いで、改訂版を発行してくれています。
でも、その中に「搾乳もOK」については掲載していませんでした。

これは盲点でした。

例えばですが、下記のような誰もがわかりやすいピクトサインを授乳室の前に表示してあげると、入りやすくなるでしょう。

「搾乳OK」のピクト例

トイレで搾乳

私の3人の子どもたちは、完全母乳でした。
生活のこともあって一番下の子が生後6ヵ月のときに仕事復帰したので、まだ卒乳前でした。

仕事中、突然溢れ出てくる母乳を絞るのは会社のトイレです。
当時、勤務フロアは4階でしたが、誰にも気づかれないようにと、来客用多機能トイレがある2階まで慌てて下りて搾乳していました。
その頃はトイレで搾乳するのが当たり前みたいに思っていたものです。

今思い出してみると、ちょっと辛い光景でしたね。

医務室を利用するとか、別の場所で搾乳する方法もあったはずなのに、久しぶりに働きだした頃は、そんなことを考える余裕もなかったんだと思います。

仕事先でも外出先でも母乳パッドは欠かせませんでしたが、突然勢いよく張ってくるミルクがそれで対応できるわけもありません。
なるべくそうなる前に母乳を絞っていたのを記憶しています。

あれから30年が経ち、お出かけ先での育児環境もだいぶ良くなってきました。
でも、搾乳場所に関してはまだそんなに変わらないのかもしれません。

授乳室ばかりが搾乳する場所ではない

長年、ベビー休憩室の環境づくりに取り組んできましたが、個人的には狭い個室で授乳するより、ママたちにはもっと広い空間でくつろぎながら授乳してもらいたいなと思っています。

個室の授乳室を提案してきた当事者なのに、ちょっと矛盾していると思われるかもしれません。

授乳中のたくさんのママさんたちに意見を聞いてみると、個室でないとダメな人と、個室にこだわらない人の2タイプいることがわかりました。

5年前、ハイバックタイプの授乳ソファを開発したのも、そんな経緯からでした。
個室にこだわらない人であっても、授乳中は赤ちゃんと落ち着きたいもの。
囲われた空間であれば、個室でなくてもリラックスして授乳しやすいのではないかと思ったからです。

ハイバックタイプの授乳ソファ

このソファは授乳しやすいように肘掛けや背もたれの形状を工夫していますが、おそらく搾乳するのにも使いやすいはずです。

ただ、このような専用ソファでなくても、まずはベンチの後ろにパーティションひとつを立て掛けるだけでもいいと思います。
後ろから頭が出る程度の高さで、人が座っているのが分かるようにするのが大事です。

そうすれば、第三者がわざわざ正面側に来ない限り、授乳や搾乳の様子は見えません。
授乳ケープや授乳服を利用すれば、さらに安心です。

一般の人も使えるハイバックソファ

景色を見ながら授乳・搾乳

以前、アメリカでは公共の場での授乳が女性の権利として法で保護されていると紹介しました。

日本でも授乳だけでなく、搾乳も気兼ねなくできる環境づくりはとても大事だと思います。
ハイバックで後ろからは見えにくいソファが、施設の休憩ポイントなどに複数点在されているのが私の理想です。
一般の人も利用できれば、ママだけという特別感がないので使いやすいです。

欲を言えば、癒させる景色が見られるところに設置されていると最高ですね。

赤ちゃんとのお出かけデビューを応援♪|河村 眞弓 / 赤ちゃんとのお出かけ環境プランナー (note.com)

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