タイムパフォーマンスを高めるって大切なの?
ミニチュア作家のいわなり ちさとです。
紹介した作品は販売します。気軽にお問い合わせください。
ちまたでは「タイパ」という言葉が氾濫気味。
タイムパフォーマンスの短縮形なんですってね。
早く、早くと焦るのはなんでなんだろう?
道草や寄り道の時間の中に宝物が潜んでいることを経験として知っている年代としては、早ければいいという感覚になじめません。
映画などもあらすじ知っておけばいいみたいな風潮があるようですが、せりふのない一場面がずっと記憶に残ったりするのが映画の魅力だと思っていると、あらすじ知って映画を見た気になるというのはもったいないだけだと思ってしまいます。
映画のワンシーンのホテルの廊下に活けてあった花をヒントに作品を作ったこともあります。当たり前に同じものを作ったわけだはないけれど、心をつかまれたシーンに出くわしたという感動は大きいものです。
見た時にはどうってことないとスルーした場面がなにかの拍子にぐぁっと蘇ってきて、これだ!と思うこともあります。
早く見てわかった気になって、たくさん知ってるよって自慢するのが楽しいのなら否定はしません。
子供の学校の読書記録に読んだページ数を記録するノートがあったのを見て、違和感満載になったことがあります。
短編でもいい作品があるのに、ページ数で競うとおかしな競争が起こりそうだなと思ったものです。
うちの子はほとんど本を借りることのない子たちでしたから、ページ数競争にも冊数競争にも参戦さえできなかったと思いますが、そんなことは本人任せでしたから仔細は知りません。
が、競争させたら、読むだろうと考えた人がいるならそれはあまりに稚拙だとは思います。
映画もたくさん見たらすごいっていうなら競えばいいけれど、私は意味を感じません。粗末に扱われて映画がかわいそうだと思います。
時間をできるだけかけないことが価値あることだと決めるって理解不能です。
スポーツ選手のタイムを競うことならわかるけれど、映画などで競うって、、、
これだからおばさんは、、、と思う若い人がいるなら思ってくれていいんです。
今タイムパフォーマンスを気にして行動する若い人が古い人になった時にこんな映画を見たよとあらすじだけ覚えて語ることがうれしいなんて考えられません。倍速で見て俳優の演技など評価できるのでしょうか?
仕事もプライベートも忙しいんだから、そうでもしないとと思うのかもしれないけれど、忙しいという状況は自分が作り出しているものでしょう。
忙しいことは悪いことではないけれど、メリハリつけて時にはじっくりと時間をかけて映画を見たって損はないと思います。
高いタイムパフォーマンスをして自他ともに高評価を得たにしても、それで自分の内面はどれだけ豊かになるのでしょう?
あの映画を見たと言えても、自分なりにあの映画のどこが良かったのかが言えないならそれはあまりに寂しいこことではないかしら?
あとになって自分の記憶を自分一人で掘り起こしていい映画だったなぁとか、楽しかったなぁとかドキドキハラハラしたわと思い起こせることのほうが幸せだと私は思います。
私は映画もだけど、本を、特に小説を読むのが好きです。
でも、好きな作家の昔の作品をたまに読み返す、とあれ?こんな場面あったっけと思うことはけっこうあるのです。こんな場面があったはずと思って探してもなかったり💦二つの作品を混ぜてる時もあります。
自分の好きなように話を変えている時もあったり、初めて読んだような感動があったりもするのです。二度目だからこそ味わえる感動もあるとは思います。
でも、たった一度の読書では忘れてしまうことが多いのです。
きっと今のタイムパフォーマンスの尺度で言えば立派な一冊ですよね?
ちゃんと全部読んでもこんな程度です。記憶力はいいほうでもです。
再読するなんてことは考えられないでしょうが、実はいいものなんですよ。
もう一度大好きな食べ物を味わうみたいな幸せ。
効率の良さっていうのは幸福度とは比例しません。
お金などは手に入るかもしれないけれど、、、
私は小説を読み直したり、映画をもう一度見たりして、その都度感動できる幸せのほうがいいのです。
もう人生終わりの方が近いということもあるんだけど、毎日をゆっくりじっくり味わって過ごしていきたいと思います。
一人遊びできるって実は幸せなこと。
同じ団地に住んでいた人に久しぶりにあったら、今病気で療養してるんだけど、家族が仕事に出かけている間、独りぼっちで部屋にいるとまだ若いのにすることがなくてボケてしまいそうだと嘆いていました。
編物したらといったら老眼だからピントが合わないと言っていました。
本読むのも無理だろうなと思ったので、塗り絵とかいいんじゃない?と話して別れました。なにかすることが見つかるといいんだけど、、、
私は編み物も、読書も、庭仕事も大好き。仕事も一人で集中してやります。
独りぼっちになってもなにもないということはありません。
子供が巣立って、一人の時間がどんどん増えて、でも十分生きることを楽しんでいられるのでよかったなと思っています。
仲間と一緒に活動するのもいいけれど、自分だけの時間をうまく使えるなら老後も安心。心の強さは自分で磨き、鍛えないとダメだなと思います。
タイムパフォーマンスをうんぬんするより、自分軸をしっかり立てるほうが大切なんじゃない?と私は思います。
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