5/29、エンレスト
リライシン阻害薬のサクビトリルとARBのバルサルタンの配合錠であるエンレストに注目して学習した。サクビトリルは新しい作用機序の薬剤であり、利尿作用や血管拡張作用、血圧を上昇させるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の抑制により降圧作用を示すナトリウム利尿ペプチドの分解を行うネプリライシンを阻害することによって降圧作用を示す。また、心臓や腎臓の保護作用もあるとされている。バルサルタンは先週にも記載したようにアンジオテンシン受容体を阻害することで高血圧を治療する薬剤である。
本日注目した患者さんは、3人である。1人目は昨日にARBとカルシウム遮断薬の配合薬であるユニシア配合錠LDからエンレスト錠100mg分1へ変更された。この患者さんは他にも降圧薬や抗血栓薬が以前から処方されていた。そのため、より強い降圧作用を示すとともに心臓保護作用を示すためにエンレストへ変更したと考えられる。また、本来高血圧治療薬としてエンレストを用いる場合は1回200mgだが、適宜増減との記載があるため今回の患者さんは初めてということもあり、減量されていると考えられる。
2人目は異なる機序の降圧薬や高尿酸血症治療薬とともにエンレスト50mg分2で処方されていた。この場合は先ほどのように減量されているのではなく、慢性心不全の改善のために処方され、適応の用法用量通りに使用されていると考えられる。このように薬剤の量や薬歴などの背景から薬の求められる薬効や副作用を考えなければならないと感じた。
3人目は5/1に効果不十分からARBのディオバンからエンレスト200mg分1へ変更になった患者さんである。この患者さんは高血圧の適応の用法用量通りに処方されており、本日血圧も低下しているため、この処方で続けることにした。