BOB〜〜‼︎ 【映画感想】ビートルジュース ビートルジュース
ティム・バートン監督作品。
1988年の映画『ビートルジュース』の続編。
ビートルジュースは、名前を3回呼ぶと模型の街(と繋がっている霊界)から飛び出してくる600才のバケモノである。
霊と人間のトラブル解決屋を自称しており、オレの名前を呼んでここ(霊界)から出してくれたら助けてやる、と誘ってくるのだが、頼ると事態は悪化する。
*ネタバレありです。ご注意ください
🎃前作は…
リディア(ウィノナ・ライダー)が引っ越してきた中古住宅には、前の持ち主で事故死した夫婦が、霊になって住んでいた。
幽霊夫妻が、リディアたち人間を追い出そうと、”人間怖がらせ屋”を名乗るビートルジュース(マイケル・キートン)を呼び出したことで、大騒ぎになる。
🎃今作は、それから36年後。
世を儚むゴス趣味オカルト少女だったリディア(ウィノナ・ライダー)は、今や有名な霊媒師となっていた。
行方不明の夫との間に娘がいるが、娘からはインチキ呼ばわりされ、関係はうまくいっていない。
父チャールズが亡くなったので、リディアは例の家を処分しようと訪れるのだが、恋人がビートルジュースを呼び出してしまう。
リディアの娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)は、チャールズの葬式で母にプロポーズする恋人にも、それを断れない母にもうんざり。
ひとりで街を散策していて、ジェレミーと知り合う。
むずかしいお年頃アストリッドの、不機嫌で拗ねた感じがよく、謎の彼ジェレミー(アーサー・コンティ)と出会う秋の街や木々のシーンは青春恋愛映画を見るようだ。
ほのぼの、と毒と笑いのバランスがティム・バートン作品は独特。
今回も可愛らしい恋から急転直下、ジェレミーの企みが分かって怒涛の展開である。
リディアは霊界へ連れ去られた娘アストリッドを救うため、そしてビートルジュースは蘇った凶暴な元妻ドロレスから逃げるために、協力することになる。
ビートルジュース(マイケル・キートン)は、1作目より出番が少ない。
元妻のドロレス(モニカ・ベルッチ)も、派手な登場のわりに厄災ぶりは大したことがない。
だが、つまらなかったのかと言えば、そうではなかった。
今回は死後の世界や霊界の住人がより多く細かく描かれている。
それも前作のようなモンスターっぽさよりも、みなリアルな死に様を引きずっている。ビートルジュースのクレイジーさを押し出さずとも、人ってみんな変わってるよね、人生にはビックリすること起きるよね、という可笑しさが充分ある。
🎃死んでも、ずっと家族。
ハチャメチャ系ホラーコメディではあるのだが、死を挟んでも変わらない家族の姿がポジティブに描かれている。
ジェレミーの罠にかかって、命を奪われてしまったアストリッドを、家族みんなで救い出す。
アストリッドの父はアマゾンで行方不明になったのだが、どうやら川に落ちて死んだらしく、身体にピラニアが食い付いたまま霊界で働いている。
祖父チャールズも、飛行機が海に墜落し、サメに喰われて死んだので頭がない。
しかし、見た目が以前と違うだけで、彼らは変わらず家族。
愛するアストリッドを助けるために協力する。
仮装したままのアストリッド、相変わらずゴスっぽいリディア、そして芸術家のデリア(キャサリン・オハラ)が、霊界で右往左往するのを観ていると、誰が生きてて誰が死んでるんだか、境界が分からなくなってくる。
デリアはヘビの毒で死んでしまい、霊界に残るのだが、リディアとデリアは手を握って「寂しくなるわ」。
生と死ってそんな、引っ越していく友を送るみたいな別れ方だっけ?と可笑しくなりながらも、死をこんなふうに捉えることができたらいいなと思う。
最後、リディアがビートルジュースの赤子の夢を見る部分も、夢から覚めた夢を見るという構成になっていて、はて、どこまでがこの世なんだろう?と思わせる。
🎃さいごに
ビートルジュースがやっている”人間怖がらせ屋”の従業員、BOBから漂う哀愁がたまらない。
忠実でおとなしい彼はビートルジュースの影武者にされ、ドロレスに魂を吸われてしまう。わんさかと登場人物がある中で、BOBが誰よりも人間っぽい。
最後にBOBに捧げる温かい言葉がスクリーンに出てきたときは、噴き出した。
お読みいただき、ありがとうございました。